現金満タン、ハイオクで。

サブカルチャーがだいすき。ツイッターの延長なので詳しくはツイッターを見てくれ。

2021年!1月!映画!まとめ!

寒波やべ~~~ですが皆様生きていらっしゃいますか?私は体の冷え方的にたぶん9割くらい死んでいます。そして新年あけましておめでとうございます。私は身内の喪中のためおめでとうございますも初詣もお雑煮も今年は縁遠いのですが、まあなんか、おせちの代わりにカニ食って生きてます。

2020年最後の思い出は、近しい血縁関係のおぢさんが50手前にして初めて結婚するらしいというニュースでした。ハピハピかと思いきや、その相手がビザ切れかけの中国人女性で、会って2回目にあちらからプロポーズされたらしく、私の実家の土地とか不動産とか根こそぎ持ってかれたらウケるな~と思っています。いやウケないですけどウケますよね。1月に入ってからはその15倍くらい治安の悪いことが起きたのですがインターネットに書いたら身バレしてしまうので書けないのが悲しいです。

そんなこんなで日記的なものはnoteのほうにて書いていますので良ければ見てネと書こうかと思いましたが、毒にも薬にもならない生産性皆無の内容なので、そんなに積極的に言うほどでもないかなと思いました。BUN太|note

 

ちなみに最近ファイヤースティックを買ったのでQOL爆上がり中です。電気代は上がると予想されています。

 

※今回も前月と前々月に引き続き、映画玄人どころか映画通ですらないちょっとだけ映画が好きなだけのトーシローでありながら視覚的わかりやすさを優先し☆をつけていますが、やさしくしてください。マジでド素人が匿名インターネットで偉そうに☆をつけるのはウエ~~となるので苦手っちゃ苦手なのですが、視覚的わかりやすさを、ね。(何回でも予防線を張らせてください)。

☆の基準はそのときのテンションに左右される上に自分はジャンル映画好きのため非常に曖昧ジャッジですが、たぶん食べログよりはフェアです。

 

 ◆ ◆ ◆

『新感染半島 ファイナル・ステージ』

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新感染半島 ファイナル・ステージ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『新 感染半島 ファイナル・ステージ』公式サイト

韓国で大ヒットを記録し、日本でも話題を呼んだゾンビパニックアクション「新感染 ファイナル・エクスプレス」の4年後を描く続編。「MASTER マスター」「ゴールデンスランバー」などで知られる人気俳優カン・ドンウォンを主演に、前作から引き続きヨン・サンホ監督がメガホンをとった。人間を凶暴化させる謎のウイルスが半島を襲ってから4年後。香港に逃げ延びていた元軍人のジョンソクが、ある任務遂行のために半島に戻ってきた。その任務とは、限られた時間内に大金が積まれたトラックをチームで回収し、半島を脱出することだった。トラックを回収し、任務は順調かに思われたが、民兵集団によりジュンソクたちはトラックを奪われてしまう。そんなジュンソクを窮地から救ったのはミンジョン母娘だった。2020年・第73回カンヌ国際映画祭新型コロナウイルスの影響で通常開催を見送り)のオフィシャルセレクション「カンヌレーベル」作品。

【総評:☆3.6】

ストーリー:☆2.5

キャラクター:☆4.5

音楽:☆3

映像(演出):☆5

リピート:☆3

(全力バカアクションは健康にいいよね!度:☆5555)

 

考えるな!感じろ!!暴力が正義!!!

韓国版マッドマックス~ワイルドスピードを添えて~

 

新感染 ファイナル・エクスプレス』の続編の本作。なんといっても前作がゾンビ映画として非常に完成度が高い。「電車という密室の中からのエスケープ→開放空間→恐怖→再度密室へ」というホラーとしての文脈も抑えつつ、クサくない程度の人間ドラマと葛藤があり、なにも武器を持たない状態から知恵と工夫で立ち向かっていく様がまさに等身大のゾンビ映画

そんな映画の続編なのでどうなるかと思いきや、前作の脚本と人間ドラマはかなぐり捨てて「見ろ!!!!!!暴力!!!!!!!」という映画。

前評判通り、確かにゾンビ映画として見たとき、評価が高かった前作との比較は避けられないものであるし、比較されたときにどうしても劣る印象を与える。それは脚本の粗をつつけばキリがない点や、人間ドラマの薄さ、いまいち理解しにくい登場人物の行動と脚本展開などに所以するものであるが、しかし、しかし!

先進的な韓国市街地が廃墟と化し、治安はほぼマッドマックス。人間性は最悪。倫理観ゼロ。そこで繰り広げられる壮絶で金のかかったカーアクションと容赦のない暴力。

韓国産のカーアクションでゾンビの山をなぎ倒していくもう暴力満腹みたいな絵面が観られただけで私は満足です。本当に。

倫理観は死にすぎて本当にマッドマックスの世界観だし世紀末のカイジみたいな極悪遊戯に人間が興じていますが、『バイオハザード』の3あたりでもそんな感じだったので、たぶん人間はゾンビが世界に溢れると恐怖遺伝子がロシア人くらいになっちゃうんだな。

 

前作のようなまっすぐなゾンビ映画としてのクオリティを求めているなら本作は期待外れかもしれませんが、倫理観ゼロの暴力が支配した世紀末(トラウマを抱えたカンドンウォンもいる!やったね!)が見たい人にはぴったりの映画。

個人的には、脳筋暴力馬鹿みたいなキャラも悪知恵が働いて頭が切れるし、頭が切れて比較的話が通じそうなキャラも気が狂ってるし、最悪な人間しかいなくてここで生きるのは絶対に嫌でしたね。

まあ本当に脚本としては「ええ……ちゃんと推敲した……?」という気持ちに何度かさせられるはさせられるのですが、圧倒的暴力で全てが解決するのでモーマンタイです。ぴ!

 

そしてこれは余談ですが、韓国パニック映画の良いところは、日本疑似体験として没入できるところかと。どうしてもアメリカやヨーロッパの街並みは日本とは違うので、どんなにそこで悲惨なことが起きても、「遠い異世界の出来事」になる。しかし、韓国旅行した日本人がよく「韓国って頭打って文字だけ読めなくなった日本みたい」と言うくらい街並みがすごく日本に近いので、欧米のパニック映画よりもすごく身近にかんじて没入できるような気がします。隣国なのでね。

 

 

『神と共に 第一章 罪と罰

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神と共に 第一章 罪と罰 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『神と共に』公式サイト

韓国の人気ウェブコミックを実写映画化し、世界的ヒットを記録したファンタジーアクション2部作の第1章。人間は死ぬと49日間に7つの地獄の裁判を受けなければならず、すべてを無罪で通った者だけが現世に生まれ変わることができる。ある日、死を迎えた消防士ジャホンの前に、冥界からの使者で地獄の裁判の弁護と護衛を務めるヘウォンメクとドクチュン、カンニムが現れる。生前の善行が認められ、19年ぶりの貴人として転生を確実視されるジャホンだったが、裁判が進むにつれて地獄鬼や怨霊が出現し、冥界が揺らぎはじめる。冥界の使者カンニムを「お嬢さん」のハ・ジョンウ、ヘウォンメクを「アシュラ」のチュ・ジフンが演じるほか、共演にも「猟奇的な彼女」のチャ・テヒョン、「新しき世界」のイ・ジョンジェら豪華キャストが集結。「ミスターGO!」のキム・ヨンファ監督がメガホンを取る。

【総評:☆4.1】

ストーリー:☆3

キャラクター:☆5

音楽:☆3

映像:☆5

リピート:☆4.5

(健康にいい度:☆5)

これが「映像エンタメ」の教科書。

 

公開は少し前なのですが、新年開催の「お正月だよ!韓国映画まつり」にて鑑賞。

 

私は基本的に他人をアンチしない気質であり尚且つ何かを上げて何かを下げるということはナンセンスだろという考えを持っていながら福田雄一アンチという業を抱えていて、マジでせめて銀魂聖おにいさんだけでも返してくれんかな………………キャストが豪華なのもそんなキャストに変なことさせるのもお前が面白いのももう分かったからおふざけが許容されるコメディTVだけ撮ってくれんかな…………お互い違う世界で生きられんかな…………と思っています。ここまで本作に1ミリも関係ない福田雄一の話をしてしまいましたが(でも『窮鼠はチーズの夢を見る』映画版への呪詛のほうがまだ強いです)、福田雄一作品を好きな人はごめんなさい。呪詛失礼しました。

 

というわけで本作ですが、本当に「映像エンタメの教科書」のような作品。友達にあんなに勧められながらなぜなかなか観なかったんだろう?????と自分に疑問を呈するくらい面白かった。

もちろん「面白い」の尺度は人それぞれなので一概には言えませんが、私が本作を「映像エンタメの教科書」と呼んだのは、(原作が漫画ということもあり)ついつい熱くなってしまうような世界観とキャラクターデザイン、そして映像であることを生かした視覚効果と激しいアクション、CG。脚本も「ん?」と思うところを言い出したらキリがありませんが、それを「粗」と認識させずに圧倒的エンタメ力(エンタメ・パワー)で乗り切ってしまうほどの勢いドキドキして、ハラハラして、謎を解いて、笑って、泣いて、最後にやっぱり笑う。そういう「大衆のエンタメ」の良さのようなものを力強く感じました。この映像作品としての圧倒的強さを前にして、些細な脚本の零れを指摘するのはナンセンスじゃないかとすら思わされる。

そして前述したキャラクターデザインですが…………あの…………これだめじゃないですか?チュ・ジフンとハ・ジョンウにノーカラーロングコート二刀流(やたら高い所に立って風にコートなびかせる)はだめじゃないですか?だめですよ。絶対だめだろ。““オタク””をものすごい勢いでぶつけてこないでほしい。

米津玄師の歌を聴いたとき「……カーッ!こんな歌詞オタクにしか書けねえよ……」って言ってしまうのですが(気色悪いね)、韓国映画を観ていると同じ状態になります。高速で“オタク”をぶつけてこないでほしい。

 

で、の話。実際問題、私はこれをシンプルに「最高」と感じましたが、韓国の原作ファンからしたら私にとっての福田雄一作品のように感じてる人もいるのかもしれないな……とぼんやり考えました。つまり実写化は難しい。オタクは古今東西めんどくせぇので。実写化は難しいのなら、本作のように、せめて「映画表現としての凄み」をとことん追求してほしいなと思いました。雄一、頑張れよ!吉沢亮沖田総悟にしたのは偉かったぞ!

 

 

『神と共に 第二章 因と縁』

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神と共に 第二章 因と縁 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『神と共に』公式サイト

韓国の人気ウェブコミックを実写映画化し、世界的ヒットを記録したファンタジーアクション2部作の第2章。1000年間で48人の死者を転生させた冥界の使者ヘウォンメクとドクチュン、カンニムは、あと1人を転生させれば自分たちも新しい生を得ることができる。カンニムは怨霊だったジャホンの弟スホンを、最後の裁判を受ける貴人に決める。本来なら怨霊は消滅させなければならないが、閻魔大王はある条件と引き換えにカンニムの提案を受け入れる。その条件は、ソンジュ神に守られて冥界からの使者をことごとく追い払ってしまう老人チュンサムを冥界に連れてくること。下界に降りた彼らは、ソンジュ神から驚くべき真実を知らされる。カンニムを「お嬢さん」のハ・ジョンウ、ヘウォンメクを「アシュラ」のチュ・ジフンが演じる。共演に「新感染 ファイナル・エクスプレス」のマ・ドンソク、「新しき世界」のイ・ジョンジェ。「ミスターGO!」のキム・ヨンファ監督がメガホンを取る。

【総評:☆4.2】

ストーリー:☆3

キャラクター:☆5

音楽:☆3

映像:☆5

リピート:☆5

(でも気の持ちようによっては☆100です)

 

突然「※前世捏造注意」「※パロディ注意」をするなーーーッッ

 

同じく、公開は少し前なのですが、「お正月だよ!韓国映画まつり」にて鑑賞。

1章と立て続けに観たのですが、マジで突然「エ、pixiv?」と思ってしまう展開が始まって驚きました。でも“我々”の望むものがそこに提供されたので何も言うことはありません。ドクチュンは可愛い。

もう何を感想として述べるべきか分かりませんが、前作に引き続き「映像エンタメの教科書」みたいな映像がずっと続くし、『ジュラシックパーク(ワールド)』のパロディもふんだんに観られるし、砂のシーンは『ハムナプトラ』の系譜を感じるし、本当に古今東西エンタメ欲張りハッピーセットだった。

脚本展開だけを言うならまあ読めていたことではあったのですが、コンテンツとして最高なので文句のつけようがありません。ハ・ジョンウは一生妻か娘に先立たれた系の心にぐちゃぐちゃしたものを抱えている哀愁おじさんをしていてほしい。

韓国映画ってお金あるなあ~~~と10回くらい言ってしまいましたね。『神と共に』、一生“コンテンツ”でいてほしい。日本より愛を込めて。LOVE

 

 

『Swallow スワロウ』

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Swallow スワロウ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『Swallow/スワロウ』公式サイト|2021年1月1日公開

ガール・オン・ザ・トレイン」「ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌」のヘイリー・ベネットが異物を飲み込むことで自分を取り戻していく主婦を演じるスリラー。ニューヨーク郊外の邸宅で、誰もがうらやむような暮らしを手に入れたハンター。しかし、まともに話を聞いてくれない夫や、彼女を蔑ろにする義父母の存在など、彼女を取り巻く日常は孤独で息苦しいものだった。そんな中、ハンターの妊娠が発覚し、夫と義父母は待望の第一子に歓喜の声をあげるが、ハンターの孤独はこれまで以上に深くなっていった。ある日、ふとしたことからガラス玉を飲み込みたいという衝動にかられたハンターは、ガラス玉を口に入れて飲み込んでしまう。そこでハンターが痛みとともに感じたのは、得も言われぬ充足感と快楽だった。異物を飲み込むことに多幸感を抱くようになったハンターは、さらなる危険なものを飲み込みたい欲望にかられていく。

【総評:☆4.4】  

ストーリー:☆4.5

キャラクター:☆4

音楽:☆4.5

映像:☆5

リピート:☆4

 

結婚生活に感じる息苦しさから異食症に目覚めた女性の生き直しの物語

 

ベタベタな昼ドラとは違う、義両親とモラハラ夫からの物凄くリアルな「息苦しさ」が隅々まで浸透して生々しく描かれていて、こちらまで気分が悪くなる。そしてその息苦しさから主人公は異食症に目覚めていくが、それは一朝一夕の問題ではなく、彼女の出生にまでトラウマは及んでいく。

自分の生そのものに十字架を抱える女性が必死に生き直しをはかる話なのですが、頼れるものもなく、自分の足で立つことすらままならない「弱い女」の、弱さと向き合って自分の足で立って生きていく様がとても勇気づけられる。

途中で夫の同僚とハグをする場面があって、従来のラブロマンス映画などであればそこでその同僚と不倫関係になったりならなかったりして彼の言葉を契機に主人公が変わっていく……という展開がベタだと思うのですが、そんな展開が一切ない。特別なことはなにもない。ただ主人公が変わるのは自分で決断したときのみ。

終始一貫して彼女の言動が非常にリアルで、気分のいいときと悪いときの上下がものすごく身に覚えのあるそれで、重いテーマながら美しい映像でそれは紡がれていき、ラストは非常に爽快。いつだって人は生き直すことができる。生まれながらの罪だとか原罪なんてものはなくて、今自分が何をするか。自分が軽やかに生きてゆける選択をできるかどうか。呪いからはさっさと一目散に逃げた方がいい。そんなことを感じる映画。

 

この映画には終始「トイレ」がキーポイントとして出てくるのですが(エンドロールも公共トイレで様々な女性が用を足したり化粧直しをしたりするのをずっと定点カメラで映しているもの)、それもやはり「食」と「排泄」に関係しているからではないかと。「食」と「排泄」は生きていくうえで不可欠なもので、どれだけ高尚な人でもお金持ちでも美人でも絶対に繰り返し行っている生命維持。「食べる」と「出す」は正反対でありながら直結していて循環している。彼女にとって「異食症」は、「食」という日々の生命維持の中で「平凡な自分だけどこんなチャレンジをした」という自信につながるものであり、そして排泄した異物はその証拠。「食べる」と「排泄」、「生きる」と「死ぬ」、そのことは常に回っていて、その逃れられない循環の中でどう自分が生きてゆくのかをトイレという定点を通して描かれた作品なのではないかと感じました。

とてもうつくしい作品だと思います。がんばりたいね。

 

 

『ザ・バニシング 消失』

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ザ・バニシング 消失 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『ザ・バニシング -消失-』オフィシャルサイト

ある日突然消えた恋人を捜す執念と亡霊にとり憑かれたかのような男が、次第に精神的に追い詰められていく姿を描いたサイコサスペンス。1988年に製作され、93年には監督のジョルジュ・シュルイツァー自身のメガホンにより、「失踪 妄想は究極の凶器」(ジェフ・ブリッジスキーファー・サザーランドサンドラ・ブロック出演)としてハリウッドリメイクもされている。日本では長らく劇場未公開だったが、2019年4月に劇場公開が実現。オランダからフランスへ車で小旅行に出がけたレックスとサスキアだったが、立ち寄ったドライブインで、サスキアがこつ然と姿を消してしまう。レックスは必死に彼女を捜すが手がかりは得られず、3年の月日が流れる。それでもなお捜索を続けていたレックスのもとへ、犯人らしき人物からの手紙が何通も届き始める。

【総評:☆4.1】

ストーリー:☆5

キャラクター:☆4

音楽:☆3

映像:☆4

リピート:☆4.5 

 

「真実を知りたい」という好奇心は君をも殺すとな~

 

さらに同じく、公開は少し前(製作はかなり前)なのですが、「シリアルキラー映画祭」にて鑑賞。 

長らく日本劇場公開はされていなかったもののサスペンススリラー映画として名高い本作。一言でいうなれば「好奇心は猫をも殺す」とはこのこと。

その思考を全く理解できないわけではない、全てがトチ狂っているわけでもない、一般的に社会生活を送り人間関係も築いている殺人鬼の妙に人間味の溢れた「計画」が実行される段階が淡々と映し出されるのですが、そこに主人公の悲痛な精神状態も相まって、きりきりと締め付けられるような不気味な安穏さが画面を支配しています。そして物語が進むにつれ、観客は主人公と同じように、犯人を憎むよりも、観客としてメタ的に映画を楽しむよりも、「彼女の行方が知りたい」という気持ちが先行していきます。

そこへ没入していく空気感が非常に秀逸で、観客は主人公と一体化し、追体験のように「彼女の行方」を嫌でも想像するようになる。

そしてすべての真実が明らかになったとき、私たち観客も主人公と同じ恐怖と絶望を知る。そのギミックがシンプルでありながら映像として卓越しているように思いました。

結末自体が物凄く異色というわけではないながら、一世一代のどんでん返しを食らったかのような気持ちになる。すご~~くイヤな映画なのに妙に後味すっきり。好奇心に殺された猫は主人公であり私たちなんですね~~~

 

 

『ヘンリー』

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ヘンリー : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

1970~80年代に全米で300人以上を殺害したといわれる伝説の殺人鬼で、「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクターのモデルにもなったといわれるヘンリー・リー・ルーカスの日常を、冷徹な筆致で描いた犯罪スリラー。14歳の時、虐待を繰り返す母親を殺害したヘンリーは、相棒のオーティスとその妹ベッキーとの奇妙な共同生活を始める。しかし、ヘンリーは次第に本能的ともいえる殺人衝動が抑えられなくなっていく。一方ヘンリーに惹かれるベッキーの様子にオーティスは嫉妬し、そのことから3人の共同生活は思わぬ惨劇へと発展していく。86年に製作されたものの、アメリカでも90年に公開されるまでお蔵入りなっていたいわくつきの一作。日本では92年に初公開。2019年4月、オランダの伝説的スリラー「ザ・バニシング 消失」の劇場公開にあわせて特別上映。

【総評:☆3.9】

ストーリー:☆3.5

キャラクター:☆5

音楽:☆3.5

映像:☆3.5

リピート:☆4

 

さらにさらに同じく、公開はかなり前(製作はめちゃくちゃ前)(公開時にすら生まれてない)なのですが、「シリアルキラー映画祭」にて鑑賞。 

みんなはやっぱりチカチーロ?アルバート・フィッシュ?ジェフリー・ダーマー?あえて古典のジャックザリッパー?ジョン・ゲイシー?いややっぱエド・ゲイン……?とはいえヘンリーでしょ!!というわけで超がつくほど有名な連続殺人鬼ヘンリー・リー・ルーカスをモデルにしたドキュメント調の本作

ヘンリーは一見すれば少し暴力的でキレたら手はつけられないものの、好きな女の前ではむしろ紳士的。勝ち組ではないものの細々と生活をして人並に生きていて、話だって通じる。そんなおおまかに分けたら「まとも」な男がなぜ息をするように300人以上を殺害したのか。その思想や哲学が語られることはありませんが、彼の生活の映像を通して、いかに彼にとって殺人が日常であったのか、それが彼にとっていかに「異常ではない」のかを淡々と描いており、この手の映画にしては珍しく殺人描写も控えめで、ただ彼という人間としての側面に焦点を当てて描かれています。

どうしてもこの手の映画はゴア描写に力を入れるか、あるいは殺人哲学を語るイカれた美しい映画になるか、そういう選択になりがちですが、本作はどちらでもない。

完全なるフィクションとして哲学が語られたりゴアが合ったりするわけでもなければ、映像としての洗練を全て捨てて『アングスト/不安』のように生々しくて噎せ返るような映像を淡々と流すわけでもない。

本作も映画として物凄く洗練されているかと言われたら微妙なのですが、殺人鬼の正常と異常をいったりきたりする平凡な生活が絶妙なバランスで描かれた、実在した殺人鬼マニアなら要チェックの作品でした。

私はヘンリーについてはwikiくらいしか知らないのですが、より深く知っていればさらに多角的に鑑賞できそう。作品の最後でヘンリーは同居していて好きだった女を殺すのですが(実際に起きた事件であるのでネタバレではないとみなして書いちゃいます)、以後彼は一生そのことを後悔するということを知って見ると、なんとも言えない気持ちになる。

 

ネトフリかどこかに、ヘンリーが虚言癖であったことを踏まえ実は殺人鬼ではないのではないかということを検証するドキュメンタリーもあったはずなので、それも観てみたいです。

人はどうして殺人鬼に惹かれちゃうんですかね。やっぱり人間は「狂気」が好きなのだと思う。インターネットと一番相性がいいのも「狂気」だし。

そんな「狂気」に触れたり触れなかったりする映画でした。

 

 

ヒッチャー

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( ヒッチャー(1986) : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

ブレードランナー」のルトガー・ハウアーが謎の殺人ヒッチハイカーを怪演し大ヒットを記録したサスペンススリラー。陸送の仕事をするジム・ハルジーは、シカゴからサンディエゴへと向かう砂漠地帯で、1人のヒッチハイカーを拾う。その男ジョン・ライダーは、ハンドルを握るジムの喉元にナイフを突きつける。一瞬の隙を見てライダーを車から突き落としたものの、その後も彼は執拗にジムを付け狙う。警察やウェイトレスのナッシュも巻き込み、事態は最悪の方向へと転がっていく。主人公ジム役に「アウトサイダー」のC・トーマス・ハウエル。「ボディ・ターゲット」のロバート・ハーモン監督がメガホンをとった。

【総評:☆4.2】

ストーリー:☆4

キャラクター:☆5

音楽:☆3.5

映像:☆4

リピート:☆4.5

 

バケモンに魅入られたら最後。

 

86年公開『ヒッチャー』のHDニューマスター版としてリバイバル上映された本作。「ヒッチハイカーまじコエ―!!!!!」というイメージを作り上げた映画だと聞いて観に行ったのですが、てっきりずっと車内で話が進んでいく『地獄のドライブ 90分――。』的な話かと思いきや、予想以上に神出鬼没で執念深い殺人鬼に主人公が地球のはてまで追いかけられて執拗に迫られる粘着ストーカーのパワープレイ映画。平気で爆発とかするしヘリ墜落とかする。

私は本作を「ははーん、ファイトクラブ的なやつね? 連続殺人鬼は本当は主人公なんだけど二重人格で、殺人をする別人格が主人公の目にはこの殺人鬼という他人として映っているやつね? いつネタバラシするのかしら?」と開始10分あたりから思って観ていたのですが(だって殺人鬼が意味深な発言ばっかするんだもん)、全然そんなことはありませんでした。

そんな穿った見方をしてしまうくらい神出鬼没で蛇のように執念深い男がなんの落ち度もないがとにかく気に入ってしまった主人公を追いかけまわしている。その脚本の粗をつつこうと思えばいくらでもできるのですが、それを有り余るほどの殺人鬼の不気味さと主人公へのよく分からない感情がカバーしている。

事件の数のわりに死体や殺人描写も殆ど出てこないため、とにかく殺人鬼の一切人間味のない不気味さに全振りしています。そしてその人間味のない不気味で奇妙な殺人鬼の唯一の人間っぽさが「主人公に殺されたい」という感情。そのねじ曲がった状態が観客を空虚感の支配するラストへと駆け抜けるように誘って行きます。その行く宛があったはずなのに見失ってしまい、ただ一本道を空虚なエンディングへとひた走るような感覚は、まさに本作のドライブというテーマそのもの。そこにヒッチハイクしてきた殺人鬼のせいで道はエンディングにひた走るのです。ゴールは当初と同じかはもう分からないけれど。

そんなこんなでイケてるTシャツも買いました。

 

 

『ズーム 見えない参加者』

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2020年、新型コロナウイルスパンデミックによる外出自粛などで世界的に一気に広まったWEB会議ツール「Zoom(ズーム)」を題材にした新感覚ホラー。ロックダウンされたイギリスを舞台に、Zoomを介して死者と交信を行う「Zoom交霊会」をはじめた男女6人が、次々と不可解な現象に見舞われる姿を描いた。新型コロナウイルスパンデミックのためにロックダウン中のイギリスに暮らすヘイリーらは、仲間たちと週に一度はZoomで顔を合わせていた。ある時、ヘイリーが霊媒師をゲストに招き、みんなで「Zoom交霊会」をしようと提案する。仲間たちも賛同し、いつもの飲み会のノリで和気あいあいと交霊の儀式が始められるが、そのうちそれぞれの部屋で異変が起こりはじめる。ヘイリーらは恐怖から逃れようにもロックダウンのため屋外へ逃げ出すことができず……。

 (ズーム 見えない参加者 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『ズーム/見えない参加者』公式サイト

【総評:☆3.4】

ストーリー:☆3

キャラクター:☆3

音楽:☆3.5

映像:☆4

リピート:☆3.5

 

思ってたよりは悪くないし時事ホラーでこれなら十分!時代はリモートワークではなくリモート降霊術だ!! 

というわけで本作は「リモートで降霊術をやったらとんでもないことになる」というコロナ禍における新感覚ホラーっちゅうわけで、全編通して画面上のみで話が進むのですが(このやり方自体はすでにいくつか作品が出ていますが)、これが結構いい。さながら定点カメラのようにずっと同じ画角なので本人たちの気付いてない「あ、なんかいる……?」がある。

ジャンプスケアもさほどなく、前半は「いるの?いないの?」調のほどよいホラー描写が続き、そこから一転、後半戦は強化版パラノーマルアクティビティのような殺意マックスのアッパー系悪霊の物理攻撃が始まる。これはもはや笑ってしまう。そこまで殺意抱かなくてもよくない!!??後半は完全にさながらジェイソンに目をつけられたキャンプ大学生のごとく逃げ惑い殺戮をされるばかり。

とはいえ特別料金1000円、本編の長さはちょうど1時間と、ほどよいスナック感。これを2時間だとしんどかったですが、1時間ゆえ間延びせず適度に楽しめる作品になってました。評価はそんなに良くないようだけど、料金と上映時間のことを加味して考えると、時事ホラーでこの出来は十分楽しめるものじゃないかな。

みんなも交霊会をするときは幽霊に敬意を払おうな!まあよく考えたら「一方的に他人を呼びつけといて小馬鹿にした態度をとる」って人間関係としてあり得ないので、そりゃ幽霊も怒りますわいな。

 

 

『さんかく窓の外側は夜』

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ヤマシタトモコの同名コミックを岡田将生と志尊淳のダブル主演で実写映画化し、「霊が視える男」と「霊を祓える男」の心霊探偵バディの活躍を描いたミステリー。書店で働く三角康介は、幼い頃から幽霊が視える特異体質に悩まされていた。ある日、康介は書店にやって来た除霊師・冷川理人に勧誘され、一緒に除霊の仕事をすることに。刑事・半澤から1年前に起きた連続殺人事件の調査を依頼された2人は、やがて遺体を発見するが、その遺体には呪いがかけられていた。真相を探るうち、彼らは自殺した殺人犯の声を度々聴くようになり……。

 (さんかく窓の外側は夜 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『さんかく窓の外側は夜』公式サイト

【総評:☆4.1】

ストーリー:☆3.5

キャラクター:☆5

音楽:☆3

映像:☆4

リピート:☆5

(胡散臭いカルト宗教とキモい男が観られて嬉しい!度:☆555)

 

メチャクチャ想像以上に胡散臭いカルト宗教と、胡散臭くてスカしてて相方にキモい執着をしているイケメンが見れたので完全に勝利をしてしまった本作。

男と男の巨大感情は鬱病に効くので完全に元気になってしまいました。

 

私は一応原作は途中まで読んだことがある身なのですが、原作に忠実かと問われたら微妙。キャラクターの外見は似ていないし、性格もどことなく違う。これは原作ファンからしたらケッとなっても仕方ないポイントで、「原作をもとに二次創作をした」ような感覚。それを受け入れられないファンも多くいると思うのでそこに対する批判は必ず発生するものだと思います。ただわたし個人としてはこのキャストの演じるキャラクターたちも魅力的でかなり良いと思ってます。

連載作品を映画にしたため展開は駆け足。前提となる設定を知っていなければ序盤の展開は戸惑うかもしれない。内容としては可も無く不可も無くなのですが、私は『事故物件 恐い間取り』『犬鳴村』あたりのトンチキを覚悟して観に行ったので、「結構いいじゃん」と思いました。風呂敷は広げすぎずコンパクトにまとめていて、名作!というわけではないけど無為なストレスもない。

幽霊描写が若干安っぽいという不満はありますが、ずっと真夜中でいいのにの主題歌、OP、廃墟映像、邦画メジャーシーンR12にしては結構頑張っていた死体描写、等々は満足いくものでした。結構頑張っていた映画な気がする。

さらにそこにオタク文脈のカルト宗教スプラッタと男男巨大感情が入ってきたので満足です。マジで一生鍵アカでこの映画の話をしてしまう。本当に岡田将生演じる冷川の執着や言動がたまらなく気持ち悪くてたまらなく好きです。

この映画、あと3回は観る。

 

KCIA 南山の部長たち』

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1979年に韓国の朴正煕大統領が中央情報部部長キム・ジェギュに暗殺された実話を基に映画化した実録サスペンス。金忠植(キム・チュンシク)によるノンフィクション「実録KCIA『南山と呼ばれた男たち』」を原作に、「インサイダーズ 内部者たち」のウ・ミンホ監督がメガホンをとった。1979年10月26日、大統領直属の諜報機関である中央情報部(通称KCIA)部長キム・ギュピョンが大統領を射殺した。事件発生の40日前、KCIA元部長パク・ヨンガクは亡命先であるアメリカの下院議会聴聞会で、韓国大統領の腐敗を告発した。激怒した大統領に事態の収拾を命じられたキム部長はアメリカへ渡り、かつての友人でもあるヨンガクに接触を図るが……。

KCIA 南山の部長たち : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『KCIA 南山の部長たち』公式サイト|2021年1月22日公開)

 【総評:☆4.4】

ストーリー:☆4.5

キャラクター:☆4.6

音楽:☆4

映像:☆4.5

リピート:☆4.5

 

政治サスペンス映画の秀作

胸のうちの青年将校の葛藤。理想は腐敗し、若く青き革命は権力へ。大統領への忠誠は絶望へ。

前提として私は高校で日本史選択をして私立大学に進んだちゃらんぽらんのため、もとになった大統領暗殺事件については浅学です。よって一切の先入観がなく、それゆえキム部長に寄り添った構成であるこの映画をキム部長視点でずっとみていたのですが。その目線で見ると大統領も側近たちも「悪いやつ」で、キム部長や告発をした元部長は「比較的良いやつ」に見えます。キム部長によった構成をするうえでそこのジャッジの危うさを覚えたのか、あくまで「全員悪人」という台詞が何度か登場します。全員高潔でも下劣でもない、ただ人であると。ただ人であるゆえに妬み嫉みが生まれ、媚びへつらい、私腹をこやし、権力におもねる。そして誰かを信じ、信じたいと願い、絶望していく。その淀み蠢く人間臭さと現実がこれでもかと描かれ、観ているこちらまで胃がキリキリしてくる。

結局最後までキム部長の真意は私たちにも分からない。結局彼は「妬み嫉みで大統領を暗殺した殺人犯」として絞首刑に処され、しかし彼本人は「韓国の民主化のために行った」と主張。そのどちらが彼の真意なのか、あるいはどちらも違うのか。私たちには分かりませんが、彼が絞首刑に処されたことを踏まえると、「歴史は勝者が作る」のならば……こんなふうに彼に寄り添ったフィクションが作られて、映画を通して当時の韓国の置かれていた緊迫的状況(そしてそれは今にも続いていて)を考える契機にもなるのではないかと感じました。

つーわけで政治サスペンスが好きな人はもちろん、多くの人に見てもらって胃を痛めてもらいたい一作です。

 

◆ ◆ ◆

↓以下、全てではないですがサブスク等で見た印象深いものです。↓

 

『フューリーズ 復讐の女神』

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フューリーズ 復讐の女神 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

殺人ゲームに強制参加させられた女性たちの恐怖を描いたスラッシャーホラー。ある夜、ケイラは友人マディとともに何者かに拉致される。棺桶のような箱の中で目を覚ましたケイラは、森の中で朽ち果てた死体を発見。悲鳴を上げた彼女のもとに、同じようにこの森へ連れてこられた2人の女性が駆け寄ってくる。そこへマスク姿の殺人鬼が次々と現れ、女性たちを惨殺。そして女性が殺されると同時に、1人の殺人鬼の頭が爆発する。不可解なルールに翻弄されながらも、マディを探し出して一緒に脱出するべく奔走するケイラだったが……。

【総評:☆3.66】

ストーリー:☆3.8

キャラクター:☆4

音楽:☆3

映像:☆3.5

リピート:☆4

 

結構いい……結構よくない!!??

というのも、本作はよくわる「人間狩り」「殺人ゲーム」の映画。かなり出つくされたジャンルであり、その上前提としてB級ジャンルであり、暇なときにサクッと見れるスナック映画にはなれども、なかなか名作を生み出すのは難しい。その中で本作はゲームに「ひと捻り」を加えたことで心理戦要素と、観ている側への新しいワクワク感を与え、この手の映画では意欲作だと思います。ふつうに殺人ゲーム映画としても出来は良いです。ゴアも人体構造ガン無視でちょうど良いし、殺し方にそこそこバリエーションあり。狩る側(これにギミックがあるのですが……)の殺人マスクもバリエーションがありつつちゃんと全部キモくて非常に良い。

エンディングに関しては最近結構あるアレなのですが、そこを加味しても、全体的にまとまっていて意欲があり、思わぬ良作でした。これも未体験ゾーンだったんですね。

 

 

ミッドナイト・ランナー

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「ビューティーインサイド」のパク・ソジュンと「二十歳」のカン・ハヌルがダブル主演を務め、警察学校の学生が偶然出くわした事件の解決のため実践捜査に乗り出す姿をコミカルかつアクション満載に描いた。警察大学で学ぶ血気盛んな行動派のギジュンと論理的で原理原則を重視する頭脳派のヒヨルは親友同士。ある時、外出先で偶然、拉致事件の現場に遭遇した2人は、学校で教わったとおりにすぐに通報するが、手がかりの複雑さや証拠不足から捜査はなかなか進展しない。時間だけが過ぎていく中、ギジュンとヒヨルは自ら捜査に乗り出すのだが……。

 (ミッドナイト・ランナー : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

 ( 映画『ミッドナイト・ランナー』公式サイト

【総評:☆4】

ストーリー:☆4

キャラクター:☆4.5

音楽:☆3.5

映像:☆3.5

リピート:☆4.5

 

笑いあり、涙あり、青春あり、バトルあり。スナック感覚お得セット。

本作は日本でも最近ドラマ化されていましたが、個人的にはこちらの韓国版のほうがクドくなく綺麗にまとまっていて非常にテンポ良く見られるため好きですネ。

凸凹のような、似たもの同士のような、ルームメイトなのか親友なのか同僚なのかバディなのか、一概には言い表せない彼ら2人の青春に存在する絆と前向きさが眩しくて、正義感に駆られて見知らぬ少女のために夜通し駆ける2人を見ながら「青春っていいよなあ……」という気持ちにさせられるなど。

本当に特筆すべき目新しいものは無いのですが、真っすぐな2人を真っすぐに描いていて爽快感があり、冒頭にも書いたようにスナック感覚で楽しめる映画。実質ハッピーセットですね。

 

 

『ハイヒールの男』

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「グッドモーニング・プレジデント」「ガン&トークス」のチャン・ジン監督と「シークレット」「約束」の演技派俳優チャ・スンウォンがタッグを組み、女性になりたい願望を抱える敏腕刑事がたどる過酷な運命を描いたノワールアクション。並はずれた強さと暴力性で、警察内部ばかりか犯罪組織からも一目置かれる存在の刑事ジウク。容姿にも恵まれ、誰もが羨むほど完璧な男のジウクだったが、実は心の内に女になりたいという欲望を秘めていた。長年にわたってそのことを悩み続けてきたジウクは、ある出来事をきっかけに本当の自分と向きあうことを決意する。しかし、そんな矢先、ある事件に巻き込まれてしまい……。 

 (ハイヒールの男 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

【総評:☆3.4】

ストーリー:☆3

キャラクター:☆3.7

音楽:☆3.5

映像:☆3.8

リピート:☆3

 

 「男の中の男」な最強刑事ジウクをぎゅっと抱きしめたくなる本作。

一見ハードボイルドな見た目に「ハイヒール」というタイトルを見て、コメディかはたまた耽美系かと思っていたのですが、女になりたい刑事ジウクの半生を描きながらその繊細さと葛藤に触れる作品。

特筆する大きなギミックはないのですが、これは韓国らしくもあるというか、バッドエンドではないけれど胸にしこりの残るような、「でも生きていくってそういうことだよね」という気持ちにさせられるエンディング。

正気を保っているのに1人だけ殺人兵器級の戦いを見せるジウクは、正気であるがゆえにむしろ一層恐ろしいのですが、その恐ろしさと共存する彼(彼女)の繊細やさ所作のかわいさに胸がきゅんとなる。マジで戦闘シーンについては「ひとりだけ映画の毛色違わん??」みたいなド級の超人っぷりを披露するのですが、その戦い方の洗練と泥臭さの共存といい、なんとなく今まであまり見なかった類いの戦闘の描き方。結構このシーンだけでも元取れた気になる。妙にリアリティのない血しぶきも相まってちょっとB級ゴアっぽくなっているのも個人的には結構好きで、そこに彼の怪演が乗っかって妙なトリップ感すら生まれる。

ただ、ジウクがあのラストに向かうのであれば、そこにギャップを生み出すためにもっと彼の女性化への執着やニューハーフの人たちとの交流も描いても良かったと思う。現状の脚本では最後の演出がいまいち活かしきれておらず歯痒い感覚。そこも踏まえて、もうひと捻りあってほしかったですが、コンパクトにまとまった佳作でした。

 

 

アイアムアヒーロー

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花沢健吾のベストセラーコミックを、大泉洋主演で実写映画化したパニックホラー。冴えない漫画家アシスタントの主人公・鈴木英雄が、謎のウィルスによって「ZQN(ゾキュン)」と呼ばれるゾンビと化した人々に襲われ、逃亡の道中で出会った女子高生の比呂美と、元看護師の藪とともに不器用に戦いながらも、必死でサバイバルしていく姿を描く。主人公・英雄を演じる大泉と、歯のない赤ん坊ZQNにかまれ、人間に危害を加えない半ZQN状態になるヒロイン・比呂美役の有村架純、大胆な行動力でZQNに立ち向かう藪役の長澤まさみが共演。「GANTZ」「図書館戦争」シリーズを手がける佐藤信介監督がメガホンをとった。

 (アイアムアヒーロー : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

【総評:☆4】

ストーリー:☆4

キャラクター:☆4

音楽:☆3.5

映像:☆4.2

リピート:☆4

 

私は『アイアムアヒーロー』原作を読んだことがなく、この世に「お前んちアイアムアヒーロー全巻揃ってそうだな笑」という罵倒文句が存在することだけを知っているインターネットオタクです。

なのでまっさらな気持ちで本作を鑑賞したのですが、原作を読んでいる友達から僅かに聞いた情報で「キャラクター設定を聞くに結構めんどそうな脚本なのかな」と思っていたのですが実際そんなことはなく。レビューを読むにかなり映像化にあたり余分な部分を省いてすっきりと構成させていたようで、このメジャーシーンの邦画でここまでゴアができたのも凄いし、日本のゾンビ映画という風体で良かったですネ。

 

 

『#生きている』

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「ベテラン」「バーニング 劇場版」のユ・アインが主演を務め、デジタルネイティブ世代の若者がゾンビと対峙する姿を描いたNetflixオリジナルのサバイバルスリラー。ある日、韓国ソウル近郊で謎のウイルス感染が発生し、人々がゾンビ化して街を襲ってくる。電話も通じず、インターネットも通信不能な中、ゲームオタク青年のオ・ジュヌは、マンションの部屋に閉じこもり、テレビのニュースと窓から見える景色から情報を得て、生き残りをかけたサバイバル生活を始める。VR機器やドローン、SNSを使いこなすデジタルネイティブなオ・ジュヌだったが、やがて向かいのマンションに暮らす女性で、斧やロープなどのキャンプツールを駆使するアナログ派のキム・ユビンと協力し、絶望的な状況から抜け出そうとする。

( https://www.netflix.com/title/81240831

【総評:☆4.6】

ストーリー:☆4.8

キャラクター:☆4.5

音楽:☆4

映像:☆4.5

リピート:☆5

 

生き残れ!SNS時代のゾンビサバイバル映画

派手に戦うわけでも、一般人に見せかけて実は殺人兵器級の戦闘能力を持つわけでも、知恵が働くわけでもない。なんの能力も持たない一般人がゾンビに囲まれたマンションで籠城しながら困窮していき、しかしそこに「生きねば」という気持ちを見つける過程の描き方が丁寧。

大体ゾンビ映画って、コメディか、論理性ガン無視アクションか、人間が一番怖いんだよスリラーか、おおまかに3つに分類されると思うのですが、本作はそれぞれのエッセンスを持ちながらもどれかに傾倒するわけではなく、「ゾンビがあふれた世界で一般人がどうにか生き延びていく」という日常を時には苦しく時にはコミカルに、ていねいに描き出す。やはり人は人がいないと生きていけない、そういう気持ちになる。

「殆ど引きこもりでネット依存の若者がゾンビに囲まれたマンションに籠城して頑張る」という設定から想像されるコミカルさやばかばかしさとは裏腹に、そのシチュエーションを胃もたれしない程度に絶望的に描きつつも、そこに「生きていくとはどういうことか」「生きていくためには何が必要か」というメッセージ的希望を込めて、そしてこれを福音とし締めくくる。

ラストは希望的で、「私も生きていかないとな」という気持ちにさせられる。

特筆すべき目新しいギミックやシチュエーションがあるわけではないものの、きちんと構成され丁寧に作られた良作ゾンビ映画。観て損がなかった。みんな、生きようネッ

 

『ザ・リチュアル いけにえの儀式』

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スウェーデンの森の奥深くで想像を絶する恐怖に襲われた男たちを描いたイギリス製ホラー。パブで酒を酌み交わしながら、旅の行き先について話し合うルーク、ロバート、フィル、ハッチ、ドムら5人の友人たち。しかしその帰り道でルークとロバートが強盗に遭遇し、ロバートだけが殺されてしまう。事件から半年後、4人は最後の晩にロバートが行きたいと話していたスウェーデンへハイキングにやって来る。道中でトラブルに見舞われ森の奥深くへと迷い込んだ一行は、不気味な廃屋で一夜を明かすことになるが……。

( https://www.netflix.com/title/80217312

【総評:☆4.4】

ストーリー:☆4

キャラクター:☆4.5

音楽:☆3.5

映像:☆4.8

リピート:☆5

 

ネトフリオリジナル映画。

山、コエ~~~~!

トラウマを抱えた主人公を含む仲良し男友達で山行ったらなんかヤバい怪異がおったぞ!!という話で、途中途中に出てくる儀式のためのような謎の文字や道具の存在感といい、「人ならざる化け物がいるかもしれない恐怖」と「トチ狂った人間がいるかもしれない恐怖」の挟み撃ちで最悪。しかも山で遭難の恐怖も追加である。

不思議なことに、北欧の山って神々しく禍々しい感じがしますよね。北欧神話の影響なのか、その寒い土地柄に想起されるイメージゆえか。日本でも東京大阪や名古屋の山と言われてもふうん……ですが、東北や北海道の山と言われるとなんかが居そうな気がしてくる。本来生身の人間が生きてはゆけない土地に感じる「人智を越えた何かがいるかもしれない」畏怖というのはアニミズムにも通じるところですが、本作も恐怖なのか畏怖なのか分からないその「対象」が現れる。そしてこの「怪異」の見た目がカッコイイ。モンスターで元が取れる。絶対遭遇したくはありませんが。

かっちょええ怪異だけでも見て欲しい。 

 

『バード・ボックス』

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ゼロ・グラビティ」「オーシャンズ8」のサンドラ・ブロックが主演したNetflixオリジナルのSFサバイバルサスペンス。未曾有の異変に襲われ、人類の滅亡も迫る極限状態の中で、幼い命を守ろうとする主人公の決死の姿を描く。思いがけず子どもを身ごもったマロリーは、ある日突然訪れた世界の終焉と人類滅亡の危機に直面する。謎の異変が次々と起こる中、生き残るためにできることは、決して「それ」を見ないということだけ。幼い命を守るため、マロリーは目隠しをして逃避行に出る。

 (バード・ボックス : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

https://www.netflix.com/title/80196789

 【総評:☆4.2】

ストーリー:☆4.2

キャラクター:☆3.8

音楽:☆3.8

映像:☆4.5

リピート:☆4.5

 

結構いい!!!!

クワイエットプレイス』以降目立つ「〇〇したら即死」ジャンルですが、本作は無茶な設定をうまく描ききっていてかなり良い!!ド派手な展開はないものの、人間の描き方、脚本、演出、何をとっても想像以上の出来でした!!

ぶっちゃけ『ドントブリーズ』に比べると『クワイエットプレイス』は出来がま~~~じで酷かったので(ガバガバをガバガバで包んでいます)、本作はハードルが下がっていただけにかなり良い。

「見たら死ぬ」という視覚が奪われた状況で生き残るために全てを塗りつぶした車に乗り込みカーナビを頼りに運転するシーンに顕著でしたが、「見たら死ぬ」というめちゃくちゃ無茶な設定を上手に脚本に落とし込みながら「そこに見えない(見れない)何かがいる」というホラー文脈につなげていく技量が秀逸。

「〇〇したら即死」ジャンルはいくつか観ましたが、『ドント・ブリーズ』を除くと今のところ一番良かった作品です。

 

あとなんか色々↓

 

『ブラックフット』……カナダ映画。山にキャンプに来たカップルが無能彼氏の珍プレーの連続により熊に襲われる。

ブラックフット : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

彼氏が無能すぎてイライラするし彼女の言うこと聞いていたらこんなことにはならなかったのだが!!??熊につけ狙われているのにセックスしようとすんなよ!!え、熊の執念深さと陰湿さをご存じない!?三毛別と九州大ワンゲル部のwikiを読まんか~~~い!振り切った死体と山の絶望感はわりと良かった。

『彼らが本気で編むときは、』……邦画。トランスジェンダー生田斗真で有名な映画。主人公の少女が叔父とトランスジェンダーの恋人が同棲する家に世話になることになり、そこで交流を深めていく。

彼らが本気で編むときは、 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

生田斗真トランスジェンダー女性の演技が良い。少し前の映画だからなのか感性の違いなのかは分かりませんが、個人的には「ん?このセンシティブなテーマでこの表現?」と引っかかったり多少気になる点はありましたが、女として生まれ女として生きてきて男と恋愛をしてきた自分には到底想像の及ばない現実の一部が表出していて、そこに様々な人物の葛藤が合わさって非常にテーマとしては重くも暖かみのある作品に。総括して言えば良い映画なんだろうなと思ったけど、でも観ていて辛くなっちゃった。みんな自由に生きたいねえ、、、、

 

『The Witch 魔女』……韓国映画。ある特殊施設で育ったものの逃げ出して記憶を失い酪農家夫婦に育てられた少女が、テレビ番組出演をきっかけに謎の組織に追われることになるバイオレンスアクション。

The Witch 魔女 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

公開時期を逃していたのだがようやく鑑賞。韓国によくある前半陰湿シリアス/後半血まみれバイオレンスの構造を踏襲しており、また前半の牧歌的生活を送る少女の平凡で可愛らしい笑顔から一転し後半の表情がヤバい。アクションも泥臭くありながら演出はSF的で、超人的能力を持つ者たちの人間じゃねえアクションが見られる。内容としてはもうひと捻り欲しいけど、アクションが満足。主人公の友達がマジで憎めないいいヤツなのでこういう友達がほしい。

 

『誰も眠らない森』……ネトフリオリジナル映画。ポーランドのスラッシャーもの。SNSスマホ)依存症の子供たちが更生キャンプで山に入るが、そこでなんかヤバい殺人鬼に襲われる。

ストーリーや展開、演出は普通だが、『13日の金曜日』みたいなスリラー/スラッシャーが好きな人間としては十分満足できるもの。殺人鬼もそこそこキモく(ゲームのリトルナイトメアっぽさがある)、離れ業は使わずにそこそこしっかり殺人にいそしんでくれている。ジェイソンのようなゲーム性に富んだオモシロエンタメ殺人法はないが、結構頑張って殺している。とはいえ細かい粗をつっついたらキリがないが、まあそんなものはナンセンス。殺人鬼の仕組みがよく考えたら結構やるせない。可もなく不可もなく、気軽に観られるスラッシャー映画。

 

フレディVSジェイソン……アメリカ映画。言わずと知れたクロスオーバー。バケモンにはバケモンをぶつけんだよ。

 フレディVSジェイソン : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

特に感想はないが、しかしゴジラVSシリーズもそうですがどうしてこういう「かっこいいとかっこいいを合わせたら2倍かっこいい!う~んオレって天才!」な全力バカ映画に人間は惹かれてしまうのでしょうか。ゴジラKOMの監督が「ハリーポッターゴジラがいたら面白いし、スターウォーズゴジラがいたらやっぱり面白いし、ゴジラゴジラがいたら2倍面白い」という旨のオタクコメントを出していたことが記憶に新しいですが……まあ要するにそういうことで。個人的には言動と女の襲い方がキモいフレディより無口な大男ジェイソンのほうが好きですね。

 

◆ ◆ ◆

 

ということで冒頭にもウキウキ書いた通り現在QOL爆上がり中なのですが、結果的に映画ではなくドラマとYouTubeを見ています。『民王』見返しているのですが爆裂面白いですね。睡眠時間は減っていますが、元々睡眠の質激悪いので、短くなっても構わないかなという所存です。どのみち毎日気絶しているのでね。

で、今月は試しに細かく☆をつけてみましたが来月は分からないです。

1月の総括は「韓国人は天才」、以上です。私に権力さえあれば、加瀬亮にノーカラーロングコートを着てエクソシストしてもらったし、坂口健太郎には特別な力はないけれど歳の離れた妹を守るためにゾンビで溢れて封鎖された都市からの脱出を目指してもらったのに。

 

権力を手にするその日まで、映画を観ようと思います。