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2021年!2月!映画!まとめ!

ジャンル映画が好きです!!!!恋愛映画にはどんな名作でもさほど興味が無い。なので今月のトーシロー星付け基準は「ストーリー」「演出」「その他の加点(要するに俺の好みかどうか)」で、めちゃくちゃハートに響くかどうかに重きを置いていっちゃおうかなと思っています。 食べログよりは信用してもらっても大丈夫だと思います。

映画以外の日記や様々なことはnoteのほうです(別に読まなくてもいいです)BUN太|note

 

2月は

 

◆ ◆ ◆

 『ダニエル』

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内気で繊細な少年ルークには、自分にしか見えない空想上の親友ダニエルがいた。しかしある事件をきっかけに、ダニエルの存在を封印することに。時が経ち、成長したルークは孤独と不安に苛まれ、再びダニエルを呼び覚ます。カリスマ性あふれる美青年の姿で現れたダニエルの助言により、ルークの人生は好転していく。やがてルークはダニエルを必要としなくなるが、ダニエルはそれを許さず、次第にルークの精神を支配するようになっていく。

 (ダニエル : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

『ダニエル』公式サイト

 【総評:☆4.3】

ストーリー:☆4.5

演出:☆3.9

俺の好み度:☆4.5

 

『ブロマンス×イマジナリーフレンド×スリラー!』耽美全振りかと思いきやスリラー全振り!コワ!

時に私はオタクです。ボーイズラブが大好きです。一番好きなのは男たちの間に「文脈」を感じるブロマンスです。なので本作の説明文を見たときに「お!『君の名前で僕を呼んで』的な?感じ?」と思って下心全開でチケットを購入したのですが、結果的には「キモコワ!!!!!」でした。

何がと言ってしまうとネタバレになりかねないので言葉を選びますが、『あれ』がキモいし、そもそもダニエル(イマジナリーフレンド)の言動も逐一キモい。確かにブロマンスっちゃブロマンスだけども、結構しっかり正統派スリラーを展開していて、ストーリーの大枠自体は非常に平素なものでありながらそこに『イマジナリーフレンド』というエッセンスを加えることにより「ひと捻り」を感じさせ、なんとも言えない虚無感に包まれるラストに向かって伸びていく。

映像の撮り方も美しく、主人公ルーク(マイルズ・ロビンス)の演技も狂気がかっていて秀逸。終盤にかけて胃が締め付けられるような気味悪さと絶望が空気に乗ってこちらまで支配してきますが、寒々しいラストがしかしどこか開放的ですらある。

殆ど当たり屋事故のようですが、こんな目には遭いたくない。

これ、私が観た時は映画.comで☆1.9だったので、マジで面白いか面白くないかって人それぞれだから絶対に自分の目で確かめるべきだなと思いましたね。マジで。マジです。

 

以下ネタバレになりますが↓

『あれ』の正体は時代や国によっては「悪魔」とも「悪霊」とも「トラウマ」とも「統合失調症」とも呼ばれるそれ。何かと言われたら分からない。ただ主人公自身が生み出した本当のイマジナリーフレンドではなく、それを装った(?)人の精神を渡り歩きその魂と肉体を乗っ取り破滅させる、まさに「悪魔」てきな何か。それ自体もひとつの脚本のギミック、どんでん返しになっており、スリラー的快感が十分にある。

というのを踏まえた上で、しかしやはり『あれ』の正体が単純な悪魔的存在であると結論づけてしまうのは早計な気もする。主人公ルークには精神病を患う母親がいて、その遺伝により自身も精神疾患が発生しやすい状態であったともいえますが、結局『あれ』(ダニエル)が人間の悪魔的で傲慢な面、怠惰な面、消し去ってしまいたいあらゆるヤなところを反映した「もうひとつの人格」であるという一番最初の設定にやはり違いないと思いました。

「弱っている人の気持ちの隙間に付け込んで甘い言葉を囁いて人生を破滅させる」そういう、現実の社会にも存在する様々な「悪魔」の象徴であるとも思います。要するに甘言には気をつけよ~~ネ。楽して高収入とか、ないから。

 

個人的には『あれ』の見た目がはっきり映ったのがちょっぴり残念なのと、映すならもっと予想外の容貌であってほしかった気持ちと。

とはいえ面白かった!

 

 

『樹海村』

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「犬鳴村」に続き、実在した心霊スポットを題材に描く「実録!恐怖の村シリーズ」第2弾。自殺の名所として世界的にも広く知られる富士の樹海を舞台に、インターネット上の怪談スレッドで「絶対に検索してはいけない」と語り継がれる通称「コトリバコ」と呼ばれる呪いの箱と、樹海がもたらす負の引力によって巻き起こる狂気と混沌を描く。かつて人々を戦慄させた、古くから伝わる禍々しい強力な呪いが、富士の樹海の奥深くに封印された。それから13年後、樹海で行方不明者が続出する事態が起こり……。

 (樹海村 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『樹海村』公式サイト)

【総評:☆3.8】

ストーリー:☆3.3

演出:☆4.0

俺の好み度:☆4.0

 

『犬鳴村』的なトンチキかと思ってトンチキスイッチをオンにして観に行ったら意外にも正統派ホラーでした。何!!??

 

記憶に新しい『犬鳴村』のトンチキ。わたしのように斜に構えたひねくれオタクはむしろそういうのを甘受し消費するのが大好きですが、しかしながら本作は予想外にも「まとも」。大衆ウケじゃん!!?いやそれで正解ですがね。

わたしは洒落怖に入り浸ってるタイプのオタクで、橋本環奈が「千年に一度の美少女がみつかる」的なスレタイ2chで祭りになったときもリアタイをしていたインターネット人間なので、コトリバコを映画化されると聞いて「ええ……」という気持ちも若干あり。

「凝縮された手のひらサイズの地獄」とかいうセンスある一文はコトリバコだったっけ。まあその程度の記憶でもあったので、ま~~いっちょトンチキ拝みにいきますか!くらいの気持ちで観ました。

 

そしたら全力でホラー。静と動のバランスを摂りながら、湿っぽくてじめじめした湿度の高い日本の気味悪いホラーに見事に昇華していて、振り切ったダイナミックな呪いと静かに忍び寄る恐怖の絞め技が絶妙。

絶対にこんな目には遭いたくないね!!!!日本の呪いは不条理なので!!!!

ラストは清水崇らしいテイストなのですが、いやほんと清水崇ゾンビ映画撮ってくれないかな~~~!!気持ち悪くてセンス爆発した思い出に残るゾンビ映画が生まれそうなんだけどな~~~!!

 

 

『ヤクザと家族 The Family』

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「新聞記者」が日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた藤井道人監督が、時代の中で排除されていくヤクザたちの姿を3つの時代の価値観で描いていくオリジナル作品。これが初共演となる綾野剛舘ひろしが、父子の契りを結んだヤクザ役を演じた。1999 年、父親を覚せい剤で失った山本賢治は、柴咲組組長・柴崎博の危機を救う。その日暮らしの生活を送り、自暴自棄になっていた山本に柴崎は手を差し伸べ、2人は父子の契りを結ぶ。2005 年、短気ながら一本気な性格の山本は、ヤクザの世界で男を上げ、さまざまな出会いと別れの中で、自分の「家族」「ファミリー」を守るためにある決断をする。2019年、14年の出所を終えた山本が直面したのは、暴対法の影響でかつての隆盛の影もなくなった柴咲組の姿だった。

 (ヤクザと家族 The Family : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『ヤクザと家族 The Family』| 1月29日(金)全国公開)

【総評:☆4.5】

ストーリー:☆4.5

演出:☆4.5

俺の好み度:☆4.5

 

本作はあらすじにもあるようにヤクザの栄枯盛衰を3つの時代を通して描かれるのですが、その悲哀に満ちたヤクザの生き方が不器用でもの悲しくもいとしい。

やくざに浪漫をみている人からしたら直視できないような諸行無常が展開されるのですが、しかしながら移り変わる時代と、やくざでしか生きられないやくざ、やくざを続けられなかったやくざ、それぞれにある守りたいものや選びたいものの違いで運命は緩やかに隔絶されてしまう。

時代に即した登場人物が出てきて、2時間にコンパクトにおさめるために多少駆け足なところもありますが、どの人物もチャーミングで、うつりゆく時代とキャラクターへの解像度が結構高い。

「時代は川の流れ」とはよく言ったもので、個人の足掻きでは到底太刀打ちできないような「流れ」が確かにそこにあって、それでも脚を踏ん張って流れに逆らう人もいればたゆたう人も流される人もいる。それを不快だと感じる人もいれば心地よく感じる人もいる。繊細に描かれた脚本の雄大で穏やかでありながら全てを押し流していく川の流れ。そこに存在する一人一人が切なく、なのになぜラストは晴れやかですらあるのか。

切なくなるけどとても良い映画でした!

 

で、現実のヤクザ、全員舘ひろしにならんかな~~~~!!

舘ひろしは茶目っ気がありながら器が大きくて暖かく、優しくも芯の通った親分。しかも見た目が舘ひろし。現実のヤクザこんなふうにならんかな。わたしも仕事の関係上たぶんヤクザなんやろなあな人とは何度か関わったことがあるのですが(イキリとかではないです)、舘ひろしみたいな人はひとりもいなかった。舘ひろしはフィクション。当たり前体操。

 

 

多少気になる点について。

強いて言うなれば、この映画に限らずですが、インターネットへの解像度が低いのだけ勘弁してほしい。他が解像度高いだけにそこだけ浮いている。4Kの時代にそこだけファミコンみたいな画質。

物語を都合よく運ぶための装置としてインターネットを活用するのは構わないのですが、それならばやはりそこにもリアリティをもたせないといけない。例えば警察や医療、車輌、着物や茶道、そういった専門分野には必ず監修がつきますが、インターネット監修もつけたほうがいいのでは?と思わされる。

具体的に言うならば、ツイッター描写で「○○逝ったwwwww」みたいな書き方をされるのですが、いまのツイッターってむしろ句読点あり長文もしくは「~~~!!!!」みたいな書き方が主流だと感じるので、なんかニコニコ動画のときからイメージとまってるんだなあ……という気持ちにさせられる。

インターネット監修、アリだとおもうんだけどなあ。

 

 

『プラットフォーム』

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スペインの新鋭ガルダー・ガステル=ウルティアが、極限状態に置かれた者たちの行動を通して様々な社会問題をあぶり出した異色スリラー。ゴレンは目が覚めると「48階層」にいた。そこは遥か下まで伸びる塔のような建物で、上下の階層は部屋の中央にある穴でつながっており、上の階層から「プラットフォーム」と呼ばれる巨大な台座に乗せられて食事が運ばれてくる。食事は上にいる人々の残飯だが、ここにはそれしか食べ物はない。各階層には2人の人間がおり、ゴレンは同じ階層にいた老人トリマカシから、1カ月ごとに階層が入れ替わること、そして食事を摂れるのはプラットフォームが自分の階層にある間だけ、というルールを聞かされる。1カ月後、ゴレンが目を覚ますと、そこは以前より遥か下の「171階層」で、しかも彼はベッドに縛り付けられ身動きが取れなくなっていた。

 (プラットフォーム : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『プラットフォーム』公式サイト|2021年1月29日公開)

【総評:☆3.3】

ストーリー:☆3.0

演出:☆4.0

俺の好み度:☆3.0

 

たぶんなんか……CUBE的なアレ!

あらすじからして高尚哲学映画なのは100人中100人が気付いていただろうし、それを前面に押し出して思想を展開しているから「しゃらくせえ!」とかは一切無いのですが。それをしゃらくさく感じる人はそもそもこの映画を選ばないだろうし。

ただわたしが浅学ゆえに、メッセージの全てを咀嚼しきれなかった。『バクラウ』でも感じましたが、伝えたいということは分かるのに伝えたい内容を理解しきれないというのは非常に歯がゆい。なんか……なんか伝えたいことは分かる!なんか、現代社会の見えないが確かに存在するカーストへの皮肉とか、他人を蹴落として生きてゆくシステムへの揶揄とか、なんかある、あるのは分かるけどわたしにはそれを咀嚼し血肉にして他人のために言語化することができない。歯がゆい。観ながらずっと口をもごもごさせていました。

 

ちなみにこういう不条理系で組織の正体も目的もわからんのはやだ!という人もいるかもしれませんが、わたしはCUBE続編のトラウマがあるので不条理系は不条理系のまま終わってほしいから種明かしははしないでほしい派です。なので本作はよかった。種明かしされなくてよかった!万人の納得する正体なんてないから絶対にもやもやしてしまうし。

そもそも世にも奇妙な物語で育っているから、不条理系のシステマティックな説明は野暮だなあと思ってしまう。謎は謎のままでたのんますわ。

 

 

『ノンストップ』

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テロリストにハイジャックされた旅客機を舞台に描くアクションコメディ。揚げパン屋を営むミヨンは、パソコン修理工の夫ソクファンと娘と家族3人、つつましくも幸せな生活を送っていた。ある日、景品でハワイ旅行に当選した一家は人生初の海外旅行に旅立つが、搭乗した旅客機には北朝鮮のテロリストが乗り合わせていた。旅客機はテロリストにハイジャックされて危機に陥るが、そこでミヨンの隠されていた能力が覚醒。不審な男を瞬く間に打ちのめすほどの戦闘能力を発揮する。一方、夫のソクファンも愛する妻に見せていない別の顔を持っており、その秘めた能力で旅客機を救おうとしていた。

 (ノンストップ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『ノンストップ』公式サイト

【総評:☆4.5】

ストーリー:☆4.0

演出:☆4.6

俺の好み度:☆5.0

 

韓国人は最高!!!!!!

 

本作はまさにタイトルにふさわしく「ノンストップ」。

展開に次ぐ展開、緩急のアクションとコメディ、細かいことをねじ伏せる力業、まさにコメディアクションの王道のような映画。

キャラクターも全員魅力的で愛らしく、転がるように進んでいく話はストレス皆無で爽快。笑えて迫力があって楽しい、エンタメにこれ以上求めるものはありません。

細かいことを言い出したらあそこがよかったここがよかったとキリがないのですが、なんかもうやっぱ韓国人って天才しかいねえな~~!!つって劇場を後にしました。天才しかおらんな……。

 

 

『哀愁しんでれら』

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市役所に勤める小春は平凡な毎日を送っていたが、ある夜、不幸に見舞われ全てを失ってしまう。人生を諦めかけた彼女の前に、8歳の娘を男手ひとつで育てる開業医・大悟が現れる。優しく裕福で王子様のような大悟に惹かれた小春は、彼のプロポーズを受け入れ、不幸のどん底から一気に幸せの絶頂へと駆け上がるが……。

 (哀愁しんでれら : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画「哀愁しんでれら」公式サイト 2021年2/5公開

【総評:☆4.3】

ストーリー:☆4.0

演出:☆4.5

俺の好み度:☆4.5

 

賭けに勝ちました!!!!!!

 

邦画のこういうのってかなり当たり外れがわかれるというか……平たく言ってしまえばぶっちゃけ9割は外れがちなのですが、今回は完全に賭けに勝ちました。

「めでたしめでたし、を迎えたシンデレラのその後」の話なのですが、良い意味で演出が寓話じみている。一歩間違えたら「ここ日本だよ……リアリティないなあ」と言われかねない演出の連続なのですが(家のセットもそうだし、秘密の内容も、些細な演出もなにもかも)、それを稚拙さゆえのリアリティのなさではなく「寓話じみた演出」として表していて、それはやはりひとえに監督の力量ではないかと。

生々しいリアルな生活と、おとぎ話のような煌びやかな生活。そしてその煌びやかさにしみこんでいる寓話じみた悪意。そのギャップをうまく描きながら、土屋太鳳の狂気じみた演技と相まって非常に不快でじめじめしたおとぎ話をこちらに提供してくる。

 

そしてこれは本編にはあまり関係ない疑問なのですが、邦画ってなんで殺戮やえぐいシーンで第九的なクラシックもしくは子供の合唱を流しがちなんでしょうか。B級スラッシャーにシンセサイザーBGMが流れるのと同確率くらいある。エヴァンゲリオンの影響?

 

 

あとなんか色々↓

 

『来る』……心霊バトル日本映画。解像度が高すぎるイヤ~~な親戚の集まりから始まり、全てがめちゃくちゃイヤ!!!日本中から集結する能力者たちは本当にかっこいい、神道と仏教どころか地域も国も超えてごちゃまぜで始まる儀式に脳汁ドパドパ。最高のエンタメ。

 

『エイリアン コヴェナント』……アメリカ映画。リドリー・スコット監督が自身の傑作SF「エイリアン」の前日譚を描いた「プロメテウス」の続編。らしい。

エイリアンシリーズは一通り見たのですがぶっちゃけエイリアンvsプレデターの印象が強すぎてよく覚えていない。なので本作はなんのこっちゃだったのですが(いわゆるモンスター映画ではなくシリーズにおける謎を追究する内容なので)、映像は綺麗でした。脚本については言いたいことがないと言ったらウソになりますが、その壮大なスケールと哲学はやはり圧巻。と思う。モンスターを期待する人間には拍子抜けかもしれませんが、再度シリーズを見直してから再挑戦したいですネッ。

 

2月、駆け足で終わりましたね。3月も生存できたらしたいです。