現金満タン、ハイオクで。

サブカルチャーがだいすき。ツイッターの延長なので詳しくはツイッターを見てくれ。

2022年1月後半から2月に観た映画の話をする

あんま観てないな

◆ ◆ ◆

 

『マニアック・ドライバー』

f:id:highB:20220119224224j:plain

愛車である黒のプレジデント・ソブリンと同じ色のドライビンググローブをはめた、タクシー運転手のフジナガ。ある忌まわしい出来事によって絶望の淵に落とされたフクナガは、狂気にとりつかれ、最高の生贄と呼ぶに相応しい女を殺して自分もこの世界から消えてしまうことを望んでいた。ある夜、ついに「生贄」を発見したフクナガは、密かに彼女をつけ回し、住所を突き止めることに成功する。

マニアック・ドライバー : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

MANIAC DRIVER-映画『マニアック・ドライバー』公式サイト (maxam.jp)

バイオレンスノワールと謳われているけれども、それ以上にジャッロ的性格の強いハレンチエログロ映画。

まずこのポスターの昭和オマージュから察しの通り、作中ではおおよそ2021年に製作されたとは思えないほどピンクでグロくてハレンチな絵面が続いて、まさに笑いとエロは紙一重。なんで風俗嬢でも最近は着ないスケスケ下着を自宅で着てるねん。なんで唐突に真剣で斬り合って乳首舐めて騎乗位やねん。バニーやねん。で、オムツかい。まあ出し惜しみをせずに乳首が出る。乳房はまだしもこんなに乳首観たの久しぶりかもしれん。
女は殺されるために自ら準備をして薄着になり乳を放り出して、エクスタシーを感じながら殺人の恐怖に戦く。THE低予算映画であるがゆえに偏執的な殺人の様子がジャッロとしてうすらキモく輝いていて、要するに、丸尾末広などを好む人間が好きな感じのピンクい映画。
いや、でも、わかるよ。私ももしスリラー映画を撮るとしたら、おおよそ2022年に製作されたとは思えないほどピコピコテロテロしたシンセサイザーをBGMにしたいもん。ロマンじゃん。
いやあ、本当にポスターが良い。ほしいな。

 

『決戦は日曜日』

f:id:highB:20220119224511j:plain

とある地方都市。地域に強い地盤を持つ衆議院議員・川島昌平の事務所で私設秘書として働く谷村勉は、川島のサポートに徹する仕事に満足していた。ところが、衆議院解散のタイミングで川島が病に倒れてしまう。次の選挙で川島の地盤を引き継いで出馬することになったのは、川島の娘・有美だった。世間知らずで自由奔放だが熱意だけはある有美に振り回されながらも、彼女を当選に導くべく奔走する谷村だったが……

決戦は日曜日 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『決戦は日曜日』オフィシャルサイト

一生懸命落選しようとする宮沢りえが良いッ

最初は宮沢りえ演じる有美の性格をうざったく感じて、ばかだなあと思いながら観てしまうけれど、徐々に有美の正常性と政界のまっすぐな異常性のコントラストがにじみ出てきて感覚がぐわぐわと揺さぶられてくる。コメディ映画におけるシニカルさのお手本のような、非常にきれいな塩梅の映画。
いや本当にコメディにおけるシニカルはこれくらいがすごくちょうどいいんですよ。本当に。観ていて「ちょうどよ~~~~~」と言いたくなっちゃうくらいちょうどいい。正常的な異常さと異常な正常さがコミカルな空気にうまくなじんで、そこから、ラストのまるで悪鬼羅刹か魑魅魍魎のような笑い声が下からのぼり迫ってくるところの、ゾッとする気味悪さにうまく響いている。窪田正孝にしか演じられないのでは?と思うような事なかれ主義の脱力秘書がピカイチ。

ラスト、ちょっとやっぱり気味が悪いね。

 

バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ

f:id:highB:20220213214936j:plain

巨大複合企業「アンブレラ社」の拠点があるラクーンシティの孤児院で育ったクレア・レッドフィールドは、「アンブレラ社がある事故を起こし、そのせいで街に異変が起きている」という不可解な警告のメッセージを受け取る。不審に思いラクーンシティに戻ってきたクレアだったが、ラクーン市警に勤める兄クリスは、クレアから聞いたその話を単なる陰謀論だとあしらう。しかし、やがて2人は変わり果てた姿の住民の姿を目にし、アンブレラ社が秘密裏に人体実験を行っていたことを知る。

バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』 オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

バイオハザードというゲームの実写化」という感じの本作。

実際に完全な再現度で言えば原作ファンとしては納得のいかないところも多々あるでしょうが(色々配慮して黒人になったりしているので)、とはいえミラジョボビッチのバイオハザードが「ミラジョヴォヴィッチのバイオハザード」過ぎるので、今回は予想以上に良い意味でゲームライクな演出に、個人的には大満足でした。ミラジョヴォヴィッチのバイオハザードも、それはそれで味わい深くて好きではあるけども。

バイオハザードっぽい、ということは、それだけホラー文脈が強いということで。得体の知れない「恐怖」が徐々に世界を侵食していくその薄気味悪さ、ゾンビたちの生々しい造形、ゲームにおけるステージ制を映画に落とし込んだことで映像でも際立つ閉塞感。若干スナック的なきらいもありますが、でも、そこも含めてバイオハザードの「良さ」なのでね。

原作を知らないひとでもホラー映画・ゾンビ映画として楽しめるギミックが多く、それはもちろん原作をなぞっているからではあるのですが、今回の脚本監督がヨハネス・ロバーツだからというのも大きいと思う。

『海底47m』シリーズで遺憾なく発揮した、サメ映画にホラーの構造を落とし込む上手さ。
このシリーズは、サメ映画といえばナチスに並ぶおバカ題材として完全に定着してしまって油断してしまうところもあるけれど、サメ映画つまりはモンスターパニックというものは大前提として「恐怖」なんだぞ!!という根本をハッと思い出させてくれる名作でしたね。とにかく、ともすればウケちゃう感じの設定をきちんと「怖く」描くその技量に、うめぇな~~と当時思っていたのですが、本作バイオハザードでもそれがちゃんと出されていて、私は非常に満足でした。

観た人にはわかるだろうけど、洋館序盤でのパッパッというフラッシュ演出が、めちゃくちゃ海底47mでしたね。へへ。

 

『ノイズ』

f:id:highB:20220213215122j:plain

時代に取り残され過疎化に苦しむ孤島・猪狩島。島の青年・泉圭太が生産を始めた黒イチジクが高く評価されたことで、島には地方創生推進特別交付金5億円の支給がほぼ決まり、島民たちに希望の兆しが見えていた。しかし、小御坂睦雄という男の登場によって、島の平和な日常が一変する。小御坂の不審な言動に違和感を覚えた圭太と幼なじみの猟師・田辺純、新米警察官の守屋真一郎の3人は小御坂を追い詰めていくが、圭太の娘の失踪を機に誤って小御坂を殺してしまう。3人はこの殺人を隠すことを決意するが、実は小御坂は元受刑者のサイコキラーであり、小御坂の足取りを追って警察がやってきたことで、静かな島は騒然とする。

ノイズ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『ノイズ』オフィシャルサイト

思ってたんと若干違ったけどふつうに面白かった。

私はOTAKUであるがゆえに「幼なじみによる死体の隠蔽、その閉塞感と秘密の共有」を目当てに観に行ったので、「思ってたんと若干違う」となったのですが、ごろごろ転がるようにどうにもならず加速していく状況と焦燥、追い詰められていく息苦しさ、そういったものが描かれていて良かったです。含みを持たせる終わりも嫌いじゃない。

途中のドミノ状態のあたりは面白くなってしまいましたが(褒めています)、苦しくなりすぎずにエンタメとして消費できるほどよい塩梅の映画でした。

殺人犯が結構ちゃんとキモいのもリアルに嫌悪感をもよおして良かったです。きも!

 

『TUBE』

f:id:highB:20220217214040j:plain

暗く狭いチューブの中で目を覚ました女。腕にはカウントダウンを表示するブレスレットが取り付けられていた。訳の分からぬままチューブ内を移動すると、別のチューブにたどり着く。チューブはまた別の空間に繋がっており、迷路のように入り組んでいる。しかも各チューブには恐ろしいトラップが仕掛けられ、考える間もなく次々と恐怖が襲いかかる。彼女は出口を求め、延々と続くチューブをさまようが……。ヒューマントラストシネマ渋谷&シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2022」上映作品。

TUBE チューブ 死の脱出 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

http://www.at-e.co.jp/2021/tube-1

「あえ!そういう話!!?」と中盤あたりでなります。

ストレートな名作というわけではないけど、『未体験ゾーンの映画たち』として正解の映画。
デストラップも欲張りセットで、マジでこんなん嫌なんやが・・・・・と思わされる展開が一生続く。例えば『SAW』シリーズの後半のデストラップは技巧的でアクロバティックすぎて「すげー」という感想が先立ってしまい、嫌悪感は特にないのですが、本作のデストラップはリアルに「いてててて」となる感じのやつ。映画で腕ぶったぎられるシーンは直視できるけど爪剥がすシーンは直視できない、そういうアレです。

不条理系が苦手な人からすれば絶対に納得いかない映画だろうけれど、私は不条理大好きなので楽しめました。

個人的には、TUBEが母体の胎内を暗喩していて、主人公の女性の生まれ直し(生き直し、再生)のメタファーなのかなあと思っています。

 

『キラー・セラピー』

f:id:highB:20220305165400j:plain

1人の少年が殺人鬼へと育っていく姿を描いたスリラー。ブライアンは両親の愛情を養女である妹に奪われ、怒りをあらわにする。息子の凶暴性を危惧した父親は病院に連れて行くが、繰り返される恐ろしいセラピーはブライアンの精神をむしばみ、闇の世界へと引きずり込んでいく。出演は「バタリアン」シリーズのトム・マシューズ、リメイク版「ハロウィン」のダエグ・フェアーク、「13日の金曜日」のエイドリアン・キング。監督・脚本は「ペイシェント・セブン」の脚本を手がけたバリー・ジェイ。ヒューマントラストシネマ渋谷&シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2022」上映作品。

キラー・セラピー : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

 

最初のセラピストが諸悪の根源やないか!!!!

私はてっきりゴッサムシティのさらにスラム以下に住まうような治安おしまい倫理観バグりちらかしてる家族(と環境)で育ったサラブレッドサイコパス育成記録かと思っていたのですが、そうではないし、意外と主人公がおばか。天使のツラして中身が狡猾で大人を欺くタイプの子供ではないし、そのぶん人間味もあって「ああ~~~~たぶんこの子病名がつくから子供のときにまともな医者にあたって適切な治療を受けていればそこそこふつうに社会で生きていけただろうに~~~~~」となります。そして冒頭の、某セラピストへの苛立ちが募る。

とはいえ殺人を犯して以降の主人公の犠牲者および周辺人物は全然非がなく、特にあの女の子の彼氏はムーヴがいじめっ子っぽいだけで言動はめちゃくちゃ正論。ブライアン、おまえキモイぞ!!

 

監督、「うんうん、そうだね、じゃあ今日もお薬出しておくからね」とものの数分で話を終えていつもの薬を出すだけの精神科医になんかムカついてんだろうな~~、と思いました

 

『真・事故物件 本当に怖い住民たち』

f:id:highB:20220305165607j:plain

血まみれのゴア、スプラッター、残虐描写を限界まで満載して描いたバイオレンスホラー。「事故物件に住み込み、幽霊をカメラに収めるまで帰れない」という企画の番組に無理やり参加させられた、YouTuberとアイドルの卵たち。史上最も凄惨と言われたバラバラ殺人事件の現場だったアパートに暮らし始めた彼女たちを待ち受けていたのは、おぞましい悪霊だけではなかった。やがて、彼女たちは想像を絶する恐怖と苦痛の数々に直面する。オカルトメディアの「TOCANA」が製作した作品で、数々の短編スプラッター映画で注目を集めた佐々木勝己監督がメガホンをとった

真・事故物件 本当に怖い住民たち : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『真・事故物件』公式サイト

さいっこ~~~~~~~~~!!!!!!!

言葉では何が最高か言い表せない。とにかく見てほしい。とにかく最高。

まず大前提としてホラーとして出来がいい!!
それでいてゴアも気合が入っている!!
味変に次ぐ味変!!(本当は味変あるって知らずに見てほしいからこの発言をすることで私はフォロワーの楽しみを少し奪っているんですけどとにかく最高なので言わずにはいられないんです)

ちゃんとホラーなのでホラー苦手な人は観に行きにくいかもしれませんが、この映画を観た人間は全員ニッコニコで劇場を後にすること、間違いないです。ありがとう、本当にありがとう。

なんかもう何が最高かはわからないけどエンディングも最高!!!!

私は自分の人生が終わるときにでっかく「終劇」と出てほしい人間なので(?)

いやあほんとうに私はこういう「体験」がしたくて映画を観ているんです!!!!エンタメに人生救われてる~~~!!少なくとも2月にして上半期ナンバーワン出ちゃったかもしれない。

唯一の難点はこのあと他の映画を観ようとしても「面白くても、でも真事故物件より面白いということはないだろうしな・・・・・」となってしまう点です。3/13時点、まだ何も見ていません。『ハングリー』は観たい。

そして続編決定、ありがとう!!!!!!!!人生かなり助かっている。

◆ ◆ ◆

ニート・オブ・ザ・デッド』

ゾンビが蔓延した世界を舞台に、家族とは何かを問いかけた異色のホームドラマ。街中を徘徊するゾンビたちから身を守るため、一軒家で籠城をはじめた家族。ところが、引きこもりの息子がゾンビになっていることが判明する。息子の扱いをめぐり、家から追い出そうとする父親とこのまま同居しようという母親が激しく対立する。

ニート・オブ・ザ・デッド : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

邦画のゾンビものが観たくて、木下ほうかも出ているし見てみようかなと軽い気持ちで鑑賞。長さもちょうどよく、ほぼ家の中だけで話が進んでいく、ゆる~くブラックなテンポにくすりと笑わされ、日本の家庭環境を凝縮したような一家がゾンビ世界を通してしっちゃかめっちゃかになり最後はひとつのエンディングを迎える様がおかしくもアットホーム。予想していたよりよき映画でした。

 

健太郎さん』

一軒家で暮らす4人の家族、斎藤家には赤の他人、"健太郎さん"が同居している。奇行を繰り返す彼は一体誰なのか、その目的は。一つの真実にたどり着いた時、想像を絶する絶望が姿を現す。ノンストップホラーサスペンス

Amazon.co.jp: 健太郎さんを観る | Prime Video

年末年始にアマプラでなんか観たい!とツイッターで言っていたら教えてもらった本作。短いので見やすいし、世にも奇妙な物語系の映画なので、不条理系が好きなひとにはきっとドンピシャ。脚本自体はわかりやすくシンプルでありながら、「健太郎さんって何者なんだ?なにかのメタファー?」という謎解きの快感も押えていて、そして少し考えてみると色々と考察も出来て非常に楽しい作品。

健太郎さんが一家に寄生するに至ったそのきっかけ、それ自体も作中のさまざまな些細なヒントを組み合わせていくと、もしかして……なんて想像が膨らんでしまう。

よき映画でした。