現金満タン、ハイオクで。

サブカルチャーがだいすき。ツイッターの延長なので詳しくはツイッターを見てくれ。

2021年12月もちょっと映画を観ていたので年の瀬に振り返るよ~

えっ……………………2022年!!!!!!??????未来じゃん

 

 

◆ ◆ ◆

『最強殺し屋伝説国岡完全版』

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「ベイビーわるきゅーれ」のシナリオ作りに励んでいた阪本監督は、「関西殺し屋協会」なる殺し屋ビジネスネットワークの存在を知り、協会の紹介で京都最強と呼ばれるフリー契約の殺し屋・国岡昌幸と出会う。国岡の密着取材で彼と行動をともにする阪元監督は、友人や恋人と過ごす国岡のプライベートや、仕事として殺人の依頼を受け、淡々と対象人物を殺めていく姿を包み隠さずカメラに捉えていく。そんな阪本監督の熱心な密着取材が続く中で、殺し屋と依頼元との連絡ミスが良からぬ事態へと転じていく一幕があった。そのトラブルはやがて肥大化し、国岡は大殺戮を繰り広げることとなる。

最強殺し屋伝説国岡 完全版 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『最強殺し屋伝説国岡[完全版]』オフィシャルサイト

LINEスタンプ、買いました。


私はモキュメンタリ―が好きなのでそもそもこの「実在する殺し屋の日常」という体裁の映像に非常に惹かれるものがあったのですが、“密着ドキュメンタリー”であるがゆえの手ブレだらけの映像と気の抜けた20代男性のごく一般的な日常(それこそ部屋もちょっと汚くて、眠たがっていて、恋愛に一喜一憂して。)とそこに乗っかかるごく当たり前な“非日常”の塩梅が上手い。部屋のそこに銃を隠すんだ……コーラ飲みながら仕事するんだ……みたいな。

『ベイビーわるきゅーれ』もそうだったけど、「日常的な非日常」と「非日常的な日常」を境界線なく混ざり合うように個々人の生活をベースに描いて、めちゃくちゃに普遍的な異常を投影することに阪元監督は長けていてすごく好きです。

私は関西出身なので見覚えのある景色もいくつか出てきて、本当にこの世界にはシステマチックな殺し屋組織が存在しているんじゃないかなあ~と思ったり。実際映像はコメディタッチなところもあるしリアリティでいえば絶対に現実的ではない描写の連続なのですが、妙に納得してしまう不思議な心地よさ。

たぶん、子どもの頃に架空の路線図とか描いてた人が好きになりそうな映画。私は架空の街路図を描くのが好きでした。

 

にしてもLINEスタンプ、使い勝手が悪そうに見えてオタクには意外と使えるラインナップになっていて、わりと友人に送っています。
「あのジジイやばいジジイなんですよ」、ドントブリーズ観終わったあとに送りたいな。

 

『CUBE 一度入ったら、最後』

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突然、謎の立方体=CUBEに閉じ込められた男女6人。エンジニア、団体職員、フリーター、中学生、整備士、会社役員と、年代も職業もバラバラな彼らには何の接点もつながりもない。理由もわからないまま、ひたすら脱出を試みる彼らに、熱感知式レーザー、ワイヤースライサー、火炎噴射といった殺人的なトラップが次々と襲う。脱出するためには仕掛けられた暗号を解読しなくてはならないという極限状態の中、それぞれの人間の本性が徐々にあらわになっていく。

CUBE 一度入ったら、最後 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『CUBE 一度入ったら、最後』公式サイト | 2021年10月22日(金)全国公開

 

基本的に私は原作と違う実写化でもエンタメとして成り立っていたらそれはそれとして楽しめるし、あんだけ悪口を言った『窮鼠~』もあくまで原作厨としてのキレであり原作を抜きにして考えたら別にエンタメとして悪くなかったし、そもそも好き嫌いは語っても良い悪いを語るのはすきではないのですが、あの…………あまりにもこれは…………ひどかったですね……

CUBE本家を観たことがない友人を連れていったのですが終わった瞬間に友人に「ちがうの!!!CUBEを勘違いしないで!!!!」と懇願した、そういう映画です。
一言でいうなら「CUBEをめちゃくちゃ悪い意味で邦画にした」という感じなんですけど、これをそう表現するのは本家CUBEにも邦画にも失礼というか。ベイビーわるきゅーれに熱狂したので、邦画をふわっと包括した悪口なんか言いたくないんですよ……がんばってる邦画もがんばってる監督もたしかにいっぱいあるから…………

そもそも公開前からなにもかもが悪い予感しかしなかったじゃないか、と言われたらそれまでなのですが、とはいえゲラゲラ笑えるトンチキ映画だったらそれはそれで面白いしな~~これがヒットしてまた世の中にパクリCUBEが氾濫しないかな~~~~とか思っていたので。や、何番煎じよというパクリCUBEのほうがずっと面白いよ。

 

 

感想は上のツイートを観てください、もうわたしには何もわかりません。あまり映画……というか個人によって見方の変わるものを自分の物差しで悪口祭りしたくないんですけど、これしか感想が出てきませんでした。

ひとつ発見として、『パクリ(パクリではない)CUBEのエンディングで星野源が流れたらめちゃくちゃ面白い』ということが分かりました。本作で一番の見どころです。

にしても岡田将生最近ずっとこんな役してるな。

『劇場版 きのう何食べた?

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雇われ弁護士の筧史朗(シロさん)とその恋人で美容師の矢吹賢二(ケンジ)にとって、2人でとる夕食の時間が日々の大切なひとときとなっている。ある日、史朗の提案で、賢二の誕生日プレゼントとして京都旅行に行くことに。賢二は京都を満喫していたが、道中に史朗からショックな話を切り出されてしまう。この京都旅行をきっかけに、2人はお互いの心の内を明かすことができなくなってしまい……。

劇場版 きのう何食べた? : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

劇場版「きのう何食べた?」公式サイト

原作が好きで、ドラマも観ていたクチなのですが、料理がおいしそうだし話がずっと日常的でとても落ち着きますよね。わたし20時終わりの回に行ってしまったので、飯テロされて死ぬかと思いましたが。

ドラマでもそうでしたが、原作ではさらっと流すところを結構重めに感動テイストにしているのがこの実写化。若干そこに、ゲイカップルが日常を生きているだけでもそこにメッセージ性を込めないといけないのか……と思いもするので、個人的にはノリは原作のほうが好きなのですが。

わたしも明日からもおいしいごはん食べてがんばって生きていこ~~~とふっと肩の力が抜けた気分になるので、やはり好きなシリーズです。マジでメシがうまそうなんだよな。自炊歴2年目に入りましたが、毎日あんなにちゃんと料理なんてできないな……シロさんに唯一共感した個所は「最終的にめんつゆでどうにかする」です。めんつゆか白だしをてきとうに入れたら、なんかそれっぽくなる。

 

『アイス・ロード』

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カナダのダイヤモンド鉱山で爆発事故が起こり、作業員26人が地下に閉じ込められた。事故現場に充満したガスを抜くための30トンもの救出装置をトラックで運ぶため、4人の凄腕ドライバーが集められる。鉱山への最短ルートは厚さ80センチの氷の道「アイス・ロード」で、スピードが速すぎれば衝撃で、遅すぎれば重量で、氷が割れて水に沈んでしまう。地下の酸素が尽きる30時間以内に装置を届けるべく、命がけでトラックを走らせる彼らだったが、事故には危険な陰謀が隠されていた。

アイス・ロード : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『アイス・ロード』 公式サイト


そもそも大前提が困難なミッションで、そこにアクシデントに次ぐアクシデント。さらに悪い人間も暗躍し始めて、息をつく間もなくアクシデント!アクシデント!アクシデント!
主人公は決して超人的スキルを持つ闇の掃除人などではなく、ただただ運転技術だけはピカイチの昔気質のトラック野郎。出てくるキャラクターも殆どが己の経験値とスキルだけを誇りにハンドルを握る者たちばかりで、それゆえアクシデントが毎回「職人だから回避できたけど超人じゃないから回避できてねえ」みたいな感じで進んでいくので、等身大とまでは言わないものの、超人的な人間ばかりが出てくる映画を観慣れすぎていて、毎度ハラハラ。

物語の筋は少し「ん?それってどうなったの?」という点はあるものの、スピーディーな展開であまり気にさせない。

 

私は無知ゆえ初めて知ったのですが、アイスロードは実在しているんですね。本当にカナダの雪上でロケをして、極寒の氷の海にも入ったとか。
御歳69歳のリーアム・ニーソン、体を張りすぎている。

 

ナチス・バスターズ』

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1941年の冬。ソ連に侵攻したドイツ軍兵士の間で、「謎のソ連狙撃兵がドイツ兵を次々と射殺している」という噂が広まっていた。ドイツ兵はその正体不明の狙撃兵を「赤い亡霊」と呼び、いつ狙撃されるか分からない恐怖に怯えるようになっていく。同じ頃、部隊とはぐれてしまった5人のソ連兵たちが無人になった村にたどり付き、休息を取ろうとしていた。そこへ敵のドイツ軍部隊が現れ、5人は捕まっている味方を救出しようと戦いを挑むが、多勢に無勢で全滅の危機に陥る。その時、どこからともなく飛来した銃弾が次々とドイツ兵を倒してゆく。その銃弾こそ「赤い亡霊」が放ったものだった。

ナチス・バスターズ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

https://nazisbusters.com/

えっマジナチスなの!!?

タイトルから私は「ナチス超人を製造するネオナチをぶったおすため、なんかめっちゃ強いジジイとかなんかめっちゃ強い巨乳お姉さんとかが立ち向かう!!!!」みたいな話だと思っていて、完全にシャークネードを観るときのテンションで劇場に行ったのですが、“マジナチス”でびっくりしちゃいました。マジナチスじゃん。

ロシア映画と言うと敷居の高い印象があるので、この邦題のおかけで私みたいな物見遊山のジャンル映画好きバカが観に行くという効果は一定数あるでしょうし、ある意味間口が広がったのでは?
と思っていますが、どうやらこれは原題とは違うものの元ネタに基づいたタイトルのようで…………浅学ゆえ存じ上げませんでしたが、ただ結果的に『ナチス・バスターズ』という名前が非常にジャンル映画じみた雰囲気になってしまっただけなのか……運命の悪戯……

私は面食らいはしたものの、その寒々とした、まるで生命を感じさせないロシアの地と、そこで繰り広げられる燃えるような泥臭い戦いがコントラストとなって凄く画面映えをしていて、銃撃戦も見ものでしたし、終盤はほぼバイオハザードみたいな絵面になっているのも含めて満足感がありました。

白く凍てついた雪上に人間の熱くて真っ赤な鮮血が飛び散る絵面、これだけでもかなり見物。ランタイム99分にして、終盤の怒涛の血しぶきが凄い。

ロシア映画でマジナチスということもあり、多少の政治的メッセージ性は避けられませんが。バカナチスではなくマジナチスのほうだったので……)

マジナチス映画の醍醐味、金髪碧眼ドSサイコパス有能将校も観られます。必ず「いる」よね。

 

※個人的には子豚ちゃんのシーンが耐えられなかったので、ペットを飼っているひとは注意だ!子豚が殺されるのは仕方ないのでいいんですけど、ピーピー鳴きながら踊らされてからかわれるシーンのほうが胸が痛かったな。映画で犬が銃殺されるよりも、近所の悪ガキに石投げられて怯えてるほうが見てられないじゃないですか。そういうことです。

 

にしてもポスター見直してもやっぱり「マジナチスなの!!??」と新鮮に驚いちゃうな

 

『マリグナント 狂暴な悪夢』

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ある日を境に、目の前で恐ろしい殺人が繰り広げられるのを目撃するという悪夢に苛まれるようになったマディソン。彼女の夢の中で、謎めいた漆黒の殺人鬼が、予測不能な素早い動きと超人的な能力で次々と人を殺めていく。やがてマディソンが夢で見た殺人が、現実世界でも起こるようになる。殺人が起きるたび、マディソンはリアルな幻覚かのように殺人現場を疑似体験し、少しずつ自らの秘められた過去に導かれていく。そして邪悪な魔の手がマディソン自身に伸びてきたとき、悪夢の正体が明らかになる。

マリグナント 狂暴な悪夢 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『マリグナント 狂暴な悪夢』公式サイト| 大ヒット上映中!

ジェームズワン、キレッキレすぎるのでは!!??

例えば『ジュラシックパーク』でコップだかバケツだかの水の一定の振動でティラノサウルスの登場を予兆させるという演出があり、私は子供心ながらに「スピルバーグって天才なんだな……」と思ったのですが、そういう「天才だなあ~」とは違うんですよ。「キレッキレやんけ!」っていう。

いやもちろん無名で『SAW』作った時点で天才なのは承知の助なんですけど(何回見返しても1は痺れるよね……)、それにしても近年関わって世に送り出した映画が『アクアマン』からの『モータルコンバット』からの本作『マリグナント』って…………えっキレッキレすぎませんか?天才というより……ちょっとなんか……キレッキレとしか言えない……
「才能」とか「天才」という言葉はその人のとんでもない量の努力を無下にするようで、まじめな場面ではあまり好んで使いたくはないのですが、マリグナントは「才能、キレッキレ」しか出てこなくなりました。
まさかホラー映画で『アクアマン』の経験値を感じるなんて思わないよ……。

オチ自体は、そこそこ鈍感なひとでもわりと序盤で察することができるものなのですが、「あ、序盤で察しちゃったな~」と思ってからの急な斜め角度への突き上げが凄い。あ、そういく!!??っていう。「こんなんホラー映画じゃないじゃん」とか「あまり好きなオチじゃない」という人も少なからずいるかとは思うのですが、エンタテイメントとして満点。小難しいことはいいから、あたしゃこの「ジェームズワン、キレッキレじゃん!」が味わえただけでもう満足です。

近年の映画でリー・ワネルの『透明人間』もめっちゃくちゃ良かったのですが、本作を観て「これってジェームズワンからリー・ワネルへのラブレターだったりしない?」と少し思ったり。ラブレターというと語弊がありますが、「?」に「!」と返した好敵手のように。

は~~~~~~~さいこ~~~~~~~~エンタメに乾杯

 

『ラストナイト・イン・ソーホー』

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ファッションデザイナーを夢見て、ロンドンのソーホーにあるデザイン専門学校に入学したエロイーズは、寮生活になじめずアパートで一人暮らしを始める。ある時、夢の中できらびやかな1960年代のソーホーで歌手を目指す美しい女性サンディに出会い、その姿に魅了されたエロイーズは、夜ごと夢の中でサンディを追いかけるようになる。次第に身体も感覚もサンディとシンクロし、夢の中での体験が現実世界にも影響を与え、充実した毎日を送れるようになったエロイーズ。夢の中で何度も60年代ソーホーに繰り出すようになった彼女だったが、ある日、夢の中でサンディが殺されるところを目撃してしまう。さらに現実では謎の亡霊が出現し、エロイーズは徐々に精神をむしばまれていく。

ラストナイト・イン・ソーホー : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『ラストナイト・イン・ソーホー』オフィシャルサイト

まさに魔都、絢爛豪華でうつくしく輝かしく人間の欲と血でネオンが光るような街、ロンドン。

過去の映像でしか見たことがない、夢のような都であったロンドンの光と闇(と呼ぶとあまりに陳腐だけど)がスクリーンいっぱいにうつしだされ、主人公エロイーズが飲み込まれていくように私たちも呑まれていく。
エロイーズが陶酔しそして濁流にのまれるように取り込まれていってしまった、そんなふうにこの街に無数の老若男女が魅せられて飲まれていったんだろうかと思わされる。映像もうつくしく、それでいて、「ホラー映画」だけどそんなに(良い意味で)ホラー映画じゃない。でもきちんとホラーとして成り立っている。

 

些細な部分の演出や流れにモノ申したいことがないとは言わないけれど(ファッションデザイナー志望の女の子があれくらいのショーであんなに嫌悪感を示すかな……とか。そのあとの流れに嫌悪感があるのか分かるけれど)(同室だった女がイヤな女として描かれている、そのことは実際にああいう女おるな~とはなれども、図書館でのシーンを騒ぐなというほうがさすがに無茶である)(理解ある彼くん過ぎるな~とか)、でも映像きれいだし絢爛さと悲哀のバランスが終盤の炎に凝縮されていて、私は好きでしたね。ハッピーエンドだし。

 

『ドライブ・マイ・カー』

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舞台俳優で演出家の家福悠介は、脚本家の妻・音と幸せに暮らしていた。しかし、妻はある秘密を残したまま他界してしまう。2年後、喪失感を抱えながら生きていた彼は、演劇祭で演出を担当することになり、愛車のサーブで広島へ向かう。そこで出会った寡黙な専属ドライバーのみさきと過ごす中で、家福はそれまで目を背けていたあることに気づかされていく。

ドライブ・マイ・カー : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

http://dmc.bitters.co.jp/

なかなかに評判が良くて、乗せられて観に行きました。クリスマスに観る映画としてあまりにオシャレ選択をしてしまいましたが、観ていたらペーパードライバーのくせに「愛車でドライブ」したくなってきてしまった。ちなみに一度レンタカーで夜の高速を走っていたら『走れわナンバー』が流れてきて悦に浸ったことがあります。

本作はいわゆる「喪失と再生」の物語ですが、それを車という移動できる個人の空間を通して描かれていて、重要な言葉や場面は全て車の中で発せられます。いわば自分自身の繭としてそれは機能していて、青虫が一度繭のなかでどろどろになって変身をして蝶に羽化するのと同様、家福はみさきを筆頭としたさまざまな登場人物と向き合いながら車の中で再生をしていく。

多くを語らないラストでしたが、ほんのりと温かく、「村上春樹っぽい」が映像化でほどよく中和されていたような気がします。(村上春樹が嫌いなわけではないけど、特徴のある/その癖が特性として社会に認知されている作家の作品を映像化するときに、「っぽい」があまりに出すぎると、少しうざったくなってしまいがちなので。)

 

にしても岡田将生最近ずっとこんな役してるな。

 

 

 

明日大晦日にもちょこっと映画を観る予定ですが、どうにも大晦日中に書ききれる気がしないので、私にとっての2021年は今日でおしまいということにして次回に回します。

色々最高だわね、おはようおやすみよいお年をあけましておめでとう

 

2021年11月もちょっと映画を観ていたから振り返るよ~

コロナに全てを殺されたので映画チャンスも失ったりする昨今ですが、ようやく文字の羅列を書く気力を取り戻したので、今月も文字を羅列させていこうかなと思います。

 

◆ ◆ ◆

『12番目の容疑者』

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12番目の容疑者 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『12番目の容疑者』公式サイト

殺人の追憶」のキム・サンギョンが主演を務め、1950年代ソウルの喫茶店を舞台に、店の常連客が殺された殺人事件の捜査を描いたミステリードラマ。朝鮮戦争休戦後の1953年。ある昼下がり、ソウル・明洞の細い路地にある喫茶店に、陸軍特務部隊上士のキム・ギチェがやって来る。彼は店の常連客である詩人ペク・ドゥファンが殺害された事件を捜査していた。やがて、同じく常連客の大学生チェ・ユジョンも殺害されていたことが判明し、他の常連客たちは互いに疑心暗鬼に陥っていく。

のむコレ'21にて上映された本作。


演出はさながら舞台(演劇)のようで、喫茶店のなかだけで話が進んでいくソリッドシチュエーション。なのでスキキライは分かれるというか、苦手な人もいそうだけど、韓国映画の根底にある薄暗く陰湿なノワール調が好きなひとはきっと好き。
韓国に限らず邦画もノワールものは結構得意だと思うけれど、韓国映画が過去の己の過ちを題材にしたときの「間違えてしまった過去の俺たち」のような雰囲気、そこに啓蒙や後世からの“正義”的視点を表にはあまり出さない、ただただ過去の過ちを暗く重くどこか切なく描くあの感じが詰まっている。

この映画は演劇調の演出とワンシチュエーションであることから若干冗長に感じるところもあるけど(特に序盤のあたりは)、舞台でぐるりと場面が転換するように状況が一転する中盤からはサスペンス的カタルシスがある。その真実はあっけないものではあるけど、その些細なことから当時の時代背景と相まった悲惨な顛末へ向かう様は見ていて痛々しく、全体的に貧しく寒々しい絵面がそれを際立たせる。

ナチス物に顕著だけど、欧州映画にも「過去の過ち」を描くものは多くて、だけれどどこか啓蒙が第一にあるような映画が多い印象を受ける。それが悪いわけでは決してないけれど、韓国映画の歴史もの(特に1930~1980年代頃)を描いた作品の、控えめだけど酷くショッキングで、哀愁に満ちていて、見終わったあとに胸にぽっかりと穴が空くような。あの感じが私は凄く好きなのでこの映画も楽しめました。『南山の部長たち』もとても良かった!

 

黄龍の村』

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黄龍の村 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『黄龍の村』オフィシャルサイト

「ファミリー☆ウォーズ」などで、バイオレンス映画の新たな名手として注目を集める阪元裕吾監督によるハードボイルドアクション。レンタカーでキャンプ場へ向かう優希ら8人の若者たち。その途中、山の中で車がパンクしてしまい、携帯電話の電波も繋がらず、助けを求めて歩き始める。トンネルを抜けてたどり着いたのは、包丁が頭に刺さった案山子がある奇妙な村・龍切村だった。馬に乗って現れた老人は車を直してくれると話し、優希たちを自宅へ招く。老人の家では3人の女性が律儀に出迎えてくれ、夕食や布団まで用意されていた。老人の半ば強引な誘いでその夜は泊まることになるが、翌朝、外の音で目を覚ました優希は、不思議なお面を被った村人たちが外を練り歩く姿を目撃する。

すみません、『阪元監督、てんさ~~~~~い!!!!(大笑顔)』以外言うことがないのですが、

(※下記若っっ干のネタバレ)

ジャンルとしては所謂「村ホラー」。ミッドサマーで最近世間一般にも広く市民権を獲得したような印象のある本ジャンルですが、昔からあってある程度やり尽くされたこのジャンルに監督の大好きなエッセンスをふんだんに盛り込んでやりたい放題をしたような、非常に小気味いい映画。
人によっては向いていないと思うし、最近流行りの「逆襲」ジャンルにも見えるかと思うのですが、良い意味でナンセンスバイオレンスなあらすじを非常にコミカルに心地よくエンターテインメントに仕上げている。

村ホラーとはいえ、そこにある村の決まりは推測するに早くても昭和頃に作られたのであろう、なんだか色々ちぐはぐで都合の良い代物。信仰心などなく、あえて気味悪く演出された儀式(それこそどこかで見たような)が行われ、その儀式もそこそこに突然始まるハンティング。呆気にとられる展開でありながら、全体的にコミカルで、そしてちょっと斜に構えたようなシニカルさがある。それがこの映画をただの弱者逆襲系村ホラーでは終わらせない、少しぴりっとしたスパイス的要素として成り立っている。

最近の名作って結構120分を超えてくるものも多くてなかなかに体力を使うのですが、これは非常にコンパクトに仕上がっていて、「観ていて面白い?じゃあそれでいいじゃん!」というシンプルでストレートな映画魂を感じる。
……というと小難しいようですが、要するに、ナンセンスバイオレンスであったとしても、演出がイケてて、観終わったあとに「は~なんか面白かった~」と何の気なしに言えるのであれば、それでもういいんじゃないかと。最近頭を使う難しい映画ばかり観ていたので、良いタイミングでの出会いでした。

あと、「これ、村の決まりやから」の汎用性が高すぎる。黄龍の村を観て以来、村の決まりだから深夜にピザをウーバーしてしまい、村の決まりだからポテチを食ってしまう。村の決まりだからしゃーないんよ・・・・・・・・

 

『ゾンビ・プレジデント』

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ゾンビ・プレジデント : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

「シッチェス映画祭」ファンタスティック・セレクション2021

台湾の国会を舞台に巻き起こるゾンビパニックを、プロレス技を取り入れたハイテンションなアクション描写で描いたホラーコメディ。台湾の国会・立法院では、化学工場の建設を巡って反対派と賛成派の審議が紛糾していた。そんな中、壇上に立った台湾総統が突如としてゾンビ化。ゾンビウイルスは瞬く間に拡散し、議場は地獄絵図と化す。武術使いの女性立法委員インインと彼女に片思いする新米委員ヨウウェイは、この地獄を生き延びるべく壮絶な戦いに身を投じていく。

大バカ天才サビだけ映画!以上!
シッチェス映画祭ファンタスティックセレクション2021にて上映された本作。

いやいやそんなに血を浴びたら感染するでしょ!?というレベルの血しぶき合戦、冒頭からエンドロールまで一切ブレーキを利かせないアクセル全開の展開、コミカルが過ぎるほどのキャラクターと色彩たち、それでいてラストのメッセージには「い、意外といいこと言うじゃん……」なんて思わされる。一切手を緩めないのでジェットコースターのように進んでいく、オタクなら笑えるような細部の演出でくすくす笑わされ、そしてなにより「これショーンオブザデッドで観た!」「ん、バイオハザードで100回観た~~!!」つってサビが一生続くような最高の感覚。終盤は少年漫画的なカタルシスがあり、最後のメッセージには意外とぐっときたり、最後の最後にはやっぱりね~と肩の力が抜ける笑いがあり。
これもまあナンセンスバイオレンスな感じなのですが、御託はいいからこの狂乱を観んかい!!という圧倒的な「圧」がある。

なんかようわからんけどおもろかったです。ようわからんが元気になれる。さすがシッチェス映画祭ファンタスティックコレクション。『キラー・ジーンズ』を買い付ける担当の審美眼に狂いはねえ。
台湾のゾンビ映画は初めて見たのですが、結構気合が入ってますね。よき。

 

『ベイビーわるきゅーれ』

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ベイビーわるきゅーれ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画「ベイビーわるきゅーれ」二人は殺し屋その正体は監督:阪元裕吾 主演:高石あかり,伊澤彩織

社会不適合者な殺し屋の少女たちが、社会になじむため奮闘する姿を描いた異色青春映画。高校卒業を目前に控えた女子高生殺し屋2人組のちさととまひろ。組織に委託された人殺し以外、何もしてこなかった彼女たちは、高校を卒業したらオモテの顔として社会人をしなければならない現実を前に、途方に暮れていた。2人は組織からルームシェアを命じられ、コミュ障のまひろは、バイトもそつなくこなすちさとに嫉妬し、2人の仲も徐々に険悪となっていった。殺し屋の仕事は相変わらず忙しく、ヤクザから恨みを買ったことから面倒なことに巻き込まれてしまい……。

米津玄師の曲を聴いたときも「こんな歌詞オタクにしか書けねえよ……」つってるんですけど、ベイビーわるきゅーれ、めちゃくちゃ誉め言葉として「こんなんオタクにしか作れねえよ……」となります。

邦画はオワコンだとかつまらんだとか言うヤツの脳天にマシンガンぶっぱなして風穴を開けるような最高に最強な映画!2人の少女の華奢な背中に邦画の未来を背負っちゃえ!

端的に言うならば、ラララLOVEです。

人によっては駆け足だとか脚本がスピーディーすぎると評することもあるでしょうが、阪元監督の作品は冗長さがなく、ひたすらに展開が怒涛に進んでいく。私は飽き性なので、テンポの良さが非常に心地いい。
脚本自体はぐるぐる回るようにスピーディーに進んでいくのに、その中で描かれるちさととまひろのゆるゆるでぐだぐだな日常と会話は日曜日の昼下がりのような心地いい気怠さ。そこに容赦なく挟まれるバイオレンス。なのにそれらは乖離することなく、なぜか不思議な温度で混ざり合っている。

しかもアクションシーンに関しては、今年の邦画で一番かもと思わされるくらい、凄い。華奢な女の子がムキムキの男を吹っ飛ばすというリアリティのない演出ではなく、骨と筋肉と重力を感じる、痛々しく生々しいまでの格闘合戦。銃の飛び交い方はありえんレベルなのに、肉弾戦はやけにリアル。どちらも監督のこだわりをめちゃくちゃに感じる。もはやフェチズムなのでは。

本当に日本にもこんなシステマティックな殺し屋組織があったりして……なんて思わされちゃうくらい、日常と非日常が不思議と馴染んでいる。そこにちさととまひろの普通な思春期の日々が存在していて、めちゃくちゃありえない異常で非日常な物語のはずなのに、それが普遍性を持って出来上がっている。凄く異常で、凄く普通。

本当に思春期の多感な時期に観なくてよかった。ちさととまひろの唯一無二な関係性に憧れて、かな~~~~り痛いことになっていたと思う。だけどそれも多分かわいい青春なんですよね。マジで多感な時期に観てたらヤバかったです。ずっとコードギアスを抱えている女なので。

 

『キャッシュトラック』

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ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」「スナッチ」のジェイソン・ステイサムガイ・リッチー監督が、「リボルバー」以来16年ぶりにタッグを組み、2003年製作のフランス映画「ブルー・レクイエム」をリメイクしたクライムアクション。ロスにある現金輸送専門の警備会社フォルティコ・セキュリティ社では、特殊な訓練を受け、厳しい試験をくぐり抜けた警備員たちが現金輸送車=キャッシュトラックを運転していた。そこに新人のパトリック・ヒル、通称“H”が警備員として採用された。採用試験の成績はギリギリ合格というレべルだったHだが、ある時、トラックを襲った強盗を驚くほど高い戦闘スキルで阻止し、周囲を驚かせる。そして、彼の乗るトラックがふたたび強盗に襲われると、Hの顔を見た犯人たちはなぜか金も奪わずに逃げてしまう。周囲がHの正体に疑心を抱く中、全米で最も現金が動くブラック・フライデーにフォルティコ・セキュリティ社に集まる1億8000万ドルの大金を狙う強奪計画が進行していた。

キャッシュトラック : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『キャッシュトラック』オフィシャルサイト

「ジェイソンステイサムをガイリッチーが撮った映画」……以上だ!!

本当にあますことなくジェイソンステイサムだしあますことなくガイリッチーです。個人的には、決してつまらないわけではないし、歩きながら射殺するところなどの派手な絵面は見ごたえがあるし、「なんかジェイソンステイサムが観たいな~」「なんかガイリッチーが観たいな~」ってときに観たらおおむねその欲求は満たされる、そんな感じなのですが……本当に個人的には、全体的に薄味だなあと思いました。

本当にうまく言えないけれど「ジェイソンステイサムをガイリッチーが撮った」以外の感想が思い浮かばず。本当にそういう映画。若干……ガイリッチーちょっと突貫工事で作ったんか……?という気持ちになったり。

重ね重ねですが、決してつまらないわけではないです。

私がジェイソンステイサムもガイリッチーも好きだから変に期待しすぎていたのかもしれない。少し脚本が粗削りなのが、大振りなアクションと相性がよくなかった、のかも。しれない。つまらないわけではないです。

 

『聖地X』

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聖地X : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

夫との生活に嫌気が差した要は日本を飛び出し、兄・輝夫が暮らす韓国の別荘を訪れる。突然の来訪に驚く輝夫だったが、要の夫のだらしなさを聞き、妹の心の傷が癒えるまで一緒に過ごすことを決める。そんな兄妹はある時、「聖地X」と呼ばれる、奇妙な力の宿った未知の土地に、知らずに足を踏み入れてしまう。そこに入った者は精神を蝕まれ、謎の死を遂げていくという。有能な祈祷師も太刀打ちできず、悪夢はひたすら続く。忌々しい土地に根付く“約束された死”から逃れるべく奔走する輝夫と要だったが……。

ホラーな予告と違って、そんなにホラーではない。ただ結構当たりでした!!

友人は「ホラー漫画のホラーじゃない回」と言い得て妙な表現をしていましたが、端的に言うならば世にも奇妙な物語

せっかくならばもっとオール韓国ロケである点を生かしてほしくはあったけど、ところどころ笑いどころのあるコミックな脚本と不思議な浮遊感のある演出、そしてその根底にあるのは「人間を人間たらしめるものとは何か?」「人間の本質とは何か?」という骨太な問い。登場人物としてAさんBさんCさん……がいてそのひとたちの個々の物語が展開するという一般的な「物語」の体裁のなかに、それを一本筋で貫く問いかけが静かに横たわっているのが結構硬派でかっこいい。その硬派さは、この映画の「ホラーじゃない」と言われるほどのゆるくてちょっとくすりと笑える脚本演出に覆われて、全然嫌味じゃない。

ホラー映画ではときたまこういう「心霊現象を介した、人間の本質的探究」が描かれるものですが、それはかなり危うい綱渡りになりかねないもので、場合によってはホラーというジャンルそのものに喧嘩を売っていると解釈されることもある。だけど本作はそこにフォーカスしすぎずに、問いたいことは問いきっていて、カッコイイと思いましたね。

個人的には下半期の邦画では1,2を争う傑作なのですが、上映館が少なくてあまり世間的な話題になっていないのが悲しい。岡田将生川口春奈主演でミニシアター上映って、なぜ

 

『ジャッリカットゥ 牛の怒り』

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ジャッリカットゥ 牛の怒り : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『ジャッリカットゥ 牛の怒り』公式サイト

怒り狂う暴走牛と1000人の村人たちが繰り広げる戦いを描いたインド発のパニックスリラー。南インド、ケーララ州のジャングルにある村。冴えない肉屋の男アントニが1頭の水牛を屠ろうとすると、命の危機を察した牛は怒り狂って脱走する。肉屋に群がっていた人々は慌てて追いすがるが全く手に負えず、暴れ牛は村の商店を破壊し、タピオカ畑を踏み荒らす。恋心を寄せるソフィに愛想を尽かされたアントニは、牛を捕まえてソフィに見直してもらおうと奔走。村中がパニックに陥る中、密売の罪で村を追放された荒くれ者クッタッチャンが呼び戻されるが、アントニとクッタッチャンはかつてソフィを巡っていがみあった仲だった。牛追い騒動は、いつしか人間同士の醜い争いへと展開していく。

正直、よく、わからなかった。が、「アリ・アスターが好き」なのだけはめちゃくちゃに分かってしまう映画。

シンゴジラゴジラに感情移入してしまう人間は絶対に観れない映画なのですが、とにかくとりとめのない住人たちの偶像劇が一頭の牛の脱走そして暴走を契機に、炎が力を増してうねりを上げるように膨張していき、取り返しがつかなくなり、狂気に陥った村人たちが大きな大きな一頭の怪物のようにすら見えてくる。

恐らく宗教的背景やインドの情勢を把握していればもっときちんと咀嚼し理解できたのだと思いますが(これ『バクラウ』のときも全く同じことを言っていたので、本当に自分の無知を痛感するばかりです)、私はインドにも宗教にも一切明るくないので、ただただその狂気を浴びることしかできず。

ともすればインディーズになりそうな粗い画面割りとおぼつかないカメラの揺れは、むしろ計算されたように、観ているこちらを酔わせてその村のよくわからん狂気のようなものに取り込まれていくような心地にさせる。

恐らく本作における牛はただの食物の肉としてだけではなく、個人の財産の象徴であり、そしてそれは単なる硬貨や金銀とは違う、我々が原始的な存在であったときから続く「財産」のことであると思うのですが、宗教のことをいかんせん分かっておらず。

ただその一頭の暴走牛を追う人間の姿は牛よりも狂暴で原始的で醜く、それでいて本能的であるがゆえにひたむき。ラストのほぼグリーンインフェルノな絵面も含めて原子からの人間に関する示唆的な意味合いがあることは分かる、のですが、私では咀嚼しきれなかった。

ただなんかマジで、アリアスターすきそ~~~~となります。「マジ」なのよ。

 

◆ ◆ ◆

以下、配信で観たりして記憶に残ってるやつ。です。

『EXIT』

韓国のある都心部に、突如として原因不明の有毒ガスが蔓延し、道行く人たちが次々に倒れて街はパニックに陥る。外が緊急事態になっていることは知らず、高層ビルの中で母親の古希を祝う会に出席していた青年ヨンナムは、そこで大学時代に思いを寄せていた山岳部の後輩ウィジュと再会する。しかし、そんな彼らのもとにも有毒ガスの危険が迫り、2人は地上数百メートルの高層ビル群を命綱なしで登り、飛び移り、危険な街からの脱出を図る。

映画館の大画面で観たかった~~~失敗した~~~~と思わず嘆いてしまったくらい、画面映えするド派手な映画。それでいて泥臭く一生懸命で、観終わったあとの後味はよく「私も頑張るぞ~~」という気にさせられる。肩の力を抜いて見られるので、このあと何回も繰り返し見てしまいました。芸は身を助ける、とは言うけれど。助けるにもほどがある。これは韓国映画でしたが、ネトフリオリジナルの韓国映画『生きている』も同じようなテイストでかなり面白かったな。やはりジェイソンステイサムでもロック様でもない一般人が身の丈でできることで必死にサバイヴする映画は面白いし、韓国映画ってそういうのが得意というか結構多い気がします。おもしれ~~~~ わたしがこの状況になったら一瞬で死ぬけど

 

『ある用務員』

暴力団員だった父を持つ深見は、父の兄弟分の娘・真島唯の見張りをするため、唯が通う高校で用務員として働いている。ある日、暴力団の抗争によって真島が殺害され、唯も命を狙われてしまう。戦場と化した学校から唯を救出するべく、深見は命がけの戦いに身を投じていく。

『ベイビーわるきゅーれ』のちさととまひろの前身がいると聞いて、観てみたくなって配信を買ってしまいました。阪元監督が殺し屋フェチなのはもう十分わかったのですが、それにしても殺し屋フェチが過ぎる。ゆるくて拍子抜けするような会話劇とバイオレンスアクションの緩急のつけかたが抜群にうまい。脚本自体は非常にシンプルで奇をてらったところはないのですが、手塚治虫スターシステムを想起させる「よく阪元監督の映画で見る俳優たちの、コミック的キャラクター』が脚本の非日常性に妙な立体感を与えていて、脚本も非日常的だしキャラクターも非日常的なのにあわさると妙に「そんなこともあるかもしれない」と思わされる。や~~~~~ここからベイビーわるきゅーれにいくと思うと感慨深いものがありますね

 

 

というわけで11月もお疲れ様でした。いまM-1見ながらCMの間にこれを書いています。年末やないか。1年、はや……この勢いだと5年後には老衰で死んでますね

 

2021年!6月!映画!まとめ!

日本、夏と冬しかなくないですか?そんな茹だるような夏を過ごす私はといえば、部屋から消えたお金の行方も分からず、近しい親戚のおぢの怪しい中国人との結婚もつつがなく進み、治安悪き日々を過ごしています。

(ちなみに6月は後半にかけて一切のやる気を失っている) 

 ◆◆◆

『アオラレ』

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アオラレ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『アオラレ』 | 大ヒット上映中

グラディエーター」のオスカー俳優ラッセル・クロウが、あおり運転の常習犯を演じたスリラー。寝坊してあわてて息子を学校へ送りながら職場へと向かう美容師のレイチェル。車を運転する彼女は信号待ちで止まるが、信号が青になっても前の車は一向に発進しようとしない。クラクションを鳴らしても動じないため、レイチェルは車を追い越すが、つけてきた男から「運転マナーがなっていない」と注意されてしまう。謝罪を求める男を拒絶し、息子を無事に学校に送り届けたレイチェルだったが、ガソリンスタンドの売店でさっきの男に尾けられていることに気づく。レイチェルは店員から男があおり運転の常習犯であることを警告され……。素性不明の恐怖のあおり運転常習犯をクロウが怪演。被害者となるレイチェルを、「移動都市 モータル・エンジン」「否定と肯定」などに出演したカレン・ピストリアスが演じた。監督は「レッド・バレッツ」「幸せでおカネが買えるワケ」のデリック・ボルテ。

 

「乗っかった」だけの映画だと侮らないでほしい、
車というトリッキーなギミックを最大限に正統派ホラー文脈で生かした意欲的スリラー作。

 

というわけで6/1を迎えました。すでに初夏。記念すべき劇場再開一発目は『アオラレ』。

 

感想については長くなってしまったのでnoteの方にさきにあげてます。ね。映画『アオラレ』は煽り運転ブームにのっかったと見せかけた骨太スリラーだという感想|BUN太|note

とにかく予想外にも骨太スリラーです。

ただただ「流行」に乗った時事スリラーとあなどるなかれ、古典『ヒッチャー』にも匹敵するおぞましく陰湿な追跡劇と惨劇が繰り広げられ、転がるような展開と揺さぶられる心情は最悪のドライブ。アクション映画らしい映像体験的派手さもありつつ、スリラーとしての気味悪く陰湿な下地がある。

ホラー文脈を踏襲しながら「煽り運転」という最近のスパイスを振りかけることでめちゃくちゃ最悪だけど食べると美味しいスリラーへと昇華されています。

かなり『ヒッチャー』っぽさはあるのですが、『ヒッチャー』は殺人鬼が主人公の青年を執拗に執念深く追う心理には主人公への歪んだ愛にも似た異常な執着があってのことなので、見方を変えたら可愛らしくもある一方で(そうかな……。)、本作はひたすらに「怒り」しかない。相手に対して他の感情をこじらせちゃったがゆえの異様な執着があるわけでも、殺人を楽しむわけでもなく、いわゆる前述した『ヒッチャー』の男や、あるいはジェイソンやフレディのような有名殺人鬼より、たぶん三毛別とか福岡大ワンゲルのヒグマに近いと思う。

ちょっとネタバレになるかも↓

という褒めをする自分と、「とはいえラストがね」と思ってしまう自分もいる。ド派手最悪スリラーとしては、時事ホラーとして以上の出来であったと本当に思っているのですが、終盤にかけての尻すぼみは否めない。
というのも、今この世界に「弱者が逆襲する」ものが溢れすぎていてお腹いっぱい感があるから。この「逆襲」も『サプライズ』『ザ・ハント』『ドントブリーズ』などなどのような「実はそもそも強かった」ものならエンタメとして楽しめるし、元から強いわけではないけど逆襲するのならサバイブに必要な最低限の逆襲をしてほしい。『見えない目撃者』のような頭を使った、ただただ生き残るために一撃を決めるものは好きなのですが、本作のような「え!?おまえ急にめちゃくちゃボコるやん!!??」みたいな唐突な逆襲は、「弱者の逆襲」を描きたいがゆえの大人の事情が垣間見えて素直に楽しめなくなる。確かに女が口をつぐむ必要は一切ないし怒りをあらわに多弁に議論を交わすことはものすごく大事なのですが、とはいえスリラーのオチに毎度毎度そんな意図が透けて見える演出を持ってこられると「なんか違うんだよな」となる。
あと単純に、本当に単純に、ラストは尻すぼみでちょっぴり残念。

 

遭遇したらおしまい、運の尽き。安全運転を心掛けましょう。クラクションは「紳士的」に。

 

 

『ジェントルメン』

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ジェントルメン : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『ジェントルメン』公式サイト|大ヒット上映中!

ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」「スナッチ」のガイ・リッチー監督によるクライムサスペンス。イギリス・ロンドンの暗黒街に、一代で大麻王国を築き上げたマリファナ・キングのミッキーが、総額500億円にも相当するといわれる大麻ビジネスのすべてを売却して引退するという噂が駆け巡った。その噂を耳にした強欲なユダヤ人大富豪、ゴシップ紙の編集長、ゲスな私立探偵、チャイニーズ・マフィア、ロシアン・マフィア、下町のチーマーといったワルたちが一気に動き出す。莫大な利権をめぐり、紳士の顔をした彼らによる、裏の裏をかくスリリングな駆け引きが展開する。ミッキー役を「インターステラー」のマシュー・マコノヒーが演じるほか、チャーリー・ハナムヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ドッカリー、コリン・ファレルヒュー・グラントら豪華なキャストが顔をそろえる。

 

ガイ・リッチーのフェチズムが詰まったクライムムービー。フェチは大事だね。

 

ガイ・リッチー、いつもこんなん撮ってんな~~~~と言いながら座席に着いたのですが、……最高!悔しいけどイカしてる。やはり「好き」で撮っている映画は良いですね。

本作はあらすじ以上のことは何もないクライムムービー。育ちの悪い狼たちが英国紳士ぶって化けの皮の剥ぎ合いをする様はまさに「こういうのでいいんだよ」感。
脚本も実にシンプルでどんでん返しもなければ大きな山場もなく、ひたすらにごたごたお家騒動的なものが続きます。
しかしながらひとつひとつのキャラがきちんと立っていて魅力的なので飽きることはなく、また「1人の語り手がこれを語っている」という形をとっているため、普通に構成されていたら平坦に感じてしまう脚本もその入れ子構造のおかげで物語性が際立ちエンタメ性を高めている。どこかが突出して優れているわけでも大きな売りがあるわけでもないものの、いわゆる「かっけえヤクザ」が観たくて任侠映画を観ているときと同じ、あの感覚。とりあえずカッコいい、イカしてる、クール、英国っぽい、それだけで十分の映画。
記憶にこびりついて離れない名作が観たい!という人にはおすすめできないけど、とりあえず手軽にかっけえもんが観てえ!という人にはおすすめする映画でした。

 

私も何食わぬ顔でコートの下から拳銃じゃなくてばかでかいマシンガン取り出してえ~~~~~~~英国っぽいクソまどろっこしい物言いで人を煽りてえ~~~~~~~~~~~

やっぱね、最終的に信じられるのはフェチズムなんですよ。

 

 

SNS 少女たちの10日間』

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SNS 少女たちの10日間 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『SNS-少女たちの10日間-』オフィシャルサイト

成人女性が未成年という設定のもとSNSへ登録すると、どういったことが起こるかを検証したドキュメンタリー。巨大な撮影スタジオに作られた3つの子ども部屋に、幼い顔立ちの18歳以上の3人の女優が集められた。彼女たちは12歳の女子という設定のもと、SNSで友達募集をする。その結果、彼女たちにコンタクトをしてきたのは、2458人もの成人男性だった。精神科医、性科学者、弁護士や警備員など専門家による万全のケアのもと、撮影は10日間にわたり続けられた。撮影されているとは気付かず、何も知らずに卑劣な誘いを仕掛ける男たち。彼らの未成年に対する容赦ない欲望の行動は徐々にエスカレートしていく。監督は、チェコで活躍するドキュメンタリー作家のビート・クルサークとバーラ・ハルポバー。

 

ドキュメンタリー?モキュメンタリー?
曖昧なリアルさの中に成り立つ、非常に露悪的で悪趣味な『ドキュメンタリー』エンタメ。

 

本作はめちゃくちゃに悪趣味で、製作陣が「こいつら(男)は人間のクズだから何したっていい」という思想を隠そうともしないので、真摯なドキュメンタリーを期待して観た人からは批判の的になるし、不快な思いをする人も少なくないでしょう。本作はまるで世間体と言わんばかりの申し訳程度に「社会への啓蒙」を掲げていますが、中身を観てみたらそんな役目を果たすつもりがさらさらないのがはっきりと分かる。
悪趣味ではありますが、それゆえエンタメとしては結構オモシロい。
個人的にはモキュメンタリ―なのでは?と思っていますが、まあそこは野暮ということで。

 

ちょっと詳しい感想は先にこっちに書いちゃったからこれ以上言うことないな

『SNS少女たちの10日間』を観た(日記)|BUN太|note

 

 

『ゾンビ津波

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ゾンビ津波 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

ゾンビ津波 | テアトルシネマグループ (ttcg.jp)

「シャークネード」シリーズの監督アンソニー・C・フェランテと俳優アイアン・ジーリングが再タッグを組み、津波に乗って襲来したゾンビとの戦いを描いたパニックアクション。穏やかな海に囲まれた平和な孤島。漁師のハンターと仲間たちの船が、突如としてゾンビに襲われた。どうにか反撃して逃げ切ったものの、ゾンビは続々と姿を現し、島は恐怖に包まれる。ハンターは愛する島を守るため戦うことを決意するが、そんな矢先、巨大津波に乗って大量のゾンビが島に上陸しようとする。ヒューマントラストシネマ渋谷&シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2021」上映作品。

 

もう!!!馬鹿!!!!狙った馬鹿をすな!!!!分かっててやってるだろ!!!!!

好きだけど、きみのこと好きだけど、シャークネードすきだけど、なんかもう今はそのネームバリューも相まって「芸大出身のミュージシャンがあえて奇天烈なロックをやってるのを観たとき」みたいな気持ちになっちゃうのよ。すきなんだけどさ。狙いすぎだからさ。いやそこも含めておばか愛しいんだけどさ。若干、本当に若干なんだけど、日清食品のCM観てるときの感情に類似した何かが生まれそうになるからさ、ほどほどでいいよ。これからもほどほどに馬鹿やっててほしい。あと関係ないけど、私は日本人なので、「え!!??津波なめないで!!??」になった。ゾンビよりこわいでほんま。ゾンビは殺せば良いけどさ。津波を波乗り回避は不可能なんよ。

 

グリーンランド 地球最後の2日間』

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突如現れた彗星による世界崩壊までの48時間を、普通の一家の目線で描いたディザスタームービー。突如現れた彗星の破片が隕石となり地球に衝突した。さらなる巨大隕石による世界崩壊まで残り48時間に迫る中、政府に選ばれた人々の避難が始まる。建築技師の能力を見込まれたジョン・ギャリティ、そして妻のアリソンと息子のネイサンも避難所を目指して輸送機に駆けつけた。しかし、ネイサンの持病により受け入れを拒否され、家族は離れ離れになってしまう。人々がパニックに陥り、無法地帯と化していく中、生き残る道を探すギャリティ一家が目にしたのは、非常事態下での人間の善と悪だった。「エンド・オブ・ホワイトハウス」シリーズのヘラルド・バトラー、「デッドプール」シリーズのモリーナ・バッカリン、「ドクター・スリープ」のロジャー・デイル・フロイドがギャリティ一家を演じる。監督は「エンド・オブ・ステイツ」でバトラーとタッグを組んだリック・ローマン・ウォー

 グリーンランド 地球最後の2日間 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『グリーンランド ―地球最後の2日間―』

リアルに「巨大災害」を経験した人には直視できない映画かもしれないので、東日本大震災をモロに食らった人とかはちょっと注意してほしい。それくらいリアルな災害、リアルなパニック、とてもリアルでリアルに嫌ですてきでした。

最終的には思想を違えてしまったけど、ふつうに観てよかったな~~て映画!

6月のなかでいちばんすきでした!

 

『モクソリ』

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郊外の朽ち果てた遊園地を舞台に、学生たちが恐怖現象に襲われる姿を描いた韓国製ホラー。親友の死後、悪夢に悩まされるようになったヨ・ユンファは、あこがれの存在であるカン・ミンウやクラスメイトとともに、気晴らしのドライブに出かけることになる。しかし、慣れない運転で道に迷ってしまった一同は、閉園されてから何年も放置されているであろう、荒れ果てた遊園地にたどり着く。その場のノリでお化け屋敷に足を踏み入れたユンファたちだったが、誰もいないはずの暗闇の中から何者かの囁く声が聞こえてきて……。テレビドラマ「浪漫ドクターキム・サブ2」のソ・ジュヨン、「パフューム 恋のリミットは12時間」「カンテク 運命の愛」のキム・ミンギュら、人気上昇中の若手俳優が共演。

モクソリ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

モクソリ

なして、なして韓国映画はこげに偽悪的なのか?なぜ?はにゃ

ホラー映画としてはふつうにいい。スナック感覚で楽しめる。 

 

『キャラクター』

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菅田将暉と本作が俳優デビューとなる「SEKAI NO OWARI」のボーカルFukaseの共演によるダークエンタテインメント。「20世紀少年」など数多くの浦沢直樹作品にストーリー共同制作者として携わってきた長崎尚志によるオリジナル脚本を、「世界から猫が消えたなら」「帝一の國」の永井聡監督のメガホンにより映画化。漫画家として売れることを夢見て、アシスタント生活を送る山城圭吾。ある日、一家殺人事件とその犯人を目撃してしまった山城は、警察の取り調べに「犯人の顔は見ていない」と嘘をつき、自分だけが知っている犯人をキャラクターにサスペンス漫画「34」を描き始める。お人好しな性格の山城に欠けていた本物の悪を描いた漫画は大ヒットし、山城は一躍売れっ子漫画家の道を歩んでいく。そんな中、「34」で描かれた物語を模した事件が次々と発生する。主人公・山城役を菅田、殺人鬼・両角役をFukaseがそれぞれ演じる。 

キャラクター : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『キャラクター』公式サイト

 

小栗旬、「小栗旬」に寄せすぎて逆説的にジェネリック小栗旬になってませんか?おばたのお兄さんのほうが本物なのでわ?

なぜか警察陣の演技が妙にバタ臭いことだけが違和感でしたが、なんか全体的に、頑張ってたと思う。ふかせ、あと一歩頑張ればめちゃくちゃ愛しい殺人鬼だった。主人公に執着するかわいい(概念)殺人鬼だいすき~~ヒッチャ~~~~

「殺人って3日寝込むくらいめちゃくちゃ体力使うんだよ!?」みたいな台詞があったのもよかった、ふかせ、凄く可能性に満ちた殺人鬼だった。カルトの下りを1時間くらいかけてやってほしかった。時間配分良い感じにすれば良い感じになったと思う、たぶん。なんか、お前が俺で俺がお前でをしたかったんだろなというのはわかる!うん!なんか良い感じにこねればすごく良い感じになったとおもうから、良い感じに再構築してほしナ!

 

『Mr.ノーバディ』

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一見してごく普通の中年男が、世の中の理不尽に怒りを爆発させて大暴れし、やがて武装集団やマフィアを相手に激しい戦いを繰り広げる姿を描いた痛快ハードボイルドアクション。「ジョン・ウィック」の脚本家デレク・コルスタッドと製作デビッド・リーチが再タッグを組み、人気テレビシリーズ「ベター・コール・ソウル」の主人公ソウル・グッドマン役で知られるボブ・オデンカークが主演を務めた。郊外にある自宅と職場の金型工場を路線バスで往復するだけの単調な毎日を送っているハッチは、地味な見た目で目立った特徴もなく、仕事は過小評価され、家庭では妻に距離を置かれて息子から尊敬されることもない。世間から見ればどこにでもいる、ごく普通の男だった。そんなハッチの家にある日、強盗が押し入る。暴力を恐れたハッチは反撃することもできず、そのことで家族からさらに失望されてしまう。あまりの理不尽さに怒りが沸々とわいていくハッチは、路線バスで出会ったチンピラたちの挑発が引き金となり、ついに堪忍袋の緒が切れる。監督は「ハードコア」のイリヤ・ナイシュラー。共演に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のクリストファー・ロイド、「ワンダーウーマン」のコニー・ニールセンほか。

 Mr.ノーバディ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

Universal Pictures Japan

 

なんか『そういう』やつ。

私もジョン・ウィックとかイコライザーとかあれやそれやの「冴えないおじさんが」系の映画は好きなのですが、この映画に関しては完全にそこにだけバロメーター全振りして他の一切合切を捨て去ったタイプの映画なので、『そういう』のが観たいときに観たら最高最高最高!!!!!となるし、食傷気味のときに観たら「あー・・・・・・」となってしまうと思う。私は後者のタイミングで観てしまったので完全に映画とのすれ違いを起こしてしまったのですが、良き状態のときに観ればフォーリンラブしていたと思いますネ。

本当に完全に『そういう』系にのみ振り切っているので、精神状態が前者なのか後者なのかによって評価は大きく分かれると思います。

この日に『モクソリ』『キャラクター』と3連チャンしたので、全体的に「悪くはないし、つまらんか面白いかで言えば面白いんだけど、なんか今じゃなかったな」というしょっぱい薄味気分になってしまった。自分の感受性が終わっているときに映画を3連チャンするものではない(戒め)

 

サスペリア PART2』

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イタリアンホラーの旗手ダリオ・アルジェントが、連続猟奇殺人事件に巻き込まれたピアニストが謎の解明に挑む姿をショッキング描写満載で描いたサスペンススリラー。ローマで開催された欧州超心霊学会で、テレパシーの能力を持つヘルガが突然悲鳴をあげた。彼女は会場内に恐ろしい殺人犯がいることを告げる。その後、ヘルガは自宅アパートで何者かに襲われ惨殺されてしまう。悲鳴を聞いて駆けつけたイギリス人ピアニストのマークは容疑者を目撃し、事件の真相を突き止めるべく奔走する。出演は「欲望」のデビッド・ヘミングス、アルジェント監督の公私にわたるパートナーのダリア・ニコロディ、「恋人のいる時間」のマーシャ・メリル。日本では同じアルジェント監督の「サスペリア」が大ヒットしたことを受け、「サスペリアPART2」の邦題で1978年に公開された。2021年6月、4Kレストア版ブルーレイ発売を記念して、シネマート新宿・心斎橋でリバイバル上映。

サスペリア PART2 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

 

これはおそらく正統な楽しみ方ではないのですが、数十年前の映画などで当時は大まじめにやっていたことが今観てみるとなんか面白くなっちゃってるやつが私は好きで、おそらくサスペリアもそんな描写がいっぱいあるはず!と直感的に思って行ってみたら大当たりでした。決して斜に構えているわけではなくて、当時の大まじめな映像表現が今ではチープで面白くなってしまっているのって映像においては正当な変化だから仕方ないと思うし、そこに歴史とかいろんな努力とか時間とか感じて凄く好きです。

本作もそんなかわいさがいっぱい!!!

次なるターゲットは7月の屋敷女です

 

 

さて映画館が再開され非常~~~~~に嬉しいです。
最近モキュメンタリーにはまっているので面白い作品があれば教えてください。関係ないけど『神と共に』と『ディヴァイン・フューリー』の円盤を買うか心底悩んでいます。常に「オタク」に触れていたい……。韓国映画、「オタク」なので……。

という気持ちと、趣味のない人間になるのが恐くて強迫観念で映画を観ているに過ぎないのでなんかもう継続できんくなってきたぞという気持ちがあります。「無」の人間になるの、こわくないですか?私はこわいです。さて7月も躁鬱と共生していきましょう♪なんてな

 

2021年!4月!映画!まとめ!

◆ ◆ ◆

『ザ・スイッチ』

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「透明人間」「ゲット・アウト」などホラー、サスペンスの話題作やヒット作を数多手がけるジェイソン・ブラムが製作、「ハッピー・デス・デイ」シリーズのクリストファー・ランドンが監督を務め、気弱な女子高生と連続殺人鬼の身体が入れ替わってしまったことから巻き起こる恐怖を描いた異色ホラー。家でも学校でも我慢を強いられる生活を送る冴えない女子高生のミリー。ある夜、アメフトの応援後に無人のグラウンドで母の迎えを待っていた彼女に、背後から指名手配犯の連続殺人鬼ブッチャーが忍び寄る。鳴り響く雷鳴とともにブッチャーに短剣を突き立てられたミリーだったが、その時、2人の身体が入れ替わってしまう。24時間以内に入れ替わりを解かなければ、二度と元の身体に戻れない。ミリーは新たな殺戮を企てるブッチャーを相手に、自分の身体を取り戻そうとするが……。「名探偵ピカチュウ」「スリー・ビルボード」のキャスリン・ニュートンがミリーに扮し、ブッチャーと入れ替わり後は手当たり次第に殺戮を企てる殺人鬼を熱演。一方、中身は女子高生で自分の身体を取り戻そうするブッチャーをビンス・ボーンが演じた。 

 (ザ・スイッチ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『ザ・スイッチ』公式サイト

 【総評:☆4.2】

ストーリー:☆4

演出:☆4.3

俺の好み度:☆4.3

 

実質ほぼハッピーデスデイのノリの本作、本当に深いことは考えずにスナック感覚で楽しむべき映画ですが、ハッピー(以下略)に比べるとたった24時間で完結してしまうのでめちゃくちゃハードモードの死にゲー。ハ(以下略)では何回も死んで覚えるゲーム(?)でしたが今回は1度の失敗が命とり。そんなハードモードな中で主人公と主人公パートの奮闘がはちゃめちゃで愛おしく、そうそう!クリストファー・ランドンに求めてんのはコレなんだよな~~!!という気持ちにさせられる。

本作はゴアが完全に人体構造ガン無視のB級のそれなのも非常に好感が持てる。クリストファー・ランドン作品に生々しいスプラッタとか求めてないし。そうそう!!この程度のゴアなんだよな~~!!

クリストファー・B・ランドン、次はゾンビと人間の体を入れ替えて終末世界でてんやわんや!てなことをやりませんかね。

 

『21ブリッジ』

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ブラックパンサー」のチャドウィック・ボーズマンが主演・製作を務めたクライムミステリー。マンハッタン島で強盗事件が発生し、銃撃戦の末に警察官8人が殺害された。捜査に乗り出したのは、警察官だった父を殺された過去を持つデイビス刑事。マンハッタンを全面封鎖して犯人の行方を追うが、事件の真相に迫るうちに思わぬ事実が浮かび上がる。孤立無援となったデイビス刑事は、事件の裏に潜むニューヨークの闇に立ち向かうが……。共演は「アメリカン・スナイパー」のシエナ・ミラー、「ビール・ストリートの恋人たち」のステファン・ジェームズ、「セッション」のJ・K・シモンズ。製作には「アベンジャーズ」シリーズのアンソニージョー・ルッソ兄弟監督が名を連ね、「ゲーム・オブ・スローンズ」などテレビドラマを中心に手がけてきたブライアン・カークがメガホンをとった。

 (21ブリッジ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『21ブリッジ』公式サイト

【総評:☆3.8】

ストーリー:☆4.1

演出:☆3.8

俺の好み度:☆3.8

 

現代のアメリカ警察への皮肉を込めた本作。なので外国人としてはいまいち共感しいれない点も多々あり、設定自体は可もなく不可もなく。想像通りのものが出てきたのでちょうどよい出来であったと思います。ただサスペンス要素があったのはとても良い。

 

濁流にのまれるように悪い方へ転がっていってしまう黒人の悲壮感が痛々しく、終始映画全体に漂う不穏さや不信感が映画として心地よい。マンハッタンの治安の悪さにこの不穏さと「夜」という舞台設定がマッチしていて、見ているこちらまでぞわぞわするような不信感を抱いてくる。

先述したように可も無く不可も無く、ふつうに面白いんだろうけど来年には見たこと忘れてそうだなあという感想ではあるのですが、サスペンス要素を加えていることにより、大きなどんでん返しはないもののミステリー的快楽があります。ただのドンパチアクションでもただのサスペンスでもなくそれらを混ぜ込んだ映像体験。

とはいえやはりフィクションではあるので「ん?」とはなるものの、そのリアリティの欠如(もしかしたらアメリカ人からしたらリアルなのかもしれないけど)は割り切れる程度のもの。

お手軽に不信感を抱きたいときにおすすめです。 

 

『ザ・バッド・ガイズ』

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「新感染 ファイナル・エクスプレス」「悪人伝」の人気俳優マ・ドンソク主演によるアクション。囚人たちを乗せた護送車が、覆面武装集団に襲撃される事件が発生し、多くの凶悪犯罪者がふたたび野に放たれてしまった。警察の上層部は逃亡した凶悪犯たちを再び捕まえるため、元警察官のオ・グタクに指令を出し、重大な罪を犯して刑務所に収監されている服役囚たちを集めた極秘プロジェクト「特殊犯罪捜査課」を始動させる。オ・グタクは「伝説の拳」と恐れられているパク・ウンチョルを仲間に引き入れ、天才詐欺師のクァク・ノスン、犯人逮捕で過失致死に問われた元警察官のコ・ユソンらを、減刑を条件にチームに勧誘し、凶悪犯たちを追い詰める。しかし、この事件の背後には国家を揺るがす謎の組織が暗躍していた。ウンチョル役をドンソクが演じるほか、キム・サンジュン、キム・アジュン、チャン・ギヨンらが顔をそろえる。

 (ザ・バッド・ガイズ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『ザ・バッド・ガイズ』公式サイト

【総評:☆3.8】

ストーリー:☆3.0

演出:☆4.0

俺の好み度:☆4.5

 

はい!!!!韓国映画!!!!!!!

 

これは完全に『アクションコメディ』なのでコミカルや演出性を重視し、リアリティというのはこの映画においては言ってしまえば不要であるので、韓国映画あるある『虚構性の高いかっこよさ』が存分に見られます!!!

まず犯罪者のくせにあらゆることが自由すぎるとか、アジトが交通の便も悪そうな上に機密性も安全性も低くて敵に攻められたら即アウトっぽいけどめっちゃカッケエ廃墟の教会とか、いや冷静に考えなくてもそうはならんやろ!!ご都合主義の向こう側か!!みたいな脚本とか、いっぱいあるんですけど、でも結果的に映画としては「めちゃくちゃ面白い」ので凄い。映画はエンタメなので、エンタメ性に全振りした本作は大勝利。

そして後半の怒濤のジャパニーズには笑ってしまうのですが、マドンソクの日本語も聞けます。(とはいえ、ハリウッドのトンデモジャパニーズを見慣れた身としては、韓国映画のジャパニーズは多少差異はあれども解像度が高くて凄いなあと思います。地理的にも文化的にも近いから、洋画のそれに比べると圧倒的にリアルで違和感なく見られますね。まあ本作のジャパニーズはおもしろいんですけど、、、、)

アクション、天才!

演出、天才!

いろいろ、天才!

韓国映画、おまえが20年代のエンタメの覇者や……あとは任せたで……

 

『砕け散るところを見せてあげる』

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平凡な日々を送る高校生の濱田清澄は、ある日、学年一の嫌われ者と呼ばれる孤独な少女・蔵本玻璃に出会う。正義感の強い清澄は玻璃に救いの手を差し伸べ、玻璃はそんな清澄に対して徐々に心を開いていく。しかし、玻璃には誰にも言えない秘密があった。その秘密に気づき始めた清澄に、恐るべき危険が迫り……。

( 砕け散るところを見せてあげる : 作品情報 - 映画.com (eiga.com))

映画『砕け散るところを見せてあげる』公式サイト)

 

なにが正解だったのか、正義の味方になれたのか、どうして砕け散ってしまったのか。

 

田舎、秘密、嘘と暴力、血、初恋、不快感、不信感、沼、へどろ、UFO、汚濁、青春、青春の眩しい一瞬が放つ殺人的なまでの輝き。『死体を一緒に埋める』シチュエーションが好きなオタクが好きそうな映画。です。

映画全体がずっと不穏で胃がキリキリと締め付けられるような生ぬるい不快感に支配されています。

大きな絶望も嫌悪もないのですが、これはジャパニーズホラーにも共通するというか、「生ぬるくじめじめした湿っぽい不快感」をまとった雰囲気。舞台は冬なので最初はむしろからりとした寒空の印象が強いのですが、後半に向かうにつれ、「沼」「へどろ」「土」といった風景が増え、脚本も相まってどろどろとした不快感が気持ち悪く這い寄ってきます。最高。

邦画はつまらん!クソ!とかいう人がいますけど、私は邦画って結構こういう嫌な映画が得意だなと思っています。『怒り』とかかなり良かった。嫌な映画やブラック映画に関しては打率結構高いと思うので、邦画クソという人は漫画実写化以外にも目を向けてほしいなと思います。韓国映画もそうだし、アジア映画自体が嫌~~な映画の打率が高いと思うので、これは地域性もあるのでしょうか。エンタメを作る人間にとって「どっかひねくれてる」って結構重要な要素だと思っているので、邦画ちゃんにはぜひここを伸ばしていってほしいですネ。

 

ラストに関しては、私は不穏な映画は不穏で終わってほしい派なので思想を決定的に違えてしまいましたが、これは原作者の思想との違いなので、人それぞれかと。

 

◆色々

『殿!利息でござる!』……邦画。お上相手に利息つきで金を貸し付けて町の起死回生の一手を狙う百姓たちの話。

『超高速参勤交代』とか『引っ越し大名』的なテイストを想像して観たのですが、そしてそれはおおむね間違ってはいないのですが、先に挙げた2作よりもヒューマンドラマに主軸を置いていて、コメディではありながらコメディ色は思っていたより薄い。でもメインはコメディなので気軽に見れるけどね!あらすじからは窮鼠猫を噛む的なストーリーを想像していましたが、それよりもじんわりと暖まる、良いお話。実話というのもすごい。いつの時代でも情けのために起死回生の一手に打って出る人々はいて、まあ後世では美談になっていても実際はどうだったか分からないけど、それでも数百年前にも人間の心というものは(当たり前だけど)息づいていたんだなと再認識しました。

 

『グッド・ネイバー』……アメリカサスペンス映画。

ドント『ドント・ブリーズ』。ジャンルが何であるかとかは調べずに是非に観てほしいので感想もどう言うか考えあぐねているけど、ここ数年「ナメてたやつがめちゃくちゃ強かった!」系の反逆映画が飽和しているので、良いスパイスになりました。素直に面白かったです。

 

私は大阪府民のため4月下旬から全く映画を観れていないし、5月末どころか6月末、と思いきやさらに7月末まで見れなさそうでかなり死んでいます。映画館でのクラスターって聞かないし換気も良かったはずなので、どうにか映画館は開いてほしい。映画館、つぶれてほしくない。全然ほしくない映画館チャリティーグッズとか買ってしまった。つぶれないでほしい。ぼくも生きる、きみも生きる。8月にまた会おう…………

2021年!3月!映画!まとめ!

こんにちは!

なんだかちょこちょこお金が消えてるな……?と思っていたある日部屋からがっつり2桁が消えた私です。身内か自分の多重人格を疑わねばならない状況でめまいを起こして死にそうでしたが、生きています。

1回もまだ払っていない新しいスマホをぶっこわしたり、別件で警察に被害届を出したり、その帰りにマジで知らないおじさんに肩を殴られたり、火傷したり、気付いたら背中に大きな傷跡がついていたり、そろそろ厄払いにいこうかなと思っています。

 

◆ ◆ ◆

『ガンズ・アキンボ』

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スイス・アーミー・マン」「ハリー・ポッター」のダニエル・ラドクリフが主演を務め、両手に拳銃が固定された状態でデスゲームに参加させられた男の戦いを描いたアクション。ゲーム会社でプログラマーとして働くマイルズは、ネットの掲示板やコメント欄に過激な書き込みをして鬱憤を晴らしていた。ある日、マイルズは本物の殺し合いを生配信する闇サイト「スキズム」に攻撃的な書き込みを繰り返し、サイトを運営する闇組織のボスを怒らせてしまう。組織に襲撃され気を失ったマイルズが目を覚ますと、両手にボルトで拳銃が固定されていた。さらに元恋人も人質にとられたマイルズは、「スキズム」で最強の殺し屋ニックスに24時間以内に勝てば解放すると言い渡される。殺し屋ニックス役に「レディ・オア・ノット」のサマラ・ウィービング。監督・脚本は「デビルズ・メタル」のジェイソン・レイ・ハウデン。

 (ガンズ・アキンボ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『ガンズ・アキンボ』オフィシャルサイト

 【総評:☆4.1】

ストーリー:☆3.8

演出:☆4.0

俺の好み度:☆4.5

 

ダニエル・ラドクリフがピンチに陥れば陥るほど面白い!シチュエーションも倫理も周りへの迷惑のかけ方も史上最低最悪の最高なデスゲーム映画。

(街中でドンパチとカーチェイスをして無関係な他人を死なすな~!!)

 

ネットでイキり散らかしたやつがイキりの代償にしてはデカすぎる目に遭うという点で、日本の映画やドラマではせいぜいちょっと痛い目に遭ったり社会的制裁を下されたりする程度なのに対してアメリカはやばいヤツにつかまってデスゲームに参加させられるからやっぱスケールちげぇな~~~!と『ザ・ハント』で言いましたが、やっぱ欧米はスケールが違いますね。ネットでイキっただけでこんな目に遭うなんて、人生の幸不幸のバランスはプラマイゼロになるという話は大ウソですね。

 

そんなわけでネットでイキったせいでイカれた集団に拉致られて両手に拳銃をつけられてイカれたデスゲームに参加させられてさあ大変!という、パワーで押し切る映画。設定の悲壮感は一歩間違えばSAWになりかねませんが、どこまでもそれをコメディに昇華していて、ダニエル・ラドクリフが危機に陥れば陥るほど、味方であるはずの観客である我々もニヤニヤとした笑いが止まらなくなってくる。

湿っぽさのないからりとしたキャラクターの描き方がそのブラックな笑いをうまく生み出し、しかしながらぶっ飛びまくったコメディ(エンタメ性)の中にある冷静なリアリズムがこの映画に喜怒哀楽の「喜」「楽」のみならず「怒」「哀」をにじませている。

 

オチに関してはこういう弱者反撃型映画のよくあるオチではあるのですが、カタルシスがそこにあるのでエンタメとして問題なし!やったね

 

 

スカイライン 逆襲』

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地球人を“収穫”するため襲来した宇宙人との戦いを描いたSFアクション「スカイライン 制服」「スカイライン 奪還」に続くシリーズ3作目。15年前に地球を襲ったエイリアン「ハーベスター(=収穫者)」の目的は、人類を資源として利用することだった。捕らえられた人々は脳を「パイロット」と呼ばれるサイボーグに移植され、奴隷として使われた。ハーベスターの宇宙船が放つ青い光の影響で特殊なDNAを持つことになったローズは、抵抗軍を結成してハーベスターと戦い、彼らを一度は撃退する。しかし、5年後、ハーベスターは反撃の準備を着々と進め、地球に残った30億ものパイロットを再び操ろうとしていた。その計画を阻止するため、ローズは精鋭部隊とともに敵の拠点に向かうが……。主人公ローズ役は人気ドラマ「The 100 ハンドレッド」のリンゼイ・モーガン。「ザ・レイド」シリーズで知られるインドネシアのアクション俳優ヤヤン・ルヒアンも前作から続投。「スカイライン 制服」で製作・脚本、「スカイライン 奪還」では監督・脚本を務めたリアム・オドネルが再びメガホンをとった。

 (スカイライン 逆襲 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『スカイライン -逆襲-』公式

 【総評:☆4.2】

ストーリー:☆3.8

演出:☆4.8

俺の好み度:☆4.0

 

細かいことは気にしない!ずっと少年漫画の文脈!これがスカイラインや!!

という感じで、内容の感想を書けと言われたら「なんか……“スカイライン”……」としか言えないのですが、それくらい“スカイライン”。良い意味でどこかで見たことある展開の連続で、まさに少年漫画の文脈。なにが良いって聞かれたら分からんけど、とにかく、良い。

『征服』に比べたら『奪還』『逆襲』は予算が段違いのはずなのですが、『逆襲』にいつまでも漂うB級感や安っぽさがたまらない。やたらセットとかがB級。安っぽいと言うと批判のようですが、言い換えるならば「手作り感」。どこまでも手作りで、どこまでもファンアートチックで、どこまでもファンと制作がスカイラインを愛している姿勢が滲み出ている。

スカイラインは愛すべき馬鹿映画。ずっと馬鹿であれ。そしてスカイラインよ、永遠に。わたしはきみを忘れない。

奪還を初めて見た時のあの興奮、衝撃、その全てを私は忘れません。LOVE 

 

 

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』

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庵野秀明監督による大ヒットアニメ「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの最新作にして完結編。1995~96年に放送されて社会現象を巻き起こしたテレビシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」を再構築し、4部作で描いた「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズ。2007年に公開された第1部「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」、09年の第2部「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」、12年の第3部「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」に続く今作は、「新劇場版」シリーズの集大成となる。テーマソングは、これまでの「新劇場版」シリーズも担当した宇多田ヒカル。ミサトの率いる反ネルフ組織ヴィレは、コア化で赤く染まったパリ旧市街にいた。旗艦AAAヴンダーから選抜隊が降下し、残された封印柱に取りつく。復元オペの作業可能時間はわずか720秒。決死の作戦遂行中、ネルフのEVAが大群で接近し、マリの改8号機が迎撃を開始した。一方、シンジ、アスカ、アヤナミレイ(仮称)の3人は日本の大地をさまよい歩いていた……。

 (シン・エヴァンゲリオン劇場版 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

エヴァンゲリオン公式サイト

 【総評:☆4.2】

ストーリー:☆4.0

演出:☆4.5

俺の好み度:☆4.0

 

やめろ~~~~ッッッ!!!!終わるな~~~~~!!!!

 

今までのエヴァエヴァのセットやスクリーンを力尽くでたたき壊して「はいこれ虚構だから!おしまい!!!」って感じでしたが、シンエヴァエヴァのセットやスクリーンを丁寧にひとつずつ箱にしまい込んで「これ虚構だからおしまいだけど、みんな生きような」って感じで、なんだか悲しくなってしまった。

庵野庵野……大人になるな……私たちに「大人になれよ!!」とキレながら叩いてくるきみであってくれ……そんな……そんなさあ……優しく「現実は続いていくからみんなどうにか救われて大人になって毎日を生きていこうね☺」みたいに諭してこないでくれ……やだ……いやだ……ぼくは子供のままでいたい……。

「虚構に逃避するな!!」ってキレられたら反発できるのに、優しく「虚構に逃避してもいいけど現実の毎日を生きていくことも頑張ってみようね」みたいに言われたら逆らえないじゃんか。わたしが23歳だから耐えられたけどリアルタイムから観てたおじさんだったら耐えられなかった。

わたしは“エヴァ”がきれいに終わったことにも傷ついているし、事実上カヲシンが不可能になったことにも傷ついている。所詮カヲシンはひな鳥の刷り込みで、オタクとしての自我が芽生える前に世間からカヲシンだと言われたからそう受け止めただけなのに、なぜこんなに傷ついているのだろうか。それは“エヴァ”が終わってしまったから。

あんなにみんな「はやくエヴァ完結させろ」と文句垂れていたのに、いざ終わるとこれだよ。我が儘でごめんね。こんなのだから庵野もそりゃ嫌になるわな!わはは ね……

いつだってエンタメは私を勝手に置き去りにして勝手にきれいに終わってしまう。毎回傷ついてしまう。映画のエンドロールほどこちらを突き放してくる残酷さを知らない。

映画のエンドロールとか、漫画の最終回とか、その世界は確かに続いていくはずなのに私を置き去りにして突き放して勝手に終わる。虚構だと思い知らされる。

映画のエンドロールって静かで無機質ななかに情熱があって好きだけど、同時にすごく「あーあ」という気持ちになっちゃう。

でもこの世にエヴァがあってよかったよ。

私はこの日本に生を受けて、ゼロ年代10年代を生きて、20年代になって、エヴァの影響を受けずにエンタメを消費することは不可能だった。ずっとそこにエヴァがあった。結局きれいごと、結局ひよる、そう言われれば仕舞いだけれども、それでもそこに薄らな希望を見いだしてきれいごとをほざく人生も悪くないよね。ね。

ところで私は貞本版のカヲシンが大好きです。

 

 

『太陽は動かない』

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「怒り」「悪人」などで知られる吉田修一のスパイアクション小説「太陽は動かない」「森は知っている」を藤原竜也主演で映画化。謎の秘密組織AN通信。この組織に属するエージェントは心臓に爆弾が埋め込まれ、24時間ごとに死の危険が迫まるという。エージェントの鷹野は相棒の田岡とともに、死の危険を抱えながら「全人類の未来を決める次世代エネルギー」の極秘情報をめぐって、各国のエージェントたちとの命がけの頭脳戦を繰り広げる。鷹野役の藤原、田岡役の竹内涼真のほか、ハン・ヒョジュ、ピョン・ヨハン、佐藤浩市市原隼人南沙良、日向亘、加藤清史郎らが脇を固める。監督は「海猿」「暗殺教室」「MOZU」など数多くのヒットシリーズを手がける羽住英一郎

 (太陽は動かない : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

大ヒット上映中!映画『太陽は動かない』オフィシャルサイト

 【総評:☆3.3】

ストーリー:☆3.0

演出:☆3.5

俺の好み度:☆3.3

 

あの~~~~~~ね……

邦画にしては頑張ってた。ちゃんと海外?ロケしていて安っぽくはなかったし、ちゃんと爆発してたし、ちゃんとアクションしてたし、ちゃんとやってた。

やってたのに何がこんなに安っぽく感じるのかと言われたら、これは同じように「ちゃんとやってる」はずなのに妙に安く感じてしまった『罪の声』にも言えたことだけど、なんだかWOWOW感が否めない。邦画はドラマとの区別がつかないとはよく言ったもので、ドラマを引き延ばしただけの映画がやはり多いなと感じてしまうのも事実。

本作は原作も面白いはずだし、ちゃんとやってるし、竹内涼真藤原竜也も悪くないし、それなりの名作に仕上がる素養は十分にあるのに。あるのに、これかあ、、、、という出来。

「ん?これってドラマのダイジェストだっけ?」と見ていて困惑してしまう内容で、ひとえにそれは脚本と監督の技量の問題だと言ってしまえばそれまでだけど。

他の人が作ったらどうなるか見てみたかったですね。

私は韓国人に激甘なので「韓国人ってやっぱり韓国語も英語も日本語もしゃべれてすごいな~~~♡♡」つってたんですけど、中盤あたりから「もういい!もう……もう頑張るな!韓国人!!下がれ!!竹内涼真も頑張るな!頑張っても何にもならん…………竹内涼真!!!!下がれ!!!!!」になりました。

真面目な話をすると、この映画が面白く仕上がらなかった(もちろん「面白い」は他人によって物差しがかなり変わることは承知の上ですが)ことの原因には、結構深刻な邦画の問題もあるとは思います。邦画の死とかオワコンとかは口が裂けても言いたくない言葉なのですが、それはそれとして、意欲的な映画がある反面、悪い意味でテレビサイズであることから抜け出せない映画も多く存在することも事実ではあると思います。

 

『ブレイブ 群青戦記』

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集英社週刊ヤングジャンプ」で連載された笠原真樹原作の人気コミック「群青戦記」を、「踊る大捜査線」シリーズの本広克行監督が実写映画化。新田真剣佑が単独初主演を飾るほか、三浦春馬松山ケンイチら実力派キャストが集う。スポーツ名門校で弓道部に所属する西野蒼は目立つことが苦手で、弓道場で練習に打ち込むばかりの日々を送っていた。幼なじみの瀬野遥は、そんな蒼のことを心配している。ある日、1本の雷が校庭に落ちた直後、突如として校庭の向こうに城が出現、校内には刀を持った野武士たちがなだれ込んでくる。全校生徒がパニックに陥る中、歴史マニアの蒼は、学校がまるごと戦国時代、しかも“桶狭間の戦い”の直前にタイムスリップしてしまったことに気づく。織田信長の軍勢に友人たちを連れ去られた蒼は、後に徳川家康となって天下統一を果たす松平元康と手を組み、野球部やアメフト部の選抜メンバーたちと共に立ち上がるが……。主人公を導く松平元康(後の徳川家康)を三浦、彼らの前に立ちはだかる織田信長を松山がそれぞれ演じる。

 (ブレイブ 群青戦記 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『ブレイブ -群青戦記-』公式サイト

 【総評:☆3.0】

ストーリー:☆3.0

演出:☆3.0

俺の好み度:☆3.0

 

男と男の巨大感情を浴びて完全に「元気」になりました。

私は一応原作を読んでいて、「主人公真剣佑!?カースト最上位すぎん!?」と慄いていたのですが、真剣佑は確かに本来の主人公の設定にしては顔が綺麗すぎて体格が良すぎるきらいもありますが内気な青年という陰もうまく出せていて、予想以上に良かった。

原作ぽくないと言えば真剣佑だけでなく、やはり映像化されるにあたって原作にあった青年漫画ライクな陰湿さ・グロテスクさというのは大分省かれていて、青年漫画というより週刊少年ジャンプライクな王道青春漫画チックにはなっていました。

その原作のアクを好む人からすればともすれば好ましくない変化かもしれませんが、私としては、私も原作のアクを好んでいた人間ではありますが、映像化においてはむしろアクを抜いたおかげで登場人物たちの心情やその変化の機敏、関係性にフォーカスしやすくなっており、結構「アリ」な改変ではないかなと。

気になる描写がないと言ったらウソにはなるけれど、「スポーツで戦国時代を戦い抜く」という設定は非常に映像映えするものであるので、映像化は正解だと思います。

肩の力を抜いて見られる良いスナック映画です。男と男の巨大感情も観れるし。

 

 

というわけで3月はわりと色々なものに追われていてあまり映画を観れませんでしたが、ミュージカル刀剣乱舞東京心覚の初日を観て2日目を飛んで映画館に駆け込んで観たシンエヴァは結構良かったです。寂しいとか悲しいの一言で表すのは簡単だけど、そこにあるのは郷愁とか哀愁とか哀切とか執着とか、なんとも言えない気持ち。

子どもの頃に育った町に大人になってから遊びに行ってみたら、いつも遊んでいたあの公園が改装されて全く別の真新しい公園になっていたような感じ。公園が潰されてパチンコ屋やコンビニになっていたとか、あるいは大きなマンションや駐車場がたっていたとかならば、もっとその感情ははっきりと「物悲しい」で済まされたのに。そこにあるのは同じ公園で、これから息づく命も自分と同じような命なのに、でも確かになにかが変わってしまった。根本は同じかもしれないのに、それをうまく呑み込めない。かといって変わったなんて簡単にも癒えない。そういう寂寞を感じるのと、すごく似ている。

 

私はエヴァコードギアスを抱いて死んでいきます!みんながより良い生でありますよ~~に

 

2021年!2月!映画!まとめ!

ジャンル映画が好きです!!!!恋愛映画にはどんな名作でもさほど興味が無い。なので今月のトーシロー星付け基準は「ストーリー」「演出」「その他の加点(要するに俺の好みかどうか)」で、めちゃくちゃハートに響くかどうかに重きを置いていっちゃおうかなと思っています。 食べログよりは信用してもらっても大丈夫だと思います。

映画以外の日記や様々なことはnoteのほうです(別に読まなくてもいいです)BUN太|note

 

2月は

 

◆ ◆ ◆

 『ダニエル』

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内気で繊細な少年ルークには、自分にしか見えない空想上の親友ダニエルがいた。しかしある事件をきっかけに、ダニエルの存在を封印することに。時が経ち、成長したルークは孤独と不安に苛まれ、再びダニエルを呼び覚ます。カリスマ性あふれる美青年の姿で現れたダニエルの助言により、ルークの人生は好転していく。やがてルークはダニエルを必要としなくなるが、ダニエルはそれを許さず、次第にルークの精神を支配するようになっていく。

 (ダニエル : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

『ダニエル』公式サイト

 【総評:☆4.3】

ストーリー:☆4.5

演出:☆3.9

俺の好み度:☆4.5

 

『ブロマンス×イマジナリーフレンド×スリラー!』耽美全振りかと思いきやスリラー全振り!コワ!

時に私はオタクです。ボーイズラブが大好きです。一番好きなのは男たちの間に「文脈」を感じるブロマンスです。なので本作の説明文を見たときに「お!『君の名前で僕を呼んで』的な?感じ?」と思って下心全開でチケットを購入したのですが、結果的には「キモコワ!!!!!」でした。

何がと言ってしまうとネタバレになりかねないので言葉を選びますが、『あれ』がキモいし、そもそもダニエル(イマジナリーフレンド)の言動も逐一キモい。確かにブロマンスっちゃブロマンスだけども、結構しっかり正統派スリラーを展開していて、ストーリーの大枠自体は非常に平素なものでありながらそこに『イマジナリーフレンド』というエッセンスを加えることにより「ひと捻り」を感じさせ、なんとも言えない虚無感に包まれるラストに向かって伸びていく。

映像の撮り方も美しく、主人公ルーク(マイルズ・ロビンス)の演技も狂気がかっていて秀逸。終盤にかけて胃が締め付けられるような気味悪さと絶望が空気に乗ってこちらまで支配してきますが、寒々しいラストがしかしどこか開放的ですらある。

殆ど当たり屋事故のようですが、こんな目には遭いたくない。

これ、私が観た時は映画.comで☆1.9だったので、マジで面白いか面白くないかって人それぞれだから絶対に自分の目で確かめるべきだなと思いましたね。マジで。マジです。

 

以下ネタバレになりますが↓

『あれ』の正体は時代や国によっては「悪魔」とも「悪霊」とも「トラウマ」とも「統合失調症」とも呼ばれるそれ。何かと言われたら分からない。ただ主人公自身が生み出した本当のイマジナリーフレンドではなく、それを装った(?)人の精神を渡り歩きその魂と肉体を乗っ取り破滅させる、まさに「悪魔」てきな何か。それ自体もひとつの脚本のギミック、どんでん返しになっており、スリラー的快感が十分にある。

というのを踏まえた上で、しかしやはり『あれ』の正体が単純な悪魔的存在であると結論づけてしまうのは早計な気もする。主人公ルークには精神病を患う母親がいて、その遺伝により自身も精神疾患が発生しやすい状態であったともいえますが、結局『あれ』(ダニエル)が人間の悪魔的で傲慢な面、怠惰な面、消し去ってしまいたいあらゆるヤなところを反映した「もうひとつの人格」であるという一番最初の設定にやはり違いないと思いました。

「弱っている人の気持ちの隙間に付け込んで甘い言葉を囁いて人生を破滅させる」そういう、現実の社会にも存在する様々な「悪魔」の象徴であるとも思います。要するに甘言には気をつけよ~~ネ。楽して高収入とか、ないから。

 

個人的には『あれ』の見た目がはっきり映ったのがちょっぴり残念なのと、映すならもっと予想外の容貌であってほしかった気持ちと。

とはいえ面白かった!

 

 

『樹海村』

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「犬鳴村」に続き、実在した心霊スポットを題材に描く「実録!恐怖の村シリーズ」第2弾。自殺の名所として世界的にも広く知られる富士の樹海を舞台に、インターネット上の怪談スレッドで「絶対に検索してはいけない」と語り継がれる通称「コトリバコ」と呼ばれる呪いの箱と、樹海がもたらす負の引力によって巻き起こる狂気と混沌を描く。かつて人々を戦慄させた、古くから伝わる禍々しい強力な呪いが、富士の樹海の奥深くに封印された。それから13年後、樹海で行方不明者が続出する事態が起こり……。

 (樹海村 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『樹海村』公式サイト)

【総評:☆3.8】

ストーリー:☆3.3

演出:☆4.0

俺の好み度:☆4.0

 

『犬鳴村』的なトンチキかと思ってトンチキスイッチをオンにして観に行ったら意外にも正統派ホラーでした。何!!??

 

記憶に新しい『犬鳴村』のトンチキ。わたしのように斜に構えたひねくれオタクはむしろそういうのを甘受し消費するのが大好きですが、しかしながら本作は予想外にも「まとも」。大衆ウケじゃん!!?いやそれで正解ですがね。

わたしは洒落怖に入り浸ってるタイプのオタクで、橋本環奈が「千年に一度の美少女がみつかる」的なスレタイ2chで祭りになったときもリアタイをしていたインターネット人間なので、コトリバコを映画化されると聞いて「ええ……」という気持ちも若干あり。

「凝縮された手のひらサイズの地獄」とかいうセンスある一文はコトリバコだったっけ。まあその程度の記憶でもあったので、ま~~いっちょトンチキ拝みにいきますか!くらいの気持ちで観ました。

 

そしたら全力でホラー。静と動のバランスを摂りながら、湿っぽくてじめじめした湿度の高い日本の気味悪いホラーに見事に昇華していて、振り切ったダイナミックな呪いと静かに忍び寄る恐怖の絞め技が絶妙。

絶対にこんな目には遭いたくないね!!!!日本の呪いは不条理なので!!!!

ラストは清水崇らしいテイストなのですが、いやほんと清水崇ゾンビ映画撮ってくれないかな~~~!!気持ち悪くてセンス爆発した思い出に残るゾンビ映画が生まれそうなんだけどな~~~!!

 

 

『ヤクザと家族 The Family』

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「新聞記者」が日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた藤井道人監督が、時代の中で排除されていくヤクザたちの姿を3つの時代の価値観で描いていくオリジナル作品。これが初共演となる綾野剛舘ひろしが、父子の契りを結んだヤクザ役を演じた。1999 年、父親を覚せい剤で失った山本賢治は、柴咲組組長・柴崎博の危機を救う。その日暮らしの生活を送り、自暴自棄になっていた山本に柴崎は手を差し伸べ、2人は父子の契りを結ぶ。2005 年、短気ながら一本気な性格の山本は、ヤクザの世界で男を上げ、さまざまな出会いと別れの中で、自分の「家族」「ファミリー」を守るためにある決断をする。2019年、14年の出所を終えた山本が直面したのは、暴対法の影響でかつての隆盛の影もなくなった柴咲組の姿だった。

 (ヤクザと家族 The Family : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『ヤクザと家族 The Family』| 1月29日(金)全国公開)

【総評:☆4.5】

ストーリー:☆4.5

演出:☆4.5

俺の好み度:☆4.5

 

本作はあらすじにもあるようにヤクザの栄枯盛衰を3つの時代を通して描かれるのですが、その悲哀に満ちたヤクザの生き方が不器用でもの悲しくもいとしい。

やくざに浪漫をみている人からしたら直視できないような諸行無常が展開されるのですが、しかしながら移り変わる時代と、やくざでしか生きられないやくざ、やくざを続けられなかったやくざ、それぞれにある守りたいものや選びたいものの違いで運命は緩やかに隔絶されてしまう。

時代に即した登場人物が出てきて、2時間にコンパクトにおさめるために多少駆け足なところもありますが、どの人物もチャーミングで、うつりゆく時代とキャラクターへの解像度が結構高い。

「時代は川の流れ」とはよく言ったもので、個人の足掻きでは到底太刀打ちできないような「流れ」が確かにそこにあって、それでも脚を踏ん張って流れに逆らう人もいればたゆたう人も流される人もいる。それを不快だと感じる人もいれば心地よく感じる人もいる。繊細に描かれた脚本の雄大で穏やかでありながら全てを押し流していく川の流れ。そこに存在する一人一人が切なく、なのになぜラストは晴れやかですらあるのか。

切なくなるけどとても良い映画でした!

 

で、現実のヤクザ、全員舘ひろしにならんかな~~~~!!

舘ひろしは茶目っ気がありながら器が大きくて暖かく、優しくも芯の通った親分。しかも見た目が舘ひろし。現実のヤクザこんなふうにならんかな。わたしも仕事の関係上たぶんヤクザなんやろなあな人とは何度か関わったことがあるのですが(イキリとかではないです)、舘ひろしみたいな人はひとりもいなかった。舘ひろしはフィクション。当たり前体操。

 

 

多少気になる点について。

強いて言うなれば、この映画に限らずですが、インターネットへの解像度が低いのだけ勘弁してほしい。他が解像度高いだけにそこだけ浮いている。4Kの時代にそこだけファミコンみたいな画質。

物語を都合よく運ぶための装置としてインターネットを活用するのは構わないのですが、それならばやはりそこにもリアリティをもたせないといけない。例えば警察や医療、車輌、着物や茶道、そういった専門分野には必ず監修がつきますが、インターネット監修もつけたほうがいいのでは?と思わされる。

具体的に言うならば、ツイッター描写で「○○逝ったwwwww」みたいな書き方をされるのですが、いまのツイッターってむしろ句読点あり長文もしくは「~~~!!!!」みたいな書き方が主流だと感じるので、なんかニコニコ動画のときからイメージとまってるんだなあ……という気持ちにさせられる。

インターネット監修、アリだとおもうんだけどなあ。

 

 

『プラットフォーム』

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スペインの新鋭ガルダー・ガステル=ウルティアが、極限状態に置かれた者たちの行動を通して様々な社会問題をあぶり出した異色スリラー。ゴレンは目が覚めると「48階層」にいた。そこは遥か下まで伸びる塔のような建物で、上下の階層は部屋の中央にある穴でつながっており、上の階層から「プラットフォーム」と呼ばれる巨大な台座に乗せられて食事が運ばれてくる。食事は上にいる人々の残飯だが、ここにはそれしか食べ物はない。各階層には2人の人間がおり、ゴレンは同じ階層にいた老人トリマカシから、1カ月ごとに階層が入れ替わること、そして食事を摂れるのはプラットフォームが自分の階層にある間だけ、というルールを聞かされる。1カ月後、ゴレンが目を覚ますと、そこは以前より遥か下の「171階層」で、しかも彼はベッドに縛り付けられ身動きが取れなくなっていた。

 (プラットフォーム : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『プラットフォーム』公式サイト|2021年1月29日公開)

【総評:☆3.3】

ストーリー:☆3.0

演出:☆4.0

俺の好み度:☆3.0

 

たぶんなんか……CUBE的なアレ!

あらすじからして高尚哲学映画なのは100人中100人が気付いていただろうし、それを前面に押し出して思想を展開しているから「しゃらくせえ!」とかは一切無いのですが。それをしゃらくさく感じる人はそもそもこの映画を選ばないだろうし。

ただわたしが浅学ゆえに、メッセージの全てを咀嚼しきれなかった。『バクラウ』でも感じましたが、伝えたいということは分かるのに伝えたい内容を理解しきれないというのは非常に歯がゆい。なんか……なんか伝えたいことは分かる!なんか、現代社会の見えないが確かに存在するカーストへの皮肉とか、他人を蹴落として生きてゆくシステムへの揶揄とか、なんかある、あるのは分かるけどわたしにはそれを咀嚼し血肉にして他人のために言語化することができない。歯がゆい。観ながらずっと口をもごもごさせていました。

 

ちなみにこういう不条理系で組織の正体も目的もわからんのはやだ!という人もいるかもしれませんが、わたしはCUBE続編のトラウマがあるので不条理系は不条理系のまま終わってほしいから種明かしははしないでほしい派です。なので本作はよかった。種明かしされなくてよかった!万人の納得する正体なんてないから絶対にもやもやしてしまうし。

そもそも世にも奇妙な物語で育っているから、不条理系のシステマティックな説明は野暮だなあと思ってしまう。謎は謎のままでたのんますわ。

 

 

『ノンストップ』

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テロリストにハイジャックされた旅客機を舞台に描くアクションコメディ。揚げパン屋を営むミヨンは、パソコン修理工の夫ソクファンと娘と家族3人、つつましくも幸せな生活を送っていた。ある日、景品でハワイ旅行に当選した一家は人生初の海外旅行に旅立つが、搭乗した旅客機には北朝鮮のテロリストが乗り合わせていた。旅客機はテロリストにハイジャックされて危機に陥るが、そこでミヨンの隠されていた能力が覚醒。不審な男を瞬く間に打ちのめすほどの戦闘能力を発揮する。一方、夫のソクファンも愛する妻に見せていない別の顔を持っており、その秘めた能力で旅客機を救おうとしていた。

 (ノンストップ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『ノンストップ』公式サイト

【総評:☆4.5】

ストーリー:☆4.0

演出:☆4.6

俺の好み度:☆5.0

 

韓国人は最高!!!!!!

 

本作はまさにタイトルにふさわしく「ノンストップ」。

展開に次ぐ展開、緩急のアクションとコメディ、細かいことをねじ伏せる力業、まさにコメディアクションの王道のような映画。

キャラクターも全員魅力的で愛らしく、転がるように進んでいく話はストレス皆無で爽快。笑えて迫力があって楽しい、エンタメにこれ以上求めるものはありません。

細かいことを言い出したらあそこがよかったここがよかったとキリがないのですが、なんかもうやっぱ韓国人って天才しかいねえな~~!!つって劇場を後にしました。天才しかおらんな……。

 

 

『哀愁しんでれら』

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市役所に勤める小春は平凡な毎日を送っていたが、ある夜、不幸に見舞われ全てを失ってしまう。人生を諦めかけた彼女の前に、8歳の娘を男手ひとつで育てる開業医・大悟が現れる。優しく裕福で王子様のような大悟に惹かれた小春は、彼のプロポーズを受け入れ、不幸のどん底から一気に幸せの絶頂へと駆け上がるが……。

 (哀愁しんでれら : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画「哀愁しんでれら」公式サイト 2021年2/5公開

【総評:☆4.3】

ストーリー:☆4.0

演出:☆4.5

俺の好み度:☆4.5

 

賭けに勝ちました!!!!!!

 

邦画のこういうのってかなり当たり外れがわかれるというか……平たく言ってしまえばぶっちゃけ9割は外れがちなのですが、今回は完全に賭けに勝ちました。

「めでたしめでたし、を迎えたシンデレラのその後」の話なのですが、良い意味で演出が寓話じみている。一歩間違えたら「ここ日本だよ……リアリティないなあ」と言われかねない演出の連続なのですが(家のセットもそうだし、秘密の内容も、些細な演出もなにもかも)、それを稚拙さゆえのリアリティのなさではなく「寓話じみた演出」として表していて、それはやはりひとえに監督の力量ではないかと。

生々しいリアルな生活と、おとぎ話のような煌びやかな生活。そしてその煌びやかさにしみこんでいる寓話じみた悪意。そのギャップをうまく描きながら、土屋太鳳の狂気じみた演技と相まって非常に不快でじめじめしたおとぎ話をこちらに提供してくる。

 

そしてこれは本編にはあまり関係ない疑問なのですが、邦画ってなんで殺戮やえぐいシーンで第九的なクラシックもしくは子供の合唱を流しがちなんでしょうか。B級スラッシャーにシンセサイザーBGMが流れるのと同確率くらいある。エヴァンゲリオンの影響?

 

 

あとなんか色々↓

 

『来る』……心霊バトル日本映画。解像度が高すぎるイヤ~~な親戚の集まりから始まり、全てがめちゃくちゃイヤ!!!日本中から集結する能力者たちは本当にかっこいい、神道と仏教どころか地域も国も超えてごちゃまぜで始まる儀式に脳汁ドパドパ。最高のエンタメ。

 

『エイリアン コヴェナント』……アメリカ映画。リドリー・スコット監督が自身の傑作SF「エイリアン」の前日譚を描いた「プロメテウス」の続編。らしい。

エイリアンシリーズは一通り見たのですがぶっちゃけエイリアンvsプレデターの印象が強すぎてよく覚えていない。なので本作はなんのこっちゃだったのですが(いわゆるモンスター映画ではなくシリーズにおける謎を追究する内容なので)、映像は綺麗でした。脚本については言いたいことがないと言ったらウソになりますが、その壮大なスケールと哲学はやはり圧巻。と思う。モンスターを期待する人間には拍子抜けかもしれませんが、再度シリーズを見直してから再挑戦したいですネッ。

 

2月、駆け足で終わりましたね。3月も生存できたらしたいです。

2021年!1月!映画!まとめ!

寒波やべ~~~ですが皆様生きていらっしゃいますか?私は体の冷え方的にたぶん9割くらい死んでいます。そして新年あけましておめでとうございます。私は身内の喪中のためおめでとうございますも初詣もお雑煮も今年は縁遠いのですが、まあなんか、おせちの代わりにカニ食って生きてます。

2020年最後の思い出は、近しい血縁関係のおぢさんが50手前にして初めて結婚するらしいというニュースでした。ハピハピかと思いきや、その相手がビザ切れかけの中国人女性で、会って2回目にあちらからプロポーズされたらしく、私の実家の土地とか不動産とか根こそぎ持ってかれたらウケるな~と思っています。いやウケないですけどウケますよね。1月に入ってからはその15倍くらい治安の悪いことが起きたのですがインターネットに書いたら身バレしてしまうので書けないのが悲しいです。

そんなこんなで日記的なものはnoteのほうにて書いていますので良ければ見てネと書こうかと思いましたが、毒にも薬にもならない生産性皆無の内容なので、そんなに積極的に言うほどでもないかなと思いました。BUN太|note

 

ちなみに最近ファイヤースティックを買ったのでQOL爆上がり中です。電気代は上がると予想されています。

 

※今回も前月と前々月に引き続き、映画玄人どころか映画通ですらないちょっとだけ映画が好きなだけのトーシローでありながら視覚的わかりやすさを優先し☆をつけていますが、やさしくしてください。マジでド素人が匿名インターネットで偉そうに☆をつけるのはウエ~~となるので苦手っちゃ苦手なのですが、視覚的わかりやすさを、ね。(何回でも予防線を張らせてください)。

☆の基準はそのときのテンションに左右される上に自分はジャンル映画好きのため非常に曖昧ジャッジですが、たぶん食べログよりはフェアです。

 

 ◆ ◆ ◆

『新感染半島 ファイナル・ステージ』

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新感染半島 ファイナル・ステージ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『新 感染半島 ファイナル・ステージ』公式サイト

韓国で大ヒットを記録し、日本でも話題を呼んだゾンビパニックアクション「新感染 ファイナル・エクスプレス」の4年後を描く続編。「MASTER マスター」「ゴールデンスランバー」などで知られる人気俳優カン・ドンウォンを主演に、前作から引き続きヨン・サンホ監督がメガホンをとった。人間を凶暴化させる謎のウイルスが半島を襲ってから4年後。香港に逃げ延びていた元軍人のジョンソクが、ある任務遂行のために半島に戻ってきた。その任務とは、限られた時間内に大金が積まれたトラックをチームで回収し、半島を脱出することだった。トラックを回収し、任務は順調かに思われたが、民兵集団によりジュンソクたちはトラックを奪われてしまう。そんなジュンソクを窮地から救ったのはミンジョン母娘だった。2020年・第73回カンヌ国際映画祭新型コロナウイルスの影響で通常開催を見送り)のオフィシャルセレクション「カンヌレーベル」作品。

【総評:☆3.6】

ストーリー:☆2.5

キャラクター:☆4.5

音楽:☆3

映像(演出):☆5

リピート:☆3

(全力バカアクションは健康にいいよね!度:☆5555)

 

考えるな!感じろ!!暴力が正義!!!

韓国版マッドマックス~ワイルドスピードを添えて~

 

新感染 ファイナル・エクスプレス』の続編の本作。なんといっても前作がゾンビ映画として非常に完成度が高い。「電車という密室の中からのエスケープ→開放空間→恐怖→再度密室へ」というホラーとしての文脈も抑えつつ、クサくない程度の人間ドラマと葛藤があり、なにも武器を持たない状態から知恵と工夫で立ち向かっていく様がまさに等身大のゾンビ映画

そんな映画の続編なのでどうなるかと思いきや、前作の脚本と人間ドラマはかなぐり捨てて「見ろ!!!!!!暴力!!!!!!!」という映画。

前評判通り、確かにゾンビ映画として見たとき、評価が高かった前作との比較は避けられないものであるし、比較されたときにどうしても劣る印象を与える。それは脚本の粗をつつけばキリがない点や、人間ドラマの薄さ、いまいち理解しにくい登場人物の行動と脚本展開などに所以するものであるが、しかし、しかし!

先進的な韓国市街地が廃墟と化し、治安はほぼマッドマックス。人間性は最悪。倫理観ゼロ。そこで繰り広げられる壮絶で金のかかったカーアクションと容赦のない暴力。

韓国産のカーアクションでゾンビの山をなぎ倒していくもう暴力満腹みたいな絵面が観られただけで私は満足です。本当に。

倫理観は死にすぎて本当にマッドマックスの世界観だし世紀末のカイジみたいな極悪遊戯に人間が興じていますが、『バイオハザード』の3あたりでもそんな感じだったので、たぶん人間はゾンビが世界に溢れると恐怖遺伝子がロシア人くらいになっちゃうんだな。

 

前作のようなまっすぐなゾンビ映画としてのクオリティを求めているなら本作は期待外れかもしれませんが、倫理観ゼロの暴力が支配した世紀末(トラウマを抱えたカンドンウォンもいる!やったね!)が見たい人にはぴったりの映画。

個人的には、脳筋暴力馬鹿みたいなキャラも悪知恵が働いて頭が切れるし、頭が切れて比較的話が通じそうなキャラも気が狂ってるし、最悪な人間しかいなくてここで生きるのは絶対に嫌でしたね。

まあ本当に脚本としては「ええ……ちゃんと推敲した……?」という気持ちに何度かさせられるはさせられるのですが、圧倒的暴力で全てが解決するのでモーマンタイです。ぴ!

 

そしてこれは余談ですが、韓国パニック映画の良いところは、日本疑似体験として没入できるところかと。どうしてもアメリカやヨーロッパの街並みは日本とは違うので、どんなにそこで悲惨なことが起きても、「遠い異世界の出来事」になる。しかし、韓国旅行した日本人がよく「韓国って頭打って文字だけ読めなくなった日本みたい」と言うくらい街並みがすごく日本に近いので、欧米のパニック映画よりもすごく身近にかんじて没入できるような気がします。隣国なのでね。

 

 

『神と共に 第一章 罪と罰

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神と共に 第一章 罪と罰 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『神と共に』公式サイト

韓国の人気ウェブコミックを実写映画化し、世界的ヒットを記録したファンタジーアクション2部作の第1章。人間は死ぬと49日間に7つの地獄の裁判を受けなければならず、すべてを無罪で通った者だけが現世に生まれ変わることができる。ある日、死を迎えた消防士ジャホンの前に、冥界からの使者で地獄の裁判の弁護と護衛を務めるヘウォンメクとドクチュン、カンニムが現れる。生前の善行が認められ、19年ぶりの貴人として転生を確実視されるジャホンだったが、裁判が進むにつれて地獄鬼や怨霊が出現し、冥界が揺らぎはじめる。冥界の使者カンニムを「お嬢さん」のハ・ジョンウ、ヘウォンメクを「アシュラ」のチュ・ジフンが演じるほか、共演にも「猟奇的な彼女」のチャ・テヒョン、「新しき世界」のイ・ジョンジェら豪華キャストが集結。「ミスターGO!」のキム・ヨンファ監督がメガホンを取る。

【総評:☆4.1】

ストーリー:☆3

キャラクター:☆5

音楽:☆3

映像:☆5

リピート:☆4.5

(健康にいい度:☆5)

これが「映像エンタメ」の教科書。

 

公開は少し前なのですが、新年開催の「お正月だよ!韓国映画まつり」にて鑑賞。

 

私は基本的に他人をアンチしない気質であり尚且つ何かを上げて何かを下げるということはナンセンスだろという考えを持っていながら福田雄一アンチという業を抱えていて、マジでせめて銀魂聖おにいさんだけでも返してくれんかな………………キャストが豪華なのもそんなキャストに変なことさせるのもお前が面白いのももう分かったからおふざけが許容されるコメディTVだけ撮ってくれんかな…………お互い違う世界で生きられんかな…………と思っています。ここまで本作に1ミリも関係ない福田雄一の話をしてしまいましたが(でも『窮鼠はチーズの夢を見る』映画版への呪詛のほうがまだ強いです)、福田雄一作品を好きな人はごめんなさい。呪詛失礼しました。

 

というわけで本作ですが、本当に「映像エンタメの教科書」のような作品。友達にあんなに勧められながらなぜなかなか観なかったんだろう?????と自分に疑問を呈するくらい面白かった。

もちろん「面白い」の尺度は人それぞれなので一概には言えませんが、私が本作を「映像エンタメの教科書」と呼んだのは、(原作が漫画ということもあり)ついつい熱くなってしまうような世界観とキャラクターデザイン、そして映像であることを生かした視覚効果と激しいアクション、CG。脚本も「ん?」と思うところを言い出したらキリがありませんが、それを「粗」と認識させずに圧倒的エンタメ力(エンタメ・パワー)で乗り切ってしまうほどの勢いドキドキして、ハラハラして、謎を解いて、笑って、泣いて、最後にやっぱり笑う。そういう「大衆のエンタメ」の良さのようなものを力強く感じました。この映像作品としての圧倒的強さを前にして、些細な脚本の零れを指摘するのはナンセンスじゃないかとすら思わされる。

そして前述したキャラクターデザインですが…………あの…………これだめじゃないですか?チュ・ジフンとハ・ジョンウにノーカラーロングコート二刀流(やたら高い所に立って風にコートなびかせる)はだめじゃないですか?だめですよ。絶対だめだろ。““オタク””をものすごい勢いでぶつけてこないでほしい。

米津玄師の歌を聴いたとき「……カーッ!こんな歌詞オタクにしか書けねえよ……」って言ってしまうのですが(気色悪いね)、韓国映画を観ていると同じ状態になります。高速で“オタク”をぶつけてこないでほしい。

 

で、の話。実際問題、私はこれをシンプルに「最高」と感じましたが、韓国の原作ファンからしたら私にとっての福田雄一作品のように感じてる人もいるのかもしれないな……とぼんやり考えました。つまり実写化は難しい。オタクは古今東西めんどくせぇので。実写化は難しいのなら、本作のように、せめて「映画表現としての凄み」をとことん追求してほしいなと思いました。雄一、頑張れよ!吉沢亮沖田総悟にしたのは偉かったぞ!

 

 

『神と共に 第二章 因と縁』

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神と共に 第二章 因と縁 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『神と共に』公式サイト

韓国の人気ウェブコミックを実写映画化し、世界的ヒットを記録したファンタジーアクション2部作の第2章。1000年間で48人の死者を転生させた冥界の使者ヘウォンメクとドクチュン、カンニムは、あと1人を転生させれば自分たちも新しい生を得ることができる。カンニムは怨霊だったジャホンの弟スホンを、最後の裁判を受ける貴人に決める。本来なら怨霊は消滅させなければならないが、閻魔大王はある条件と引き換えにカンニムの提案を受け入れる。その条件は、ソンジュ神に守られて冥界からの使者をことごとく追い払ってしまう老人チュンサムを冥界に連れてくること。下界に降りた彼らは、ソンジュ神から驚くべき真実を知らされる。カンニムを「お嬢さん」のハ・ジョンウ、ヘウォンメクを「アシュラ」のチュ・ジフンが演じる。共演に「新感染 ファイナル・エクスプレス」のマ・ドンソク、「新しき世界」のイ・ジョンジェ。「ミスターGO!」のキム・ヨンファ監督がメガホンを取る。

【総評:☆4.2】

ストーリー:☆3

キャラクター:☆5

音楽:☆3

映像:☆5

リピート:☆5

(でも気の持ちようによっては☆100です)

 

突然「※前世捏造注意」「※パロディ注意」をするなーーーッッ

 

同じく、公開は少し前なのですが、「お正月だよ!韓国映画まつり」にて鑑賞。

1章と立て続けに観たのですが、マジで突然「エ、pixiv?」と思ってしまう展開が始まって驚きました。でも“我々”の望むものがそこに提供されたので何も言うことはありません。ドクチュンは可愛い。

もう何を感想として述べるべきか分かりませんが、前作に引き続き「映像エンタメの教科書」みたいな映像がずっと続くし、『ジュラシックパーク(ワールド)』のパロディもふんだんに観られるし、砂のシーンは『ハムナプトラ』の系譜を感じるし、本当に古今東西エンタメ欲張りハッピーセットだった。

脚本展開だけを言うならまあ読めていたことではあったのですが、コンテンツとして最高なので文句のつけようがありません。ハ・ジョンウは一生妻か娘に先立たれた系の心にぐちゃぐちゃしたものを抱えている哀愁おじさんをしていてほしい。

韓国映画ってお金あるなあ~~~と10回くらい言ってしまいましたね。『神と共に』、一生“コンテンツ”でいてほしい。日本より愛を込めて。LOVE

 

 

『Swallow スワロウ』

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Swallow スワロウ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『Swallow/スワロウ』公式サイト|2021年1月1日公開

ガール・オン・ザ・トレイン」「ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌」のヘイリー・ベネットが異物を飲み込むことで自分を取り戻していく主婦を演じるスリラー。ニューヨーク郊外の邸宅で、誰もがうらやむような暮らしを手に入れたハンター。しかし、まともに話を聞いてくれない夫や、彼女を蔑ろにする義父母の存在など、彼女を取り巻く日常は孤独で息苦しいものだった。そんな中、ハンターの妊娠が発覚し、夫と義父母は待望の第一子に歓喜の声をあげるが、ハンターの孤独はこれまで以上に深くなっていった。ある日、ふとしたことからガラス玉を飲み込みたいという衝動にかられたハンターは、ガラス玉を口に入れて飲み込んでしまう。そこでハンターが痛みとともに感じたのは、得も言われぬ充足感と快楽だった。異物を飲み込むことに多幸感を抱くようになったハンターは、さらなる危険なものを飲み込みたい欲望にかられていく。

【総評:☆4.4】  

ストーリー:☆4.5

キャラクター:☆4

音楽:☆4.5

映像:☆5

リピート:☆4

 

結婚生活に感じる息苦しさから異食症に目覚めた女性の生き直しの物語

 

ベタベタな昼ドラとは違う、義両親とモラハラ夫からの物凄くリアルな「息苦しさ」が隅々まで浸透して生々しく描かれていて、こちらまで気分が悪くなる。そしてその息苦しさから主人公は異食症に目覚めていくが、それは一朝一夕の問題ではなく、彼女の出生にまでトラウマは及んでいく。

自分の生そのものに十字架を抱える女性が必死に生き直しをはかる話なのですが、頼れるものもなく、自分の足で立つことすらままならない「弱い女」の、弱さと向き合って自分の足で立って生きていく様がとても勇気づけられる。

途中で夫の同僚とハグをする場面があって、従来のラブロマンス映画などであればそこでその同僚と不倫関係になったりならなかったりして彼の言葉を契機に主人公が変わっていく……という展開がベタだと思うのですが、そんな展開が一切ない。特別なことはなにもない。ただ主人公が変わるのは自分で決断したときのみ。

終始一貫して彼女の言動が非常にリアルで、気分のいいときと悪いときの上下がものすごく身に覚えのあるそれで、重いテーマながら美しい映像でそれは紡がれていき、ラストは非常に爽快。いつだって人は生き直すことができる。生まれながらの罪だとか原罪なんてものはなくて、今自分が何をするか。自分が軽やかに生きてゆける選択をできるかどうか。呪いからはさっさと一目散に逃げた方がいい。そんなことを感じる映画。

 

この映画には終始「トイレ」がキーポイントとして出てくるのですが(エンドロールも公共トイレで様々な女性が用を足したり化粧直しをしたりするのをずっと定点カメラで映しているもの)、それもやはり「食」と「排泄」に関係しているからではないかと。「食」と「排泄」は生きていくうえで不可欠なもので、どれだけ高尚な人でもお金持ちでも美人でも絶対に繰り返し行っている生命維持。「食べる」と「出す」は正反対でありながら直結していて循環している。彼女にとって「異食症」は、「食」という日々の生命維持の中で「平凡な自分だけどこんなチャレンジをした」という自信につながるものであり、そして排泄した異物はその証拠。「食べる」と「排泄」、「生きる」と「死ぬ」、そのことは常に回っていて、その逃れられない循環の中でどう自分が生きてゆくのかをトイレという定点を通して描かれた作品なのではないかと感じました。

とてもうつくしい作品だと思います。がんばりたいね。

 

 

『ザ・バニシング 消失』

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ザ・バニシング 消失 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『ザ・バニシング -消失-』オフィシャルサイト

ある日突然消えた恋人を捜す執念と亡霊にとり憑かれたかのような男が、次第に精神的に追い詰められていく姿を描いたサイコサスペンス。1988年に製作され、93年には監督のジョルジュ・シュルイツァー自身のメガホンにより、「失踪 妄想は究極の凶器」(ジェフ・ブリッジスキーファー・サザーランドサンドラ・ブロック出演)としてハリウッドリメイクもされている。日本では長らく劇場未公開だったが、2019年4月に劇場公開が実現。オランダからフランスへ車で小旅行に出がけたレックスとサスキアだったが、立ち寄ったドライブインで、サスキアがこつ然と姿を消してしまう。レックスは必死に彼女を捜すが手がかりは得られず、3年の月日が流れる。それでもなお捜索を続けていたレックスのもとへ、犯人らしき人物からの手紙が何通も届き始める。

【総評:☆4.1】

ストーリー:☆5

キャラクター:☆4

音楽:☆3

映像:☆4

リピート:☆4.5 

 

「真実を知りたい」という好奇心は君をも殺すとな~

 

さらに同じく、公開は少し前(製作はかなり前)なのですが、「シリアルキラー映画祭」にて鑑賞。 

長らく日本劇場公開はされていなかったもののサスペンススリラー映画として名高い本作。一言でいうなれば「好奇心は猫をも殺す」とはこのこと。

その思考を全く理解できないわけではない、全てがトチ狂っているわけでもない、一般的に社会生活を送り人間関係も築いている殺人鬼の妙に人間味の溢れた「計画」が実行される段階が淡々と映し出されるのですが、そこに主人公の悲痛な精神状態も相まって、きりきりと締め付けられるような不気味な安穏さが画面を支配しています。そして物語が進むにつれ、観客は主人公と同じように、犯人を憎むよりも、観客としてメタ的に映画を楽しむよりも、「彼女の行方が知りたい」という気持ちが先行していきます。

そこへ没入していく空気感が非常に秀逸で、観客は主人公と一体化し、追体験のように「彼女の行方」を嫌でも想像するようになる。

そしてすべての真実が明らかになったとき、私たち観客も主人公と同じ恐怖と絶望を知る。そのギミックがシンプルでありながら映像として卓越しているように思いました。

結末自体が物凄く異色というわけではないながら、一世一代のどんでん返しを食らったかのような気持ちになる。すご~~くイヤな映画なのに妙に後味すっきり。好奇心に殺された猫は主人公であり私たちなんですね~~~

 

 

『ヘンリー』

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ヘンリー : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

1970~80年代に全米で300人以上を殺害したといわれる伝説の殺人鬼で、「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクターのモデルにもなったといわれるヘンリー・リー・ルーカスの日常を、冷徹な筆致で描いた犯罪スリラー。14歳の時、虐待を繰り返す母親を殺害したヘンリーは、相棒のオーティスとその妹ベッキーとの奇妙な共同生活を始める。しかし、ヘンリーは次第に本能的ともいえる殺人衝動が抑えられなくなっていく。一方ヘンリーに惹かれるベッキーの様子にオーティスは嫉妬し、そのことから3人の共同生活は思わぬ惨劇へと発展していく。86年に製作されたものの、アメリカでも90年に公開されるまでお蔵入りなっていたいわくつきの一作。日本では92年に初公開。2019年4月、オランダの伝説的スリラー「ザ・バニシング 消失」の劇場公開にあわせて特別上映。

【総評:☆3.9】

ストーリー:☆3.5

キャラクター:☆5

音楽:☆3.5

映像:☆3.5

リピート:☆4

 

さらにさらに同じく、公開はかなり前(製作はめちゃくちゃ前)(公開時にすら生まれてない)なのですが、「シリアルキラー映画祭」にて鑑賞。 

みんなはやっぱりチカチーロ?アルバート・フィッシュ?ジェフリー・ダーマー?あえて古典のジャックザリッパー?ジョン・ゲイシー?いややっぱエド・ゲイン……?とはいえヘンリーでしょ!!というわけで超がつくほど有名な連続殺人鬼ヘンリー・リー・ルーカスをモデルにしたドキュメント調の本作

ヘンリーは一見すれば少し暴力的でキレたら手はつけられないものの、好きな女の前ではむしろ紳士的。勝ち組ではないものの細々と生活をして人並に生きていて、話だって通じる。そんなおおまかに分けたら「まとも」な男がなぜ息をするように300人以上を殺害したのか。その思想や哲学が語られることはありませんが、彼の生活の映像を通して、いかに彼にとって殺人が日常であったのか、それが彼にとっていかに「異常ではない」のかを淡々と描いており、この手の映画にしては珍しく殺人描写も控えめで、ただ彼という人間としての側面に焦点を当てて描かれています。

どうしてもこの手の映画はゴア描写に力を入れるか、あるいは殺人哲学を語るイカれた美しい映画になるか、そういう選択になりがちですが、本作はどちらでもない。

完全なるフィクションとして哲学が語られたりゴアが合ったりするわけでもなければ、映像としての洗練を全て捨てて『アングスト/不安』のように生々しくて噎せ返るような映像を淡々と流すわけでもない。

本作も映画として物凄く洗練されているかと言われたら微妙なのですが、殺人鬼の正常と異常をいったりきたりする平凡な生活が絶妙なバランスで描かれた、実在した殺人鬼マニアなら要チェックの作品でした。

私はヘンリーについてはwikiくらいしか知らないのですが、より深く知っていればさらに多角的に鑑賞できそう。作品の最後でヘンリーは同居していて好きだった女を殺すのですが(実際に起きた事件であるのでネタバレではないとみなして書いちゃいます)、以後彼は一生そのことを後悔するということを知って見ると、なんとも言えない気持ちになる。

 

ネトフリかどこかに、ヘンリーが虚言癖であったことを踏まえ実は殺人鬼ではないのではないかということを検証するドキュメンタリーもあったはずなので、それも観てみたいです。

人はどうして殺人鬼に惹かれちゃうんですかね。やっぱり人間は「狂気」が好きなのだと思う。インターネットと一番相性がいいのも「狂気」だし。

そんな「狂気」に触れたり触れなかったりする映画でした。

 

 

ヒッチャー

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( ヒッチャー(1986) : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

ブレードランナー」のルトガー・ハウアーが謎の殺人ヒッチハイカーを怪演し大ヒットを記録したサスペンススリラー。陸送の仕事をするジム・ハルジーは、シカゴからサンディエゴへと向かう砂漠地帯で、1人のヒッチハイカーを拾う。その男ジョン・ライダーは、ハンドルを握るジムの喉元にナイフを突きつける。一瞬の隙を見てライダーを車から突き落としたものの、その後も彼は執拗にジムを付け狙う。警察やウェイトレスのナッシュも巻き込み、事態は最悪の方向へと転がっていく。主人公ジム役に「アウトサイダー」のC・トーマス・ハウエル。「ボディ・ターゲット」のロバート・ハーモン監督がメガホンをとった。

【総評:☆4.2】

ストーリー:☆4

キャラクター:☆5

音楽:☆3.5

映像:☆4

リピート:☆4.5

 

バケモンに魅入られたら最後。

 

86年公開『ヒッチャー』のHDニューマスター版としてリバイバル上映された本作。「ヒッチハイカーまじコエ―!!!!!」というイメージを作り上げた映画だと聞いて観に行ったのですが、てっきりずっと車内で話が進んでいく『地獄のドライブ 90分――。』的な話かと思いきや、予想以上に神出鬼没で執念深い殺人鬼に主人公が地球のはてまで追いかけられて執拗に迫られる粘着ストーカーのパワープレイ映画。平気で爆発とかするしヘリ墜落とかする。

私は本作を「ははーん、ファイトクラブ的なやつね? 連続殺人鬼は本当は主人公なんだけど二重人格で、殺人をする別人格が主人公の目にはこの殺人鬼という他人として映っているやつね? いつネタバラシするのかしら?」と開始10分あたりから思って観ていたのですが(だって殺人鬼が意味深な発言ばっかするんだもん)、全然そんなことはありませんでした。

そんな穿った見方をしてしまうくらい神出鬼没で蛇のように執念深い男がなんの落ち度もないがとにかく気に入ってしまった主人公を追いかけまわしている。その脚本の粗をつつこうと思えばいくらでもできるのですが、それを有り余るほどの殺人鬼の不気味さと主人公へのよく分からない感情がカバーしている。

事件の数のわりに死体や殺人描写も殆ど出てこないため、とにかく殺人鬼の一切人間味のない不気味さに全振りしています。そしてその人間味のない不気味で奇妙な殺人鬼の唯一の人間っぽさが「主人公に殺されたい」という感情。そのねじ曲がった状態が観客を空虚感の支配するラストへと駆け抜けるように誘って行きます。その行く宛があったはずなのに見失ってしまい、ただ一本道を空虚なエンディングへとひた走るような感覚は、まさに本作のドライブというテーマそのもの。そこにヒッチハイクしてきた殺人鬼のせいで道はエンディングにひた走るのです。ゴールは当初と同じかはもう分からないけれど。

そんなこんなでイケてるTシャツも買いました。

 

 

『ズーム 見えない参加者』

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2020年、新型コロナウイルスパンデミックによる外出自粛などで世界的に一気に広まったWEB会議ツール「Zoom(ズーム)」を題材にした新感覚ホラー。ロックダウンされたイギリスを舞台に、Zoomを介して死者と交信を行う「Zoom交霊会」をはじめた男女6人が、次々と不可解な現象に見舞われる姿を描いた。新型コロナウイルスパンデミックのためにロックダウン中のイギリスに暮らすヘイリーらは、仲間たちと週に一度はZoomで顔を合わせていた。ある時、ヘイリーが霊媒師をゲストに招き、みんなで「Zoom交霊会」をしようと提案する。仲間たちも賛同し、いつもの飲み会のノリで和気あいあいと交霊の儀式が始められるが、そのうちそれぞれの部屋で異変が起こりはじめる。ヘイリーらは恐怖から逃れようにもロックダウンのため屋外へ逃げ出すことができず……。

 (ズーム 見えない参加者 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『ズーム/見えない参加者』公式サイト

【総評:☆3.4】

ストーリー:☆3

キャラクター:☆3

音楽:☆3.5

映像:☆4

リピート:☆3.5

 

思ってたよりは悪くないし時事ホラーでこれなら十分!時代はリモートワークではなくリモート降霊術だ!! 

というわけで本作は「リモートで降霊術をやったらとんでもないことになる」というコロナ禍における新感覚ホラーっちゅうわけで、全編通して画面上のみで話が進むのですが(このやり方自体はすでにいくつか作品が出ていますが)、これが結構いい。さながら定点カメラのようにずっと同じ画角なので本人たちの気付いてない「あ、なんかいる……?」がある。

ジャンプスケアもさほどなく、前半は「いるの?いないの?」調のほどよいホラー描写が続き、そこから一転、後半戦は強化版パラノーマルアクティビティのような殺意マックスのアッパー系悪霊の物理攻撃が始まる。これはもはや笑ってしまう。そこまで殺意抱かなくてもよくない!!??後半は完全にさながらジェイソンに目をつけられたキャンプ大学生のごとく逃げ惑い殺戮をされるばかり。

とはいえ特別料金1000円、本編の長さはちょうど1時間と、ほどよいスナック感。これを2時間だとしんどかったですが、1時間ゆえ間延びせず適度に楽しめる作品になってました。評価はそんなに良くないようだけど、料金と上映時間のことを加味して考えると、時事ホラーでこの出来は十分楽しめるものじゃないかな。

みんなも交霊会をするときは幽霊に敬意を払おうな!まあよく考えたら「一方的に他人を呼びつけといて小馬鹿にした態度をとる」って人間関係としてあり得ないので、そりゃ幽霊も怒りますわいな。

 

 

『さんかく窓の外側は夜』

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ヤマシタトモコの同名コミックを岡田将生と志尊淳のダブル主演で実写映画化し、「霊が視える男」と「霊を祓える男」の心霊探偵バディの活躍を描いたミステリー。書店で働く三角康介は、幼い頃から幽霊が視える特異体質に悩まされていた。ある日、康介は書店にやって来た除霊師・冷川理人に勧誘され、一緒に除霊の仕事をすることに。刑事・半澤から1年前に起きた連続殺人事件の調査を依頼された2人は、やがて遺体を発見するが、その遺体には呪いがかけられていた。真相を探るうち、彼らは自殺した殺人犯の声を度々聴くようになり……。

 (さんかく窓の外側は夜 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『さんかく窓の外側は夜』公式サイト

【総評:☆4.1】

ストーリー:☆3.5

キャラクター:☆5

音楽:☆3

映像:☆4

リピート:☆5

(胡散臭いカルト宗教とキモい男が観られて嬉しい!度:☆555)

 

メチャクチャ想像以上に胡散臭いカルト宗教と、胡散臭くてスカしてて相方にキモい執着をしているイケメンが見れたので完全に勝利をしてしまった本作。

男と男の巨大感情は鬱病に効くので完全に元気になってしまいました。

 

私は一応原作は途中まで読んだことがある身なのですが、原作に忠実かと問われたら微妙。キャラクターの外見は似ていないし、性格もどことなく違う。これは原作ファンからしたらケッとなっても仕方ないポイントで、「原作をもとに二次創作をした」ような感覚。それを受け入れられないファンも多くいると思うのでそこに対する批判は必ず発生するものだと思います。ただわたし個人としてはこのキャストの演じるキャラクターたちも魅力的でかなり良いと思ってます。

連載作品を映画にしたため展開は駆け足。前提となる設定を知っていなければ序盤の展開は戸惑うかもしれない。内容としては可も無く不可も無くなのですが、私は『事故物件 恐い間取り』『犬鳴村』あたりのトンチキを覚悟して観に行ったので、「結構いいじゃん」と思いました。風呂敷は広げすぎずコンパクトにまとめていて、名作!というわけではないけど無為なストレスもない。

幽霊描写が若干安っぽいという不満はありますが、ずっと真夜中でいいのにの主題歌、OP、廃墟映像、邦画メジャーシーンR12にしては結構頑張っていた死体描写、等々は満足いくものでした。結構頑張っていた映画な気がする。

さらにそこにオタク文脈のカルト宗教スプラッタと男男巨大感情が入ってきたので満足です。マジで一生鍵アカでこの映画の話をしてしまう。本当に岡田将生演じる冷川の執着や言動がたまらなく気持ち悪くてたまらなく好きです。

この映画、あと3回は観る。

 

KCIA 南山の部長たち』

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1979年に韓国の朴正煕大統領が中央情報部部長キム・ジェギュに暗殺された実話を基に映画化した実録サスペンス。金忠植(キム・チュンシク)によるノンフィクション「実録KCIA『南山と呼ばれた男たち』」を原作に、「インサイダーズ 内部者たち」のウ・ミンホ監督がメガホンをとった。1979年10月26日、大統領直属の諜報機関である中央情報部(通称KCIA)部長キム・ギュピョンが大統領を射殺した。事件発生の40日前、KCIA元部長パク・ヨンガクは亡命先であるアメリカの下院議会聴聞会で、韓国大統領の腐敗を告発した。激怒した大統領に事態の収拾を命じられたキム部長はアメリカへ渡り、かつての友人でもあるヨンガクに接触を図るが……。

KCIA 南山の部長たち : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

映画『KCIA 南山の部長たち』公式サイト|2021年1月22日公開)

 【総評:☆4.4】

ストーリー:☆4.5

キャラクター:☆4.6

音楽:☆4

映像:☆4.5

リピート:☆4.5

 

政治サスペンス映画の秀作

胸のうちの青年将校の葛藤。理想は腐敗し、若く青き革命は権力へ。大統領への忠誠は絶望へ。

前提として私は高校で日本史選択をして私立大学に進んだちゃらんぽらんのため、もとになった大統領暗殺事件については浅学です。よって一切の先入観がなく、それゆえキム部長に寄り添った構成であるこの映画をキム部長視点でずっとみていたのですが。その目線で見ると大統領も側近たちも「悪いやつ」で、キム部長や告発をした元部長は「比較的良いやつ」に見えます。キム部長によった構成をするうえでそこのジャッジの危うさを覚えたのか、あくまで「全員悪人」という台詞が何度か登場します。全員高潔でも下劣でもない、ただ人であると。ただ人であるゆえに妬み嫉みが生まれ、媚びへつらい、私腹をこやし、権力におもねる。そして誰かを信じ、信じたいと願い、絶望していく。その淀み蠢く人間臭さと現実がこれでもかと描かれ、観ているこちらまで胃がキリキリしてくる。

結局最後までキム部長の真意は私たちにも分からない。結局彼は「妬み嫉みで大統領を暗殺した殺人犯」として絞首刑に処され、しかし彼本人は「韓国の民主化のために行った」と主張。そのどちらが彼の真意なのか、あるいはどちらも違うのか。私たちには分かりませんが、彼が絞首刑に処されたことを踏まえると、「歴史は勝者が作る」のならば……こんなふうに彼に寄り添ったフィクションが作られて、映画を通して当時の韓国の置かれていた緊迫的状況(そしてそれは今にも続いていて)を考える契機にもなるのではないかと感じました。

つーわけで政治サスペンスが好きな人はもちろん、多くの人に見てもらって胃を痛めてもらいたい一作です。

 

◆ ◆ ◆

↓以下、全てではないですがサブスク等で見た印象深いものです。↓

 

『フューリーズ 復讐の女神』

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フューリーズ 復讐の女神 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

殺人ゲームに強制参加させられた女性たちの恐怖を描いたスラッシャーホラー。ある夜、ケイラは友人マディとともに何者かに拉致される。棺桶のような箱の中で目を覚ましたケイラは、森の中で朽ち果てた死体を発見。悲鳴を上げた彼女のもとに、同じようにこの森へ連れてこられた2人の女性が駆け寄ってくる。そこへマスク姿の殺人鬼が次々と現れ、女性たちを惨殺。そして女性が殺されると同時に、1人の殺人鬼の頭が爆発する。不可解なルールに翻弄されながらも、マディを探し出して一緒に脱出するべく奔走するケイラだったが……。

【総評:☆3.66】

ストーリー:☆3.8

キャラクター:☆4

音楽:☆3

映像:☆3.5

リピート:☆4

 

結構いい……結構よくない!!??

というのも、本作はよくわる「人間狩り」「殺人ゲーム」の映画。かなり出つくされたジャンルであり、その上前提としてB級ジャンルであり、暇なときにサクッと見れるスナック映画にはなれども、なかなか名作を生み出すのは難しい。その中で本作はゲームに「ひと捻り」を加えたことで心理戦要素と、観ている側への新しいワクワク感を与え、この手の映画では意欲作だと思います。ふつうに殺人ゲーム映画としても出来は良いです。ゴアも人体構造ガン無視でちょうど良いし、殺し方にそこそこバリエーションあり。狩る側(これにギミックがあるのですが……)の殺人マスクもバリエーションがありつつちゃんと全部キモくて非常に良い。

エンディングに関しては最近結構あるアレなのですが、そこを加味しても、全体的にまとまっていて意欲があり、思わぬ良作でした。これも未体験ゾーンだったんですね。

 

 

ミッドナイト・ランナー

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「ビューティーインサイド」のパク・ソジュンと「二十歳」のカン・ハヌルがダブル主演を務め、警察学校の学生が偶然出くわした事件の解決のため実践捜査に乗り出す姿をコミカルかつアクション満載に描いた。警察大学で学ぶ血気盛んな行動派のギジュンと論理的で原理原則を重視する頭脳派のヒヨルは親友同士。ある時、外出先で偶然、拉致事件の現場に遭遇した2人は、学校で教わったとおりにすぐに通報するが、手がかりの複雑さや証拠不足から捜査はなかなか進展しない。時間だけが過ぎていく中、ギジュンとヒヨルは自ら捜査に乗り出すのだが……。

 (ミッドナイト・ランナー : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

 ( 映画『ミッドナイト・ランナー』公式サイト

【総評:☆4】

ストーリー:☆4

キャラクター:☆4.5

音楽:☆3.5

映像:☆3.5

リピート:☆4.5

 

笑いあり、涙あり、青春あり、バトルあり。スナック感覚お得セット。

本作は日本でも最近ドラマ化されていましたが、個人的にはこちらの韓国版のほうがクドくなく綺麗にまとまっていて非常にテンポ良く見られるため好きですネ。

凸凹のような、似たもの同士のような、ルームメイトなのか親友なのか同僚なのかバディなのか、一概には言い表せない彼ら2人の青春に存在する絆と前向きさが眩しくて、正義感に駆られて見知らぬ少女のために夜通し駆ける2人を見ながら「青春っていいよなあ……」という気持ちにさせられるなど。

本当に特筆すべき目新しいものは無いのですが、真っすぐな2人を真っすぐに描いていて爽快感があり、冒頭にも書いたようにスナック感覚で楽しめる映画。実質ハッピーセットですね。

 

 

『ハイヒールの男』

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「グッドモーニング・プレジデント」「ガン&トークス」のチャン・ジン監督と「シークレット」「約束」の演技派俳優チャ・スンウォンがタッグを組み、女性になりたい願望を抱える敏腕刑事がたどる過酷な運命を描いたノワールアクション。並はずれた強さと暴力性で、警察内部ばかりか犯罪組織からも一目置かれる存在の刑事ジウク。容姿にも恵まれ、誰もが羨むほど完璧な男のジウクだったが、実は心の内に女になりたいという欲望を秘めていた。長年にわたってそのことを悩み続けてきたジウクは、ある出来事をきっかけに本当の自分と向きあうことを決意する。しかし、そんな矢先、ある事件に巻き込まれてしまい……。 

 (ハイヒールの男 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

【総評:☆3.4】

ストーリー:☆3

キャラクター:☆3.7

音楽:☆3.5

映像:☆3.8

リピート:☆3

 

 「男の中の男」な最強刑事ジウクをぎゅっと抱きしめたくなる本作。

一見ハードボイルドな見た目に「ハイヒール」というタイトルを見て、コメディかはたまた耽美系かと思っていたのですが、女になりたい刑事ジウクの半生を描きながらその繊細さと葛藤に触れる作品。

特筆する大きなギミックはないのですが、これは韓国らしくもあるというか、バッドエンドではないけれど胸にしこりの残るような、「でも生きていくってそういうことだよね」という気持ちにさせられるエンディング。

正気を保っているのに1人だけ殺人兵器級の戦いを見せるジウクは、正気であるがゆえにむしろ一層恐ろしいのですが、その恐ろしさと共存する彼(彼女)の繊細やさ所作のかわいさに胸がきゅんとなる。マジで戦闘シーンについては「ひとりだけ映画の毛色違わん??」みたいなド級の超人っぷりを披露するのですが、その戦い方の洗練と泥臭さの共存といい、なんとなく今まであまり見なかった類いの戦闘の描き方。結構このシーンだけでも元取れた気になる。妙にリアリティのない血しぶきも相まってちょっとB級ゴアっぽくなっているのも個人的には結構好きで、そこに彼の怪演が乗っかって妙なトリップ感すら生まれる。

ただ、ジウクがあのラストに向かうのであれば、そこにギャップを生み出すためにもっと彼の女性化への執着やニューハーフの人たちとの交流も描いても良かったと思う。現状の脚本では最後の演出がいまいち活かしきれておらず歯痒い感覚。そこも踏まえて、もうひと捻りあってほしかったですが、コンパクトにまとまった佳作でした。

 

 

アイアムアヒーロー

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花沢健吾のベストセラーコミックを、大泉洋主演で実写映画化したパニックホラー。冴えない漫画家アシスタントの主人公・鈴木英雄が、謎のウィルスによって「ZQN(ゾキュン)」と呼ばれるゾンビと化した人々に襲われ、逃亡の道中で出会った女子高生の比呂美と、元看護師の藪とともに不器用に戦いながらも、必死でサバイバルしていく姿を描く。主人公・英雄を演じる大泉と、歯のない赤ん坊ZQNにかまれ、人間に危害を加えない半ZQN状態になるヒロイン・比呂美役の有村架純、大胆な行動力でZQNに立ち向かう藪役の長澤まさみが共演。「GANTZ」「図書館戦争」シリーズを手がける佐藤信介監督がメガホンをとった。

 (アイアムアヒーロー : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

【総評:☆4】

ストーリー:☆4

キャラクター:☆4

音楽:☆3.5

映像:☆4.2

リピート:☆4

 

私は『アイアムアヒーロー』原作を読んだことがなく、この世に「お前んちアイアムアヒーロー全巻揃ってそうだな笑」という罵倒文句が存在することだけを知っているインターネットオタクです。

なのでまっさらな気持ちで本作を鑑賞したのですが、原作を読んでいる友達から僅かに聞いた情報で「キャラクター設定を聞くに結構めんどそうな脚本なのかな」と思っていたのですが実際そんなことはなく。レビューを読むにかなり映像化にあたり余分な部分を省いてすっきりと構成させていたようで、このメジャーシーンの邦画でここまでゴアができたのも凄いし、日本のゾンビ映画という風体で良かったですネ。

 

 

『#生きている』

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「ベテラン」「バーニング 劇場版」のユ・アインが主演を務め、デジタルネイティブ世代の若者がゾンビと対峙する姿を描いたNetflixオリジナルのサバイバルスリラー。ある日、韓国ソウル近郊で謎のウイルス感染が発生し、人々がゾンビ化して街を襲ってくる。電話も通じず、インターネットも通信不能な中、ゲームオタク青年のオ・ジュヌは、マンションの部屋に閉じこもり、テレビのニュースと窓から見える景色から情報を得て、生き残りをかけたサバイバル生活を始める。VR機器やドローン、SNSを使いこなすデジタルネイティブなオ・ジュヌだったが、やがて向かいのマンションに暮らす女性で、斧やロープなどのキャンプツールを駆使するアナログ派のキム・ユビンと協力し、絶望的な状況から抜け出そうとする。

( https://www.netflix.com/title/81240831

【総評:☆4.6】

ストーリー:☆4.8

キャラクター:☆4.5

音楽:☆4

映像:☆4.5

リピート:☆5

 

生き残れ!SNS時代のゾンビサバイバル映画

派手に戦うわけでも、一般人に見せかけて実は殺人兵器級の戦闘能力を持つわけでも、知恵が働くわけでもない。なんの能力も持たない一般人がゾンビに囲まれたマンションで籠城しながら困窮していき、しかしそこに「生きねば」という気持ちを見つける過程の描き方が丁寧。

大体ゾンビ映画って、コメディか、論理性ガン無視アクションか、人間が一番怖いんだよスリラーか、おおまかに3つに分類されると思うのですが、本作はそれぞれのエッセンスを持ちながらもどれかに傾倒するわけではなく、「ゾンビがあふれた世界で一般人がどうにか生き延びていく」という日常を時には苦しく時にはコミカルに、ていねいに描き出す。やはり人は人がいないと生きていけない、そういう気持ちになる。

「殆ど引きこもりでネット依存の若者がゾンビに囲まれたマンションに籠城して頑張る」という設定から想像されるコミカルさやばかばかしさとは裏腹に、そのシチュエーションを胃もたれしない程度に絶望的に描きつつも、そこに「生きていくとはどういうことか」「生きていくためには何が必要か」というメッセージ的希望を込めて、そしてこれを福音とし締めくくる。

ラストは希望的で、「私も生きていかないとな」という気持ちにさせられる。

特筆すべき目新しいギミックやシチュエーションがあるわけではないものの、きちんと構成され丁寧に作られた良作ゾンビ映画。観て損がなかった。みんな、生きようネッ

 

『ザ・リチュアル いけにえの儀式』

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スウェーデンの森の奥深くで想像を絶する恐怖に襲われた男たちを描いたイギリス製ホラー。パブで酒を酌み交わしながら、旅の行き先について話し合うルーク、ロバート、フィル、ハッチ、ドムら5人の友人たち。しかしその帰り道でルークとロバートが強盗に遭遇し、ロバートだけが殺されてしまう。事件から半年後、4人は最後の晩にロバートが行きたいと話していたスウェーデンへハイキングにやって来る。道中でトラブルに見舞われ森の奥深くへと迷い込んだ一行は、不気味な廃屋で一夜を明かすことになるが……。

( https://www.netflix.com/title/80217312

【総評:☆4.4】

ストーリー:☆4

キャラクター:☆4.5

音楽:☆3.5

映像:☆4.8

リピート:☆5

 

ネトフリオリジナル映画。

山、コエ~~~~!

トラウマを抱えた主人公を含む仲良し男友達で山行ったらなんかヤバい怪異がおったぞ!!という話で、途中途中に出てくる儀式のためのような謎の文字や道具の存在感といい、「人ならざる化け物がいるかもしれない恐怖」と「トチ狂った人間がいるかもしれない恐怖」の挟み撃ちで最悪。しかも山で遭難の恐怖も追加である。

不思議なことに、北欧の山って神々しく禍々しい感じがしますよね。北欧神話の影響なのか、その寒い土地柄に想起されるイメージゆえか。日本でも東京大阪や名古屋の山と言われてもふうん……ですが、東北や北海道の山と言われるとなんかが居そうな気がしてくる。本来生身の人間が生きてはゆけない土地に感じる「人智を越えた何かがいるかもしれない」畏怖というのはアニミズムにも通じるところですが、本作も恐怖なのか畏怖なのか分からないその「対象」が現れる。そしてこの「怪異」の見た目がカッコイイ。モンスターで元が取れる。絶対遭遇したくはありませんが。

かっちょええ怪異だけでも見て欲しい。 

 

『バード・ボックス』

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ゼロ・グラビティ」「オーシャンズ8」のサンドラ・ブロックが主演したNetflixオリジナルのSFサバイバルサスペンス。未曾有の異変に襲われ、人類の滅亡も迫る極限状態の中で、幼い命を守ろうとする主人公の決死の姿を描く。思いがけず子どもを身ごもったマロリーは、ある日突然訪れた世界の終焉と人類滅亡の危機に直面する。謎の異変が次々と起こる中、生き残るためにできることは、決して「それ」を見ないということだけ。幼い命を守るため、マロリーは目隠しをして逃避行に出る。

 (バード・ボックス : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

https://www.netflix.com/title/80196789

 【総評:☆4.2】

ストーリー:☆4.2

キャラクター:☆3.8

音楽:☆3.8

映像:☆4.5

リピート:☆4.5

 

結構いい!!!!

クワイエットプレイス』以降目立つ「〇〇したら即死」ジャンルですが、本作は無茶な設定をうまく描ききっていてかなり良い!!ド派手な展開はないものの、人間の描き方、脚本、演出、何をとっても想像以上の出来でした!!

ぶっちゃけ『ドントブリーズ』に比べると『クワイエットプレイス』は出来がま~~~じで酷かったので(ガバガバをガバガバで包んでいます)、本作はハードルが下がっていただけにかなり良い。

「見たら死ぬ」という視覚が奪われた状況で生き残るために全てを塗りつぶした車に乗り込みカーナビを頼りに運転するシーンに顕著でしたが、「見たら死ぬ」というめちゃくちゃ無茶な設定を上手に脚本に落とし込みながら「そこに見えない(見れない)何かがいる」というホラー文脈につなげていく技量が秀逸。

「〇〇したら即死」ジャンルはいくつか観ましたが、『ドント・ブリーズ』を除くと今のところ一番良かった作品です。

 

あとなんか色々↓

 

『ブラックフット』……カナダ映画。山にキャンプに来たカップルが無能彼氏の珍プレーの連続により熊に襲われる。

ブラックフット : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

彼氏が無能すぎてイライラするし彼女の言うこと聞いていたらこんなことにはならなかったのだが!!??熊につけ狙われているのにセックスしようとすんなよ!!え、熊の執念深さと陰湿さをご存じない!?三毛別と九州大ワンゲル部のwikiを読まんか~~~い!振り切った死体と山の絶望感はわりと良かった。

『彼らが本気で編むときは、』……邦画。トランスジェンダー生田斗真で有名な映画。主人公の少女が叔父とトランスジェンダーの恋人が同棲する家に世話になることになり、そこで交流を深めていく。

彼らが本気で編むときは、 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

生田斗真トランスジェンダー女性の演技が良い。少し前の映画だからなのか感性の違いなのかは分かりませんが、個人的には「ん?このセンシティブなテーマでこの表現?」と引っかかったり多少気になる点はありましたが、女として生まれ女として生きてきて男と恋愛をしてきた自分には到底想像の及ばない現実の一部が表出していて、そこに様々な人物の葛藤が合わさって非常にテーマとしては重くも暖かみのある作品に。総括して言えば良い映画なんだろうなと思ったけど、でも観ていて辛くなっちゃった。みんな自由に生きたいねえ、、、、

 

『The Witch 魔女』……韓国映画。ある特殊施設で育ったものの逃げ出して記憶を失い酪農家夫婦に育てられた少女が、テレビ番組出演をきっかけに謎の組織に追われることになるバイオレンスアクション。

The Witch 魔女 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

公開時期を逃していたのだがようやく鑑賞。韓国によくある前半陰湿シリアス/後半血まみれバイオレンスの構造を踏襲しており、また前半の牧歌的生活を送る少女の平凡で可愛らしい笑顔から一転し後半の表情がヤバい。アクションも泥臭くありながら演出はSF的で、超人的能力を持つ者たちの人間じゃねえアクションが見られる。内容としてはもうひと捻り欲しいけど、アクションが満足。主人公の友達がマジで憎めないいいヤツなのでこういう友達がほしい。

 

『誰も眠らない森』……ネトフリオリジナル映画。ポーランドのスラッシャーもの。SNSスマホ)依存症の子供たちが更生キャンプで山に入るが、そこでなんかヤバい殺人鬼に襲われる。

ストーリーや展開、演出は普通だが、『13日の金曜日』みたいなスリラー/スラッシャーが好きな人間としては十分満足できるもの。殺人鬼もそこそこキモく(ゲームのリトルナイトメアっぽさがある)、離れ業は使わずにそこそこしっかり殺人にいそしんでくれている。ジェイソンのようなゲーム性に富んだオモシロエンタメ殺人法はないが、結構頑張って殺している。とはいえ細かい粗をつっついたらキリがないが、まあそんなものはナンセンス。殺人鬼の仕組みがよく考えたら結構やるせない。可もなく不可もなく、気軽に観られるスラッシャー映画。

 

フレディVSジェイソン……アメリカ映画。言わずと知れたクロスオーバー。バケモンにはバケモンをぶつけんだよ。

 フレディVSジェイソン : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

特に感想はないが、しかしゴジラVSシリーズもそうですがどうしてこういう「かっこいいとかっこいいを合わせたら2倍かっこいい!う~んオレって天才!」な全力バカ映画に人間は惹かれてしまうのでしょうか。ゴジラKOMの監督が「ハリーポッターゴジラがいたら面白いし、スターウォーズゴジラがいたらやっぱり面白いし、ゴジラゴジラがいたら2倍面白い」という旨のオタクコメントを出していたことが記憶に新しいですが……まあ要するにそういうことで。個人的には言動と女の襲い方がキモいフレディより無口な大男ジェイソンのほうが好きですね。

 

◆ ◆ ◆

 

ということで冒頭にもウキウキ書いた通り現在QOL爆上がり中なのですが、結果的に映画ではなくドラマとYouTubeを見ています。『民王』見返しているのですが爆裂面白いですね。睡眠時間は減っていますが、元々睡眠の質激悪いので、短くなっても構わないかなという所存です。どのみち毎日気絶しているのでね。

で、今月は試しに細かく☆をつけてみましたが来月は分からないです。

1月の総括は「韓国人は天才」、以上です。私に権力さえあれば、加瀬亮にノーカラーロングコートを着てエクソシストしてもらったし、坂口健太郎には特別な力はないけれど歳の離れた妹を守るためにゾンビで溢れて封鎖された都市からの脱出を目指してもらったのに。

 

権力を手にするその日まで、映画を観ようと思います。