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2020年12月に観た映画を振り返る

ごきげんよう。12月ですね。

今月も☆をつけて評価させていたでぇておりますが、前回も述べたように、感覚的な分かりやすさを優先させた結果なので、ほならねは言わないでネ!

 

 

『MORTAL モータル』

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MORTAL モータル : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

のむコレ2020 | SPOドラマ倶楽部

ノルウェー西部の荒野。エリックは不可解な事故で少年を殺してしまい、逮捕される。真相を調査する心理学者クリスティーンはエリックに同情し、彼が悪人でないと信じる。アメリカ大使館はエリックの引き渡しを要求するが、エリックはクリスティーンとともに逃亡。ノルウェーアメリカの両国から追われる身となったエリックは、やがて自分がノルウェー神話の「トール」の力を持っていることに気づく。

☆4.0

 

北欧神話が好きな人にはアツい感じの北欧産SFスリラー

のむコレ2020にて限定上映されていた本作。『ジェーン・ドゥの解剖』のアンドレ・ウーブレダル監督と聞いて、うそ!!!ラブラブラブラブ絶対観る!!とギリギリで限定上映終了間近にシネマ―ト心斎橋にダッシュして観た。映画館マジで私1人しかいなかったのでスタッフさんが優しかったしトイレで死ぬほど自撮りした。どうでもいい話ですが。

『ジェーン~』はホラー映画としての恐怖を遺憾なく発揮していましたが、本作は毛色の違う作品ながら、『ジェーン~』にもあった静謐な畏怖ともいうべき雰囲気が全編を通して描かれており、それは監督がノルウェーという冷たく厳かな大地で育ったゆえなのだろうかと思ったり。

ところで、西洋の映画で描かれるアジア(日本や韓国、中国なども含め)はその湿度の高さとむしっとした異国情緒の雰囲気ゆえ画面が緑がかったようなエフェクトがかけられることが多いのですが(アジアンフィルターといいます)、北欧になると彩度が落ちて水色がかるようなイメージがありますね。本作はノルウェー自体の映画でありそういったフィルターは無いはずなので、観客である私の先入観でしょうが。

本作の話に戻ると。もしハリウッド映画であったならばヒーローとして描かれるであろう「人智を超越した超能力に目覚めた男」の数奇な運命を神々しくも禍々しく描いており、北欧映画っぽいなあと思わず言ってしまったその数奇なラストに向かって物語は絡めとられるようにひた走っていきます。

目覚めてしまった能力の描き方が壮絶で、神の力にも見えるし、しかし彼自身の立場になるとそれはもう呪いですらある。

「うわ~~やだな、やめてよね、やだなぁ」と一番忌避していたラストになったので後味は良いかと言われたら、まあ、良くはないのですが、もっと多くの人が見て楽しむべき映画だなと思いました。

私は北欧神話にあまり詳しくないので分からなかったのですが、多少なりとも知識のある人が観たらもっと楽しめたと思う。

 

 

『恋するけだもの』

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 (恋するけだもの : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

過去を隠して田舎町の工務店で働き始めた内気な青年・宙也は、同僚たちから暴力を振るわれる日々を送っていた。町では近頃「男が関西弁の女装男に声を掛けられ、交際を断ると殺される」という都市伝説がささやかれていた。ある日、宙也は好意を寄せている同僚・栞から、一緒に逃げようと持ち掛けられる。彼女によると工務店の人間は人殺しで、宙也もいずれ遊び半分で殺されるという。2人は町外れのスナックで落ち合う約束をするが、逃亡に気づいた工務店の社長や同僚が彼らを追う。そんな中、噂の女装男が現れ宙也に一目ぼれしたことから、事態は思わぬ方向へと展開していく。

☆4.3

(宙也ちょうかっこいい~~~~~~~~~~抱いてくれ:☆555555)

 

出た!!みんな大好き白石晃士監督の作品。おしっこから始まり、ずっとおしっこと下ネタとナンセンスバイオレンスのオンパレード、きったね~~映画。それが好き。

マジできたねぇバイオレンス映画で、登場人物全員トチ狂っていて誰にも共感できないのですが、根底に一貫した「きったねぇスジ」があり登場人物全員(誰にも理解されないのだとしても)自分なりの哲学と思想があるので観ていて不思議と不快感はない。誰1人としてブレない、それこそけだもののように社会の規範ではなく己の欲望のみに従っているからこそ、血にまみれた先のエンドロールは爽快。こんなに「割れ鍋に綴じ蓋」が似合う2人はそうそういないぞ、という主人公と女装男の関係性がどうにもぐっときてしまう。

大前提として本作は血みどろバオレンス映画でモラルはゼロの世界観な上、まず日本ではありえない治安の悪さ(なんでみんな銃持ってんの)なので、脚本の細かいギミックを楽しむという映画ではありませんが、とにかく白石監督のインディー映画調のバイオレンス映画を存分に楽しむというもの。そしてその中に爽快感があり、キャラクターの魅力がある。

ともすればしゃらくせえ学生映画になりかねない脚本と演出なのですが、そこをうまーくまとめているのが、やっぱりプロの監督なんだなと白石くんを見直しました(?)

 

あとこれは本当に言いたいんですけど主人公の宙也が本当にかっこいい、もう半分抱かれたも同然ですよこれは。いや嫌いな女はいないでしょ。かっこいい~~~~~ラストの戦闘シーンまでちゃんと観てください。かっこいい。えぐかっこいいので。ラブ。

とりあえず白石監督が楽しそうにしていたらみんな嬉しいので、これからも好きなものを作って時々ぼくらに見せてほしいですネ。

なぜだか繰り返し観たくなる、バイオレンスなのに心地よい後味の残る映画です。

 

 

『バクラウ 地図から消された村』

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バクラウ 地図から消された村 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『バクラウ 地図から消された村』公式サイト|11月28日(土)公開

アクエリアス」で注目を集めたブラジルの新鋭クレベール・メンドンサ・フィリオ監督が手がけ、第72回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した作品。村の長老・老婆カルメリータが亡くなったことをきっかけに、テレサは故郷の村バクラウに戻ってきた。しかし、テレサが戻ったその日から、村で不可解な出来事が次々と発生。インターネットの地図上から村が突然姿を消し、村の上空には正体不明の飛行物体が現れる。さらに、村の生命線ともいえる給水車のタンクに何者かが銃を撃ち込み、村外れでは血まみれの死体が発見される。めったに訪れることのない他所者が村を訪れたことをきっかけに、暴力と惨劇が幕を開ける。「アクエリアス」から引き続きフィルオ作品への出演となる「蜘蛛女のキス」のソニア・ブラガ、ブラジルを代表する若手女優バルバラ・コーレンのほか、「奇跡の海」「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の怪優ウド・キアらが顔をそろえる。

 ☆4.0

 

カンヌにて『パラサイト』と最後まで争ったとの前情報のみ聞いて観に行ったのですが、南米ミッドサマーかな(^-^)と思ってたたら、泥臭いバイオレンスと小難しい政治の話が絡んでいました。

まず本作は現在より数年後、熱気と黄砂を感じる荒野をひた走るタンクローリーの映像で始まります。そこからバクラウと呼ばれる村に到着し、その村が現在置かれている状況の説明がされ、村人全員がダウナーにトリップしたような葬式が執り行われる。観客が感じるのは「後進」感。そこから終盤に本作の背景が明かされるまで、村の貧しいながらものんびりそれなりに楽しく暮らす牧歌的な映像と、そこに見え隠れする冷たい恐怖が交互に溶け合って示され、そこにぞわぞわと居心地の悪さを感じさせられます。

コピーが「血と暴力に彩られた現代の寓話」というのは言い得て妙。私は恥ずかしながら浅学なので、なんか水源問題とか……いろいろ……描かれてて……皮肉とかも……あるのかな……?というふわふわした感想しか抱けませんでしたが、現在の南米を取り巻く問題など政治や情勢のことを分かっている人が観たらきっと色々深いことが感じられるんだろうな…………!!と思いました。浅くてすみません。

ただよく分からない人間から観ても、その現代の問題を、文明から取り残されたような田舎の小さな村で包んで描いていて、「現代の寓話」とはこのことか!となるくらい分かりやすかった。

ラストについては、現在ではすっかり「当たり前」になってしまっている展開のためそこにどんでん返しを期待したら拍子抜けしてしまうかもしれませんが、それなりに面白かったです。敵側はよくわからんかったけど。ただちょっと「カンヌでパラサイトと争った」という前評判と、不穏な上にUFOが飛んでるポスターが良すぎて、自分の中でハードルが上がりすぎていたのかな。フラットな気持ちで見に行くのがいいと思います。

 

 

『クローゼット』

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クローゼット : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『クローゼット』公式サイト|12月18日公開

「神と共に」シリーズのハ・ジョンウと「殺人者の記憶法」のキム・ナムギルが初共演し、行方不明になった娘を捜す父と彼を手助けする謎の男を描いたミステリー。妻を事故で亡くしたサンウォンは、自身も事故のトラウマに苦しんでいた。娘のイナを連れて新居に引っ越した彼は、イナとの間にできた深い溝を埋めようと努力するが上手くいかない。やがてイナは新しい友達ができたと笑顔を見せるようになり、一方でサンウォンはクローゼットから聞こえてくる奇妙な声に悩まされはじめる。そんな中、イナがこつ然と姿を消してしまう。必死で娘を捜すサンウォンの前に、彼女の行方を知るという謎の男ギョンフンが現れ、クローゼットにすべての秘密が隠されていると言うが……。

☆3.0

韓国映画の「文脈」サイコ~~~~~:☆5)

 

前半シリアス後半バイオレンスという韓国映画あるあるを踏襲した、前半シリアス後半トンチキバイオレンスの古典的ホラー。

恐怖描写に関しては、ジャンプスケアも少しはありますが多用されることはなく、静と動のバランスを取りながら「そこにいるかも」という静かな恐怖が描かれます。娘・イナの演技も生々しくて非常に良く、いかにも韓国映画っぽい嫌~~~な空気感がホラー映画の中に溶けてさらに嫌~~~な雰囲気を醸しています。やだな~~~~。

ものすごく目新しい演出や構成は特になく、後半のトンチキバイオレンスに関しては邦画がやったら『事故物件 恐い間取り』のラストバトルや『犬鳴村』でめちゃくちゃ幽霊が饒舌に話し出したときくらい「オイ!!!!!!!」と叫びだしたと思いますが、なんか韓国映画だと許せる。その理由を考えていたのですが、たぶん画面構成がなんとなく綺麗で「マジ」の圧があるのと、なにより韓国映画は「文脈」を抑えるのがうまいからではないかと。

この「文脈」というのはオタクの文脈の話なのですが、韓国映画観る人、わかりますよね。このオタクの文脈。オタクの好きな演出や構成の感じ。韓国映画のお祓い、一生観れるよな。かっこいい。超オタクのやつ。米津の歌詞くらい「こんなんオタクじゃなきゃできねぇよ……」になる。

胡散臭いが実力はピカイチのイケメン祓い人とすさんだ男やもめおじさん、そして小生意気な娘、一生見れる。一生見れます。「文脈だな~~~~」って100回言った。

そういうことを置いておいてもホラーとして並の作品ではあるので観て損することはないと思います。強いて言えば後半が人によっては受け入れられないのかも。感動ポルノのトンチキと感じる人もいると思うので。

 

 

以下はネトフリやアマプラ等で観たもののうち、印象に残ったものの話。

 

『ソーセージ・パーティー

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ソーセージ・パーティー : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

http://www.sausage-party.jp/

郊外のスーパーマーケットで、お客に選ばれ、買われることを夢見て毎日陳列されている食材たち。ソーセージのフランクは、恋人であるパンのブレンダと結ばれ、ホットドッグになる運命が待っていると信じていた。2人揃ってカートに入れられ、ついに夢が叶う時が来たと喜ぶ2人だったが、カートにアクシデントが発生し、スーパーマーケットに取り残されてしまう。絶望する2人だったが、食材としていずれ人間たちに食べられてしまう運命にあったことを知り、アクシデントのおかげで命拾いしていたことに気付いたフランクとブレンダ。やがて食材たちは、人間への反撃を始める。

 ☆5.0

 

YouTubeに違法アップロードされている食材たちが乱交するシーンでおなじみの本作ですが、アマプラにあったことを知りようやく鑑賞。

てっきり乱交と虐殺シーンのみのおとぼけB級映画かと思っていたのですが、きちんと冒険譚としての道筋が描かれ、戦いを通してキャラクターの成長も描かれ、構成だけで言えばティーンエイジャーの成長と葛藤を描いた超王道のアメリカ映画ナイズ。

そこに最悪なまでの息をするような下ネタとバイオレンスと薬物を混ぜ合わせてチンして出来上がったスナック冷凍食品のような映画。

何度でも繰り返し観たくなるような中毒性があり、潔いまでに全てを皮肉っていて、メタ的で、「ガキの心を持った大人によるガキの心を持った大人のための全力悪ふざけ映画」という感じで見ていて心地よさすらある。個人的にはクリスマスパーティーなどで酒の入った状態で大勢で観たいですね。

 

 

『エマ、愛の罠』

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エマ、愛の罠 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『エマ、愛の罠』公式サイト

ダンサーのエマは、ある事件をきっかけに心の拠り所を失ってしまった。 振付師である夫との結婚生活は破綻した彼女は、その妖しい魅力を武器に実直な消防士、さらに彼の妻までをも虜にしてしまう。不可解なまでに奔放なエマの行動。その行動の裏には衝撃的なある秘密が隠されていた。

 ☆3.0

 

Creepy Nutsの『阿婆擦れ』、「綺麗で 卑猥で ドぎつくて 知的で 繊細で どこかトチ狂ってる」という歌詞を思い出したのは私だけではない、はず。

 

数ヶ月前に劇場公開をしていたもののタイミングが合わず見逃していた本作、オンライン試写があるとのことでようやく観れました!

とにかく「オシャレ」な映画。

美しい男女。ダンサーたちのしなやかで躍動的な肉体。肌も髪も数多の色を宿した女たちの蠱惑的な笑みと奔放で自由な行動。燃えさかる炎。美女の手には火炎放射器。藝術。主人公エマの美しくて恵まれた容姿、舞う肉体、跳躍する手足、笑顔と怒り、そして1人の女と1人の男を誘惑した末にあったその目的。

彼女の謎めいた、それでいて世間の一切のしがらみから解き放たれたような奔放な振る舞いの目的は、結局のところ彼女が女であったがゆえの些細な目的に収束していきます。大それた犯行に対してささやかすぎた目的。そこにセンチメンタルな町並みとダンサーたちの映像、その生き方が相まって、どこか虚しい気持ちが胸に巣くいます。その一方ですっきりとした後味もないことはない。なんとも言えないエンドロール。とにかく美しくトチ狂った女のおしゃれな映画が観たいならおすすめです。

個人的には、つまらないということはなかったのですが、単純に好みではなかったのかな。エマを観た日に『恋するけだもの』と『バクラウ』を観たためすっかり疲れ切っていて、あまり内容が頭に入ってこなかったのも敗因。かも。

 

以下日記のような。

さて2020年が終わりますね。コロナでマジでなんの思い出もない。個人的には、3月にミュージカル刀剣乱舞~静かの海のパライソ~のために、緊急事態宣言!?東京ロックダウン!?などと巷で囁かれ百合子が「感染爆発重大局面」つってフリップを掲げているニュースを見ながら死ぬ気で大阪から東京に行ったのが最後の東京だと思っていたので、今月12月末に死ぬ気で神聖かまってちゃんのライブのために東京に行けて嬉しかったです。魂売ってる大阪人だから東京だ~~~いすき♡

1月2月も東京に行く用事が大量にあるので東京だ~~~~いすき♡

 

無職のまま終える2020年ですが、1月は観たい映画が死ぬほどたくさんあるので頑張ります。