2020年6月に観た映画を振り返る
みんな10万円貰えた??
私は無職(ガチ)になったせいで保険証がなく、生来のめんどくさがりのせいで2週間を過ぎてしまい、6月下旬になってからようやくどうにかこうにか保険証を手に入れてハッピーハッピーです。保険証がない間は「死んでも大怪我はできねえ」と思って大変丁寧に生きていましたが、ようやくこれで大雑把な生活ができるようになり嬉しいですね。 ちなみに自粛で4キロ太りました。保険証を手に入れたのでようやく精神科に精神薬を貰いにいけますネ。
『CURED キュアード』
(映画『CURED キュアード』公式サイト 2020年9月2日(水) Blu-ray発売)
人間を凶暴化させる新種の病原体「メイズ・ウイルス」のパンデミックが巻き起こったアイルランド。6年後、治療法が発見されたことで社会は秩序を取り戻し、感染から治癒した人々が「回復者」として社会復帰する。回復者の青年セナンは、義姉アビーのもとに身を寄せるが、社会では回復者を恐れる人々が抗議デモを行い、理不尽な差別を繰り返していく。やがて、そんな状況に不満を抱いた回復者たちのグループが、社会への報復テロを計画する。
ゾンビ映画のエンドロールの「その先」を描く社会派ゾンビ映画。
劇場再開一発目に観た映画がこれで良かったなと思わされる秀作でした。
ラストにかけて賛否は分かれるだろうし、後味スッキリ!サイコー!!みたいな映画ではないけど、ゾンビ映画という外側があるものの中味は差別について考えさせられる社会派映画という感じなので、まあやっぱり好き嫌いは分かれるだろうけど……好きな人にはピッタリハマる面白い映画だと思います。
「ゾンビ映画としての社会派」でありながら、人間も回復者(元ゾンビの人間)もみんな凄く人間くさくて酷くて、だけど悪人とは決して言い難い、「人間の姿」というものを見せられた気がした。
私はもともとゾンビ映画を観るときに「これってこのエンドロールの後がメチャクチャ大変なのでは?」と思ってしまうので、「その先」を観られたのは凄く面白い試みであると感じたし、救いがあるとは言い難いんだけど無いとも言い切れない。私たちが観て来たエンドロールのその先にも生活があって、営みがあって、そこに人間が生きているんだなということを再認識させられた。
一応悪役っぽく描かれているキャラが人間側にも回復者側にもいるんだけど、それらが本当に悪人かと言われると、それぞれの立場に自分がなったら自分も同じことをするだろうなと思ったし、絶対的な悪人も善人もいないということが特に分かりやすく描かれていると感じた。それは現実の差別でも同じことで、差別は決して「悪vs正義」で起こるわけでもなければ、明らかな「強者>弱者」で起きるわけでもない。それらは社会で起こる以上、社会の構造やそこに生きる人間の心理といった非常に複雑なものの上に発生しているから、映画という創作に落としたときも簡単なシステムで描けるものではない。そういうことを再度感じる良い映画でした。
まあ人によってはそういうSF的な創作に現実の風刺を入れるのは逆に説教臭いと感じる人もいるとは思うけど、これは説教臭くはあまり感じず、エンタメとしての質を保ちながら成立している秀作だと思います。
っていうか「記憶だけは治らない」というキャッチコピーがかっこいい。
『デッド・ドント・ダイ』
(映画『デッド・ドント・ダイ』公式サイト|6月5日(金)公開)
アメリカの田舎町センターヴィルにある警察署に勤務するロバートソン署長とピーターソン巡査、モリソン巡査は、他愛のない住人のトラブルの対応に日々追われていた。しかし、ダイナーで起こった変死事件から事態は一変。墓場から死者が次々とよみがえり、ゾンビが町にあふれかえってしまう。3人は日本刀を片手に救世主のごとく現れた葬儀屋のゼルダとともにゾンビたちと対峙していくが……。
上の記事に詳しく書きましたが、まあトンチキ謎映画でした。
ゾンビが歩くのはいい!!!!!そこは星5です!!!(評論家?)
『ルース・エドガー』
17歳の高校生ルース・エドガーの知られざる内面に迫り、人間の謎めいた本質とアメリカの現実に鋭く切り込んだサスペンスフルなヒューマンドラマ。バージニア州アーリントンで白人の養父母と暮らす黒人の少年ルース。アフリカの戦火の国で生まれた過酷なハンデを克服した彼は、文武両道に秀で、様々なルーツを持つ生徒たちの誰からも慕われている。模範的な若者として称賛されるルースだったが、ある課題のレポートをきっかけに、同じアフリカ系の女性教師ウィルソンと対立するように。ルースが危険な思想に染まっているのではというウィルソンの疑惑は、ルースの養父母にも疑念を生じさせていく。
面白い!!!!!!
物凄く山場があるとかオチがあるとかではなく基本的には淡々と進んでいくのですが、脚本や演出が上手いなと感じました。
というのも、主人公ルース・エドガーが黒人の女教師ウィルソンにあるレポートをきっかけに「この子は危ない思想を持っているのでは?」と疑念を持たれる小さなきっかけから始まるのですが、その始まりからして、登場人物たちも観客の私たちも映画のキャッチコピー通り「この子はやばい怪物なのか潔白な優等生なのか?」と考えながら物語が進んでいく。
私たちはどうしても「怪物」or「優等生」という二者択一に陥って、本当に主人公に翻弄されて「結局どっちなの!?」と悩むことになるのですが、そこで主人公が「みんなにとって僕は優等生だ、そうじゃなければ怪物なんだろ!」と苦しそうに叫ぶ。そこで私たちはハッとする。登場人物と同じく黒人で戦場育ちの主人公を二者択一の枠組みにはめて見ようとしていたことに気付く。
うまく脚本で観客も巻き込んで、観客である私たちも彼を「差別」する構造になっている。終盤で私はそれに気づいて「うまいなぁ」と感嘆しました。
「人間の本質に迫る」というテーマ通りのお話なのですが、「本質」を知りたいのにそこに分かりやすいキャラクターを我々は求めてしまう。
多分観ている側としては女教師にイライラしてしまうかもしれないのですが、それも恐らくわざと観客がそう感じるようにされていて、だからこそ終盤での女教師の台詞に私たちは考えさせられることがある。結局人間って全ての人間をキャラクターに当てはめて善か悪かでしか見られないのかな、とちょっと思ったりもしました。そういう意味では映画という媒体に対する愛と皮肉も込められた作品なのかもしれない。
派手な作品ではありませんし日本人にはあまり馴染みにくい題材かもしれませんが、もう少し話題になってもいいのになと思う映画でした!
ちなみに主人公のラストシーンの演技がうまくてゾッとしたのですが、俳優さんを調べたら『イット・カムズ・アット・ナイト』の人だとか。不幸な演技めっちゃ似合うわけだ。
『ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷』
(ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷 : 作品情報 - 映画.com)
ハロウィンの夜、ハーパーはルームメイトとパーティで知り合った大学生たちとともに郊外にあるお化け屋敷に向かう。廃墟のような屋敷、彼らを迎え入れる不気味なピエロに期待をふくらませ、ハーパーたちは屋敷の中へと進んでいく。そして、さまざまな仕掛けが施された部屋を進んでいく彼らの前に、仮面をつけた少女が現れ「見てないで、助けて!」と叫び声をあげる。少女の必死の様子と、お化け屋敷のただならぬ空気に困惑していくハーパーたち。やがて、その屋敷が単なるお化け屋敷でないことに気づく。そこは、殺人鬼が殺しのために作った場所だった。
お化け屋敷映画。
こちらの記事に詳しく書きましたが、頭からっぽにして観るアトラクション型ホラーとしては非常にすっきりとした構成で満足です!!色々思うところはありますし、『クワイエット・プレイス』の脚本陣ということで、脚本に関してはあまり期待しないほうがいいとは思いますが、設定からして頭からっぽにして観る系なので大丈夫かなと。
殺人鬼が作った手作りワクワク殺人お化け屋敷!!!細かいことは考えちゃダメだゾ!!!!!!
『コリーニ事件』
新米弁護士カスパー・ライネンは、ある殺人事件の国選弁護人を担当することに。それは、ドイツで30年以上にわたり模範的市民として働いてきた67歳のイタリア人コリーニが、ベルリンのホテルで経済界の大物実業家を殺害した事件で、被害者はライネンの少年時代の恩人だった。調査を続ける中で、ライネンは自身の過去やドイツ史上最大の司法スキャンダル、そして驚くべき真実と向き合うことになる。
またもやあいつらが原因!ドイツの法廷サスペンス映画だ!
まあドイツが舞台と言う時点で、そのドイツが隠していた秘密がどういったものなのかは予想がつきますが……。
かなり正直なところを言うと、「驚くべき真実」とか「戦後ドイツの大いなる秘密」とか「最大の司法スキャンダル」とか言われてしまうとか~~なり期待をしてしまっていた部分があったので(予告編もなんだか世界を巻き込みそうな予感の構成になっていたので)そういった意味ではちょっぴり拍子抜けではありました、が、大きなヤマなどはないもののコンパクトにまとまっていて悪くはないかなと思います。
ラストに関しては嫌な予感が的中してしまったので、そろそろ『ドクター・ドリトル』とか観たいな……と思いました。
『ライブリポート』
警察のもとに透明の箱に閉じ込められて泣き叫ぶ少女の映像が届いた。少女の命が64分しかないことを知った警官のペニーは、誘拐捜査の協力を申し出たネット配信リポーターのエイヴァとともに捜査を開始する。レポーターによる映像はSNSで拡散され、視聴者からも情報が寄せられるが、正しい情報と誤った情報が錯綜する。タイムリミットは刻一刻と迫っていく中、ペニーが関わったある事件が発覚する。
低予算ながら健闘したヒューマンサスペンス系かな……と思いきや、ここはバルカン半島か!?並みの銃撃戦に肉弾戦、ド派手アクション映画。
昨年くらいに警察のコールセンターを舞台にした『ギルティ』という映画を観ましたが、これも誘拐事件リアルタイム生配信ということで同じようなテイストの「低予算ながらそれを逆手にとった良作映画」系かな……と思っていたのですが、ガッツリド派手アクションでした。
無尽蔵の弾、モブはアッサリ被弾即死亡するがなぜか主人公だけはタフ、銃撃戦でも肉弾戦でも何故か死なない主人公と敵、そうだよコレコレ!!!やっぱアクション映画はこうでなくっちゃな!!
重苦しい映画を想定して行ったので、ハッピーエンドだしところどころ笑えるコメディタッチなシーンもあるしアクションだし非常にスッキリストレス解消映画になりました。
おすすめポイントとしては、「嫁にも出て行かれ、脛に傷もつ、喧嘩っ早くてくたびれているが正義感が実は強い中年おじさん警察官」と「おじさんに食ってかかる現代っ子な小生意気ガール」のバディです。みんな好きだろ?そういうの。オレは好きだ。2人がラストにキス(洋画あるある)したらポッポコーンばらまいて暴れ散らしてやろうと思ってたよ。オレはさあ、そういう、そういうさあ、おじさんと少女のさあ、そういう、恋愛には一切発展しないけど奇妙な絆で結ばれてる関係性がさあ、好きなんだよ、なあ、
『ANNA アナ』
(映画『ANNA/アナ』公式サイト/6.5[FRI]TOHOシネマズ 日比谷 他全国ロードショー)
1990年、ソ連の諜報機関KGBによって造り上げられた最強の殺し屋アナ。ファッションモデルやコールガールなどさまざまな顔を持つ彼女の最大の使命は、国家にとって危険な人物を消し去ることだった。アナは明晰な頭脳と身体能力を駆使し、国家間の争いをも左右する一流の暗殺者へと成長していく。そんな中、アメリカCIAの巧妙なワナにはめられ危機に陥ったアナは、さらに覚醒。KGBとCIAがともに脅威する究極の存在へと変貌していく。
みんな大好き「ハチャメチャに強い美人女スパイ」映画!!以上だ!!
難しいことは何も考えなくていい。そうだろ?美人が強いと嬉しい、スパイってかっこいいな、そういう幼い気持ちを大事にしていきたい。そうだよな。
リュック・ベッソン監督とだけあって「強い美人」への拘りは凄いものがある。いいよな。フェチズム、大事にしていきたいよな。
物凄く面白いかと言われたら微妙なのですが、普通に面白くはあるので、あまり頭を働かせたくないけど強い女が観たいときには最適だと思う。
個人的には「男は信用しない、自分だけを信用する」という作中の信条に則って、もっと男を利用しちゃっても良かったんじゃないかとは思いますが、本作の主人公アナの魅力は「意外と普通の女」な内面にあるとも思うので、それで良かったのかもしれない。
以上6月に映画館で観た新作映画の振り返りでした。
ちなみに最近は配信サービスで観るものといえばバラエティやドラマが多いので映画をあんまり観ていないですネ。精神状態ジェットコースターなので気楽に観られるバラエティが至高……なので……。
最近映画館以外で観たものといえば、カラオケボックスの最近始まった?サービスで観た『ジュラシック・シャーク』なのですが、観たことありますか?タイトル通りなんか古代から蘇った16mのサメが人々を襲いまくるアレなのですが、もう、ね。
私は友達と飲んだ帰りにタクシー捕まえるのもだるくてカラオケオールしようとして深夜ノリでこれを見てしまったのですが、あまりにも酷い。ものすごく酷い。なんかもう……検索してもらったら感想が山ほど出てくるので調べてみてほしいのですが、とりあえず一緒に観ていた友達との感想としては「再現VTR感が凄い」「奇跡体験アンビリバボーより映像クオリティが低いことある?」「学祭の手作り映画?」「もしかして全編通してカメラ1台しかなくない!?」「手ブレ補正くらいせんかい」「役者の間の取り方が変」「セットもロケ地も全てが安っぽい」「無人島的な場所に迷い込んだのにそのへんのハイキングに最適な林で撮影すな」「そもそもサメ映画でサメが出ないって何!?」「安いCGを使いまわしすな」「せめて水面から背びれ出して血のり撒くくらいせんかい」「サメも血も出ない人食いシーン初めて見た」「70分の映画で13分エンドロールがあるところが一番面白い」「見ていて悲しくなる」でした。
帰宅後に調べてみたら「Z級サメ映画の代表作」「史上最低の映画」として有名だったようです。友達は最初は酷すぎて笑っていましたが、最終的に「酷すぎて笑えるを通り越して酷すぎて普通に飽きた」と言ってました。そりゃそうだ。
ちなみに続編的なやつが出たらしいですが監督よく懲りなかったな。
そんなこんなで来月も良いムービーライフを!サメ映画には気を付けろ!chu