現金満タン、ハイオクで。

サブカルチャーがだいすき。ツイッターの延長なので詳しくはツイッターを見てくれ。

2022年6月に観た映画の話をする

おは6月。すでに猛暑やないか。

 

 

『流浪の月』

ある日の夕方、雨の公園でびしょ濡れになっていた10歳の少女・家内更紗に、19歳の大学生・佐伯文が傘をさしかける。伯母に引き取られて暮らす更紗は家に帰りたがらず、文は彼女を自宅に連れて帰る。更紗はそのまま2カ月を文の部屋で過ごし、やがて文は更紗を誘拐した罪で逮捕される。“被害女児”とその“加害者”という烙印を背負って生きることとなった更紗と文は、事件から15年後に再会するが……。

流浪の月 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『流浪の月』 公式サイト

ロリコンの悲哀をこんなに丁寧に描けるの、クジラックス以外にいたんだな……(カスの感想)

 

インターネットで色々難癖をつけられることの多い広瀬すずですが、『怒り』を10代で演じ切った姿を見て以来わたしは役者としての彼女がとても好き。そんなわけで再びの李相日監督と広瀬すずということで非常に期待しながら観に行った本作。結果としては予想以上にとても良い。良い!!
やはり広瀬すず、同年代の女優の中で頭ひとつとびぬけているのではないかと思うくらいの気合入った演技。にしても李監督ほんとうに広瀬すずのこういう演技、好きだな。

広瀬すずの演技の何が良いかと言われたら、ふとした瞬間の「目」。よく「泣き叫ぶ演技は誰にでもできる」と言われるけれど、実際に派手な演技というのはおそらく比較的演じやすくて(美形のイラストは描きやすいからブスを上手に描ける漫画家はマジで上手いと言われるような感じ?)反面日常的な演技は凄く難しいと思う。本作の広瀬すずの表情はとても良い。特に目。怯え、惑い、疑い、信頼、安堵、恐怖、哀切、あらゆる感情を目の揺らぎでオーバーにならずに表現しきってる。ほんまええ役者や、、、、(上からぶんた)

同じく、松坂桃李をはじめとして本作に出演する俳優陣は上記のようにみんな「目」がいい。ガンギマってる。若干狂気ですらある。

一瞬しか出てこない柄本明内田也哉子も「この人じゃないといけない」と思わせる存在感で良い味を出していた。ミスキャストの対極のような映画。正解の音!!

さらに内田也哉子が母親役なのも妙に生々しくてリアル。こういった「毒親」的な役は華奢美人な母親として描かれることが多いけど、骨太でがっしりとしていて絶対に曲げない芯のありそうな、それでいて何を考えているか分からない爬虫類のような目をする内田也哉子を母親にするのが妙に生々しい。一瞬しか出演しないのに本質的恐怖を覚えさせるのでとんでもなく凄い。

 

ここで妙な生々しさの話をしたけれど、本作は本当に映画として「上手」で、脚本の設定や言い回しが繊細でこまやか。そして全てが温度感のあるリアリティを保持している。例えばバイト先の店長なんかも、非常にリアルな程度の善人具合。

こまやかな描き方で私の好きなシーンが、幼少期のさらさの座り方。まるで小鳥がその場しのぎの止まり木に宿るように、ハイチェアに腰かけてアイスを食べるさらさの、頼りないのに生命感のあるあどけなさがとても好きだった。

 

またその店長の台詞で「本当に心配している人もいる」というのがあって、それに主人公さらさの「人は見たいようにものを見る」という台詞が呼応する。

この物語をうつくしくとらえるのもまた我々の「好きに見ている」だけであって、(たしかにラブストーリーではなくともある種の「愛」の物語であるけども)2人の関係を生理的に拒絶する世間の反応というのも当たり前の話。

本作の感想で「何も知らない外野の心無い声が真実の2人の愛を妨げる!無責任な世間め!」のような熱の入ったツイートを散見したけれど、でも世間の反応が正常であるのも事実で、2人の間にある愛は2人にとってすら共通のものではなくてさらさとふみで全然捉え方も見え方も違ってくるものだと思う。そもそも真実なんてどこにもないのだから、さらさとふみのまなざしに乗っかって世間を「愚か」だと批判するのもまた身勝手な立場だよなとも思う。

内田也哉子もやべー親として描かれているしまあ恐らくやべー親ではあるんだけど、世間からすれば「ロリコン性犯罪者(仮)」の息子を衣食住与えながら軟禁する親ってすごくまともで有難いんじゃないだろうか。

 

さてカスの感想に立ち戻りますが、私は概念ロリコン殺生丸のせいだよ)が好きなので本作のふみがめ~~~~~ちゃくちゃラブでした!かわゆ!

そんでこんなに丁寧にロリコンの悲哀を描けるのはクジラックス以外に存在しえないと思ってました。ロリを描くのが上手な作家は数多いけれど、ロリコンを描くのが上手な作家はクジラックスのほかいない。『ろりともだち』、純文学である。

 

なんてカスな感想を抱きつつ、本当に映画として良作でした!!

 

ニューオーダー

裕福な娘マリアンは夢にまで見た結婚パーティの日を迎え、幸せの絶頂にいた。彼女が暮らす豪邸には、結婚を祝うため政財界の名士たちが集まってくる。そんな中、近所の通りで行われていた貧富の差に対する抗議運動が暴動化し、マリアンの家も暴徒たちに襲撃されてしまう。殺戮と略奪が繰り広げられ、パーティは一転して地獄絵図と化す。マリアンは運良く難を逃れたものの、次に彼女を待ち受けていたのは軍部による武力鎮圧と戒厳令だった。

ニューオーダー : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『ニューオーダー』公式サイト|6月4日公開

マジで最悪!!ディストピアスリラー。

オスカーでもアカデミーでもなくヴェネツィア国際映画祭で銀獅子なのが「め、めちゃくちゃわかる~~~」になる映画。個人的には2022年上半期いちばんの胸糞。

先月観たオールドボーイもかなりイヤな映画だったけど、オールドボーイが快楽を伴う「嫌」であるのに対して、本作はずっと不快な「嫌」。不快であることが売りなのでそれで正解なんだけど、ずっと「い、いやだな………………」と思いながら進むので、まあ、嫌だね。嫌なのが、良かったんだけども。

例えるなら「汚いパージ」。いやパージはそもそも汚いけど……。

 

恐らくありえないディストピアを描いているとは思うけど、メキシコならマジであるのでは?と思ってしまうし、どこまでが「現実の延長線」でどこからが「フィクション」なのかが分からないほど、メキシコの最悪な面をベースにしてどんどん最悪なことをないまぜにしてヘドロのようにうねる映画。エログロを必要最低限しか使用せずに渦巻く狂気と混乱を濁流のように強く表現しきっている。圧倒的な技巧。

ヘドロの濁流、あるいは汚物の侵食、世界の崩壊。
あのラストシーンからの無音のエンドロールの凄みといったら、鳥肌がたって背筋が冷たさに襲われる最高のフィナーレ。ぜひあのエンドロールを食らってほしいから、映画館で観てほしい。

 

緑の象徴する意味が分からなかったので、理解するとまたひとつ面白さが増しそう。

 

『きさらぎ駅』

2004年、「はすみ」と名乗る女性が、この世に存在しない「きさらぎ駅」にたどり着いた体験をネット掲示板にリアルタイムで投稿していたが、突然書き込みが止まったことで様々な憶測を呼び、現代版「神隠し」として話題となった。それから十数年後。大学で民俗学を学んでいる堤春奈は、「きさらぎ駅」を卒業論文の題材に選ぶ。投稿者「はすみ」の正体が葉山純子という女性だと突き止めた春奈は、調査の末にようやく彼女と連絡を取ることに成功するが……。

きさらぎ駅 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画「きさらぎ駅」公式サイ

一般の人が観たら本作を「くだらね~」と言うだろうし、我々のような種類のオタクが観たら「最高」と言う。そういう映画。

前提として2ちゃんの超有名都市伝説『きさらぎ駅』である必要性は正直感じず、きさらぎ駅の名前を拝借しただけで、異世界でさえあれば代替可能な世界観。それゆえマジのきさらぎ駅を期待して見に来た人からすれば納得のゆかない気持ちも十分に理解できるけれど、冒頭の草原で私は「当たり」を確信しました。

おそらく制作側も自覚して描かれている「代替可能なきさらぎ駅」。ヘイトを向けられることを承知の上で、それでも別個のエンタメを提供しようときちんと成立させていると思いました。

本番は中盤以降なので、席を立たないでほしい。中盤以降から「やった~~~~~!!!!」となる展開。私は真事故物件や黄龍のどんでん返し(?)でニッコリ大笑顔になったクチなので……。(ここで冒頭の感想に戻ります)

あと女と女の巨大感情がチラ見えしてかなり良い。オタクは巨大感情が好き。

それにしてもヤバ彼氏が全てのヘイトを一身に背負ってくれるのでストレスが少ない。あからさまなかませ犬、助かる。

 

(ちょっぴりネタバレ)

・最近流行の「暴力に容赦ない一般人女性(※本来戦闘要員ではなかった)」、ほんまに好き

・きさらぎ駅は1人ずつ入れ替えシステムのようだけど(伝承の七人ミサキをなんとなく連想した。正確なシステムは違うけど)、2週目の暴力性をもってして、全員生還ルートも今後あるかも!?見てみたいな。全員でヤバ彼氏やヤバおじさんをタコ殴りにしてほしい。

 

 

『オフィサー・アンド・スパイ』

1894年、ユダヤ系のフランス陸軍大尉ドレフュスが、ドイツに軍事機密を漏洩したスパイ容疑で終身刑を言い渡された。対敵情報活動を率いるピカール中佐はドレフュスの無実を示す証拠を発見し上官に対処を迫るが、隠蔽を図ろうとする上層部から左遷を命じられてしまう。ピカールは作家ゾラらに支援を求め、腐敗した権力や反ユダヤ勢力との過酷な闘いに身を投じていく。

オフィサー・アンド・スパイ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『オフィサー・アンド・スパイ』公式サイト

私は「ある程度アルコールが入った状態で、人の少ないレイトショーに向かい、あえて小難しそうな映画を選んで、うとうとしたり起きたりしながら結局あんまり内容を覚えていない映画体験」をめちゃくちゃオツだと思っているので、そのために観た映画。

アルコールがある程度入ってふわふわした脳みそでぼんやり見つめるスクリーン。「いつでも寝られる」空間でもてあそぶ適度な睡魔の心地よさ。鼓膜に届く異国の言語は知らない子守唄のようで、それでも「ああ~観ないとな~」と思いながら下がった思考力でおぼつかなく辿る脚本。ほんとうに何もかもが心地好くて、最高なんですよね…………。(保身のために野暮を承知であえて注意書きを足しますが、当たり前にそれなりの正常な思考力がある状態でしかいかないので、いびきかいて寝たりとか酒臭くてやばいとかそういうのはないですよ)

そんな24歳で見つけた最高の酒の楽しみ方のために、もとから少し気になっていた本作を見て、ふつうに面白かったです。知識が足りずに決闘のくだりはマジで意味が分からなかったのですが、こういった政治闘争系の映画にありがちな「小難しすぎる」ということもなく、実際にあったノンフィクションをほどよい塩梅でフィクションのエンタメ化して一般大衆にも分かりやすくした映画だったと思います。
ただそのように中盤まで中だるみもなく面白かっただけに、終盤が若干尻すぼみなのが残念。裁判のシーンももっと見ごたえがあればなお最高だった。

 

クリーチャーズ 宇宙から来た食人族』

ある時、宇宙を救うパワーを秘めた小動物型エイリアン「マンピー」が小型宇宙船に乗って地球に飛来。それを追って邪悪な肉食エイリアン軍団も巨大円盤型UFOに乗って地球にやってくる。彼らにたまたま遭遇した、イギリスの田舎の天文台に研究旅行に訪れていた大学生たちは、肉食エイリアンとその手先となったゾンビたちから地球を救うため、決死の戦いを繰り広げることになる。

クリーチャーズ 宇宙から来た食人族 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『クリーチャーズ 宇宙から来た食人族』公式サイト

普段ジャンル映画は観ますが、かなり久々に「ストレートなB級映画を観たぞ!!」という気持ちにさせてくれる映画!!

『イットカムズアットナイト』を「ゾンビの出ないゾンビ映画」と呼んだのは記憶に新しいが(名作だけど精神が削られるから二度と見たくないね)、本作は「サメの出ないサメ映画」。そう、概念としてのサメ映画。

粗いCG、ちぐはぐな脚本、意味わからん展開、雑なロケーション、全体に漂うチープさ。本作に宿るのはサメ映画の精神。そしてこっちは概念サメ映画が観たいのだから、そのためにTOCANA配給と聞いて予告を見てワクワクして公開初日にチケットを握りしめて劇場に走ったのだから、正解なのだ。これで正解なのだ。この全体的なチープさがとにかくたまらない。しかもマンピーは予想以上に可愛い。勝ってしまいましたね、また、賭けに……。TOCANA!これからもよろしくな!!以上です。

ちなみに一般の人※は本作をZ級と呼びたがるかもしれないが、私は呼ばない。なぜならば私は真のz級……ジュラシックシャークを知っているから……モノホンのZ級の浅さを絶対に舐めないでほしい…………

※重ね重ね恐縮ですが、わかりやすく表現するために「一般の人」と言っています。「ふつうの世間」「世論」「平均値」的な意味です。決してジャンル映画を観てるオレカッケー的な自意識により発せられているわけではないです。マジで勘弁してください。

 

『PLAN 75』

75歳以上が自ら生死を選択できる制度が施行された近未来の日本を舞台に、その制度に翻弄される人々の行く末を描く。少子高齢化が一層進んだ近い将来の日本。満75歳から生死の選択権を与える制度「プラン75」が国会で可決・施行され、当初は様々な議論を呼んだものの、超高齢化社会の問題解決策として世間に受け入れらた。夫と死別し、ひとり静かに暮らす78歳の角谷ミチは、ホテルの客室清掃員として働いていたが、ある日突然、高齢を理由に解雇されてしまう。住む場所も失いそうになった彼女は、「プラン75」の申請を検討し始める。一方、市役所の「プラン75」申請窓口で働くヒロムや、死を選んだお年寄りにその日が来るまでサポートするコールセンタースタッフの瑶子らは、「プラン75」という制度の在り方に疑問を抱くようになる。

PLAN 75 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『PLAN 75』オフィシャルサイト 2022年6/17公開

希望はないが絶望もなく、ただただ淡々と進む日常に仄暗さを落とす映画。

このときツイッターで流行っていた「なにひとつ良いことが起きない映画」タグを想起しましたが、でも本当に絶望も希望もないので、この表現があっているかどうか。最後にほんの僅かな希望のようなものは見えるけど、おそらく世界はこの先も大きく良くなることも悪くなることもなく、ただ穏やかに緩やかに流れてゆくだけなのだろうなと感じさせる雰囲気が、非常に生々しくすばらしい。大団円で終わるハリウッド映画も好きだし、斜に構えて最悪な終わり方をするトラウマ映画も好きですが、私はこういう静かで穏やかでなんとも言えない気持ちにさせられる映画がいちばん好き。!!

元になった短編が是枝監督なのでかなり「ぽい」のですが、ここまで重くてそれでいてうまく描かなければ薄っぺらく安っぽくなってしまう難しい題材を、約2時間飽きさせることなく(しかも大きな山場も絶望もない描き方で)撮った早川監督、すごい。長編デビュー作とのことなので、本当に今後がかなり気になる監督。

私は最近「磯村勇斗まじでサイコーの役者」と絶賛しているのだけど、本当にまだ若手の磯村勇斗が大ベテラン倍賞千恵子に食らいついていっていて、改めて脱帽。登場する人物全員静かな演技なのですが、その静謐さの中に若干狂気めいたものを感じるほどの静かな熱演。

ラストシーン、朝焼けではなく夕焼けで終わるのがとても良かった。「斜陽」などと言うけれど、最後に目がくらむほどきらめく瞬間があるのが夕焼け。そして一度沈むからこそ昇るのだし、昇るのだから必ず沈む。1日は確かに死ぬ。流転し循環するその狭間、そこに悲しみを見いだす人もいれば光を見いだす人もいる。やっぱり映画は余韻と空白があってなんぼだと再認識させられる本当に良い映画でした。良いもんみたな~

 

 

『心霊 x カルト x アウトロー

福岡県北九州市を舞台に繰り広げられる前代未聞の裏社会派心霊調査ドキュメンタリー。予想だにしない事態の連続に翻弄されながら、調査は思いもよらない方向に転がっていく。一時、続行不能状態に陥りながらもクラウドファンディングの達成によって公開にこぎ着けた、執念の意欲作。

これほどまでに「そういうオタク」を引き寄せて「そういうオタク以外」には見向きもされないタイトルがあるだろうか。こんなタイトル、ずるいよ。天才じゃん。

モキュメンタリが好きなので(ホラーの有名どころだとコワすぎとかね)うきうきで鑑賞したのですが、もう、タイトルにある通り。心霊でカルトでアウトロー。だんだんよくわからない方向へ話が転がっていく様が、モキュメンタリの体だからこそ生きる良い構造になっている。そして迎える煮え切らないラストのモヤモヤがたまらない。こういうの、好き。

 

『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』

瀬戸内海の離島で、日本有数の資産家が莫大な遺産を遺して変死した。資産家は死の直前に、娘の誘拐未遂事件の犯人捜索を若宮に依頼していた。真相を探るべく島へやって来た獅子雄と若宮の前に現れたのは、異様なたたずまいの洋館と、そこに住まう華麗な一族の面々と怪しい関係者たち。島に古くから伝わる不気味な魔犬の呪いが囁かれる中、島内で新たな事件が連鎖的に発生し……。

バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』公式サイト

声を上げて爆笑できる空間で見た方がいいので、ニコ生実況とかが最適解だと思う。

私はシリーズ初見で、予告を観て気になってはいたので「シリーズを観ていなくてもいける」というフォロワーの後押しで鑑賞。さっくりとした感想としては「邦ドラの劇場版という感じだし、まあでもそのわりにはテレビサイズ感が他の劇場版よりはまだマシで良かったかな」というものなのですが、あの、なんていうか めっちゃおもしろいね!!??本当に笑ってもいい状況で観たかった!!!

(フォロワーにすすめられて観たのでどう感想を言うか悩んだのですが、取り繕っても仕方ないので、基本的には「マジ」の感想を言います。気を悪くしたらごめんね。)

登場人物全員倫理観うっすらバグってるのもウケるし、そもそも本作の核になるはずの狂犬病の解像度がびっくりするくらい低くて「うそ!!??ww」になった。おもろ。ディスじゃないです、マジでおもろくて良かったので。
まず原作が今と時代背景が違い過ぎるので、現代で再現したときにどこまでもフィクション感が強くなってしまう(諸々の設定のガバさも相まって安っぽさへ繋がってしまう)というのがあって、横溝正史の世界観で再現したらまだ見られたのにな……という感覚は否めない。犬の銅像とかセットが微妙にちゃちかったのも惜しかった。邦ドラ、そういうとこある…………。

という悲しみの感想もある一方で、マジでおもろいという感想もあります。先生、それただのストーカーやん。

ラストについては思想を違えてしまったので残念でしたが(これは本当に仕方ない)(性癖の問題なので)、なんだかんだ次の劇場版もあれば観ます。オモロなので。

 

ハケンアニメ!』

地方公務員からアニメ業界に飛び込んだ新人監督・斎藤瞳は、デビュー作で憧れの天才監督・王子千晴と業界の覇権をかけて争うことに。王子は過去にメガヒット作品を生み出したものの、その過剰なほどのこだわりとわがままぶりが災いして降板が続いていた。プロデューサーの有科香屋子は、そんな王子を8年ぶりに監督復帰させるため大勝負に出る。一方、瞳はクセ者プロデューサーの行城理や個性的な仲間たちとともに、アニメ界の頂点を目指して奮闘するが……。

ハケンアニメ! : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『ハケンアニメ!』公式サイト

傑作!!!!!!!

社会で働くすべての人間、たぶん泣いてしまう。これはあくまでクリエイティブな職業の話ではあるけど、根幹にあるのは仕事賛歌なので、あらゆる職業の人にぶっ刺さるものがある。仕事賛歌などと言うとよくないブラック企業のようですが、つまりは「律儀に勤勉に自分の仕事をまっとうする」ことの尊さのことで。やりがいだけで搾取されるのではなく、そこには必ずお金の話もワークライフバランスの話もあって、食い扶持と浪漫をどう折り合いつけていくかという全社会人共通の永遠の課題を「アニメ」という可視的に分かりやすい生業を通して描き切っている。根本的に『ハケンアニメ』と『シンゴジラ』は同じ。です。

とにもかくにも本当に良くて、良くて、何をどう語ればいいのか分からないのですが、私はかなりうるっときたのよ。

「きみを絶望させられるのは世界にきみだけだ」、座右の銘にしたい。

そして「この世は繊細じゃないけど、生きてたら分かってくれる人が現れる。分かってくれたって、思えるものと出会える」という言葉が、そこまで描いてきた本作の丁寧な仕事ぶりに乗っかって非常に体重の乗った言葉になっている。生きてきた中で「この歌/映画/漫画/音楽/任意の何か は私を分かってくれた。私のことだ!」と一度も思ったことのないひとは恐らくいなくて、ほんの少しの心の支えになる何か大事なものをみんな胸の中で守りながらきっと生きている。“あの歌”を聴きながら泣いた日を思い出しつつ、むかえる終盤の爽快さ、きもちよさ。

モノづくりっていいな、まじめに頑張るって素敵じゃん、なんて思いながらつく帰路はなんだかちょっと良かったです。

一時は2週間で上映終了になる館もある中、映画の良さと口コミで再度上映館が増え、満席状態になっているシアターもある現状が、すごく本作のメッセージと重なっていてうるっと来た。

もうすこしだけ生きようという気持ちになる映画でした。よき。

 

『神は見返りを求める』

合コンで出会った、イベント会社に勤める田母神と、ユーチューバーのゆりちゃん。再生回数に頭を悩ませるゆりちゃんを不憫に思った田母神は、見返りを求めずに彼女のYouTubeチャンネルを手伝うようになる。それほど人気は出ないながらも、力を合わせて前向きにがんばっていく中で、2人は良きパートナーとなっていく。しかし、あることをきっかけにやさしかった田母神が見返りを求める男に豹変。さらにはゆりちゃんまでもが容姿や振る舞いが別人のようになり、恩を仇で返す女に豹変する。

神は見返りを求める : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『神は見返りを求める』オフィシャルサイト 2022年6/24公開

6月下旬、ギリギリで上半期ベスト映画に滑り込んできた!!!!最高!!!なにが最高?わからない、めっちゃ最高。私はこれ以上何も言わない、全員神見返求を観てくれ。ホラーやゴアが苦手だから真事故物件が観られなかったフォロワーも、これなら見られるでしょう。頼む。ほんま頼む。

予告から想定していた話とは少し違ったけど、なにひとつ無駄がなく、非常に良い映画。デフォルメ(誇張)されているけど決して一面的ではない人物たち、そしてあまりに解像度が高すぎる描写、多くを語らず余韻を残してエンドロールへ向かうバランス感覚の良さ、なにをとっても素晴らしい。

映画は雄弁に仔細を解説しないでほしいので、きちんと空白のある本作が大好きです。

そしてマジのときのムロツヨシ、だいすき。

上半期まさか滑り込みでこんな神映画が観られるとはね。神だけに。ドッ

 

『ALIVEHOON アライブフーン』

内向的な性格で人付き合いは苦手だが驚異的なゲームの才能を持つ大羽紘一は、解散の危機に陥ったドリフトチームにスカウトされる。eスポーツの世界で日本一のレーサーになった紘一は、実車でもその才能を発揮して活躍するが、そんな彼の前に、生死を懸けてレースに挑む者たちが立ちはだかる

ALIVEHOON アライブフーン : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『ALIVE HOON(アライブフーン)』 公式サイト|6月10日公開

陸のトップガンことアライブフーン。

恥ずかしくなるくらいベッタベタな少年漫画を恥ずかしがらずに“マジ”で真正面からやりきる姿勢、とても良い。そしてCGなしでドリフト映画を撮ろうとする心意気や、バカクレイジーで最高!!

ストーリーは「少年漫画」としか表現できないけど、むりやり2時間に収めたような映画なので物凄く駆け足。そのため人物描写やヒューマンドラマはかなり薄くなってしまいスナック感は否めないけど、脚本を薄くしてでも2時間ずっとドリフトを見せてくれるので大満足。

もちろんハリウッドなんかに比べたら規模感は小さくて「もう一声!」という感じはあるけど、とにかくできる限りの気骨あるドリフトが観られます。やったぜ。

 

 

 

というわけで6月お疲れ様でした。最近は邦画が豊作でうれしいなあ。ここからは怒涛のホラー公開ラッシュの7月へ突入。例年にないくらいのラッシュぶりじゃないですか?世界、生き急いでいるのか?

ちなみに私は7月スタートは哭悲で迎えます。がんばるゾッッ