2020年9~10月に観た映画を振り返る
今月の日記的なアレを今月もやっていきます。人生の座右の銘は「100年後には全員死ぬ」です。見やすさを考慮して今月は上から目線で☆1~5をつけちゃおうカナと思ってます!キャッキャッ
ちなみに『窮鼠はチーズの夢を見る』を酷評している原作厨です。俎上の鯉、ちゃんと二度跳ねんかい。
『青くて痛くて脆い』
コミュニケーションが苦手で他人と距離を置いてしまう田端楓と、理想を目指すあまり空気の読めない発言を連発して周囲から浮いている秋好寿乃。ひとりぼっち同士の大学生2人は「世界を変える」という大それた目標を掲げる秘密結社サークル「モアイ」を立ち上げるが、秋好は「この世界」からいなくなってしまった。その後のモアイは、当初の理想とはかけ離れた、コネ作りや企業への媚売りを目的とした意識高い系の就活サークルへ成り下がってしまう。そして、取り残されてしまった田端の怒りや憎しみが暴走する。どんな手段を使ってもモアイを破壊し、秋好がかなえたかった夢を取り戻すため、田端は親友や後輩と手を組んで「モアイ奪還計画」を企てる。
総評:☆4
(吉沢亮のキモさ:☆∞)
(みんなの過去を抉る度:☆5)
エ、最高~~~~~~!!!!
大学生の解像度が高すぎて特に私やあなたのような斜に構えてた系陰キャ大学生……つまりインターネットの大半の人間はおおよそ正論により深い傷を負うことになる映画ですが、このような種類の悲劇は大なり小なり全国の学校で行われているわけであり、私も思い起こせば「ア……」となることがありなんかもう吐きそうになりましたね。最悪。最悪の最高映画です。好きだ。
一般人はハルヒとキョンにはなれない、残念!なぜなら現実なので。
これを観たらテレビに映る吉沢亮に対して反射的に「キモ」と思ってしまうこと間違いナシ!!同世代のイケメン俳優でも、これが山崎賢人や菅田将暉ではここまで生々しくキモくはならなかった気がする。それはもう演技力の問題というより、吉沢亮がどことなく醸し出している「あ、陽の者ではないんだな ……なんか『ある』んだな……」感に由来するものではないか。私は吉沢亮のそんなところがたまんね~~~と思っているので、この青痛脆を契機にヤバい男の役をたくさんやってくれないだろうか。
具体的にはコミュ障の爆弾魔(知能は高いが多分渦巻きが書けない)(ボロアパートで爆弾を作っている)(隣人の女性とあいさつするとき眼鏡の奥で瞳孔がガン開いている)とか、古畑任三郎の犯人(知能は高いが多分箱庭に人形を置かされたことがある)(大学では数学か物理を専攻していた)(コミュ障すぎて非常勤講師をしている高校で生徒に煙たがられている)(自分の犯罪を藝術などと呼ぶ)などをやってほしいですね。もちろん正統派の良いクズ(女に根性焼きしたり財布から金抜いたりするヒモ)などもやってほしいですけどね。
応援上映で観たい映画下半期ナンバーワンです。
『アンダーウォーター』
総評:4.5
最高だからみんな見ろ
『劇場版 田園ボーイズ』
場末のガソリンスタンド店員のシンジ、町役場の公務員ヤスオ、農家の息子ジロウ、そしてどこかうさん臭い自称「歌舞伎町No.1ホスト」のカタオカのイケてないイケメン4人組が、周囲を田んぼに囲まれた中にオープンさせたホストクラブ「田園」。開店はしたものの客のほとんどは近所のおばちゃんたちという状況に困り果てた4人は、駅前でビラ配りをし、出張ホストサービスを始めるなど、営業努力を続ける。そのかいあってか、アカリという若い女性が新規客として訪れ、シンジを気に入って永久指名にした。さらに、店の近くで撮影をしていた映画に出演している女優のミソノが来店し、彼女がSNSで「田園」を紹介したことから、店は一躍有名になるのだが……。
総評:☆――?
ナシ……?いや逆にアリ。
私はこれを仲良し♡のオタクと旅行がてらわざわざ名古屋で見たのですが、たまたま平日昼間の上映回だったからか私たち以外に誰もおらず、好きなだけ喋りながら見られるしセルフ応援上映と化していて非常に楽しめました。
歴史に残るトンチキ映画。 静かにじっとして観なければならない普段の環境であれば2時間の拷問とも呼べる映画ですが、気の置けない仲で好き放題言える人と好き放題言える環境で観るととんでもない2020年史上最高傑作に早変わり!つまりカラオケのシアタールームなどで観てください。
これは観た人にしか伝わらないと思いますが、蕎麦プレイからが本番で、後半からは興奮と爆笑の嵐(勘違いされて悲劇を招きたくないので注釈を入れますが、上質なコメディーという意味ではなく、悪口ギリギリのトンチキという意味です)。
楽しすぎて終わったあと「田園ボーイズあるある」プリクラを撮りました。チェキネタに最適なので冗談が許される現場の人だけチェキネタにしましょう。私はします。
『窮鼠はチーズの夢を見る』
(映画『窮鼠はチーズの夢を見る』公式サイト|2020年9月11日(金)公)
優柔不断な性格から不倫を重ねてきた広告代理店勤務の大伴恭一の前に、卒業以来会う機会のなかった大学の後輩・今ヶ瀬渉が現れる。今ヶ瀬は妻から派遣された浮気調査員として、恭一の不倫を追っていた。不倫の事実を恭一に突きつけた今ヶ瀬は、その事実を隠す条件を提示する。それは「カラダと引き換えに」という耳を疑うものだった。恭一は当然のように拒絶するが、7年間一途に恭一を思い続けてきたという今ヶ瀬のペースに乗せられてしまう。そして、恭一は今ヶ瀬との2人の時間が次第に心地よくなっていく。
総評:☆1
(原作リスペクト:☆1)
(雰囲気:☆3)
おま……原作読んだ!!!!!!??????
雰囲気予告とイケメンに騙されるな。そんな映画。原作もこのレベルのストーリーだと思われたら水城せとなの漫画家としての名誉に傷がつく、そんな映画。映画化しなくてよかった。なるほど~~~原作レイプって言う人はこんな気持ちなのか~~~帰りたいな~~~~と思った。もしやわたし懲役2時間?
基本的に映像化というものは原作と手法が違うからありのまま再現するのは不可能だし、映画には映画なりの表現方法も都合もあるから原作と違っていてもそれ自体をあまり文句言わないようにしているのですが、それでも、それでもあまりにも原作へのリスペクトがなさすぎる。
原作いっそ読んでないと言ってほしい。読んでこの解像度はあまりに悲しい。
原作は「愛に性別なんて関係ない☆好きならいいじゃん☆」というフィクションのような言葉に対して「これは人生なんだから甘くない」というような、そこでもがきながら愛を見つけていくようなストーリーであるのに、イケメンがいちゃつくオシャレ恋愛映画にこのタイトルを利用しないでほしかった。いくら映像化は原作と相違が生まれるとはいえ、根底の思想などはリスペクトしないといけないのではないか。
予告編の時点でコメント欄に男性同士の恋愛に対する第三者の美しい言葉が羅列されていて、それは書き込んだ人たちに非は一切ないのだけど(だってそういう「美しい」予告編だし、コメント書いてる人は原作読んだことないだろうから)、原作の思想からするとその美しいコメントの羅列って地獄絵図だな~~~とおもっていた……けどまさかの蓋を開けたら中身がもっと地獄っていう!笑
さらに言うならば、「イケメンがいちゃつくオシャレ恋愛映画」としても完成度は低い。ひとつひとつのロマンスシーンの描き方は監督の過去作を見たら分かるようにそれなりのものになっているが、細かいところでゲイへの解像度が低い。えっなにこれフィクションのゲイ??と思ってしまう。なんかもう原作にリスペクトがないどころか、現実を生きるマイノリティーへのリスペクトもないんだなーと思ってしまった(原作も少し前の作品であるので今の価値観では「ん?」となるシーンもあるが、そこをブラッシュアップするどころか、さらにぺらっぺらにしてしまっている)
総じてすべてが薄っぺらい。誰にも共感できない。原作にあった「善人でも悪人でもない彼らの生々しい人間性」が全く描かれていない。
私は普段つまらん映画を観ても「これは肌に合わなかったな」と流してあまり呪詛を唱えないようにしているのですが、どうにもこれは呪詛が止まらない。
『進撃の巨人』実写版を楽しんで2回観に行った私がここまで呪詛を唱えるって、かなりのものなのでは。これなら『田園ボーイズ』100回観るよ。田園が☆2.0で窮鼠が☆3.9なの納得いかね~~~~~!!
悪口言い出したら一生言えるのでここまでにしておきます。
監督はマジで原作を読め、以上。
『ヒットマン エージェント:ジュン』
(ヒットマン エージェント:ジュン : 作品情報 - 映画.com)
国家情報院に拾われ、暗殺要員として育てられた孤児少年は「ジュン」と名付けられ、またたく間に対テロ保安局のエースとなった。しかし、幼い頃からの夢であった漫画家になる夢を捨てられず、任務中に死を偽装して姿を消す。15年後、ジュンは憧れであった漫画家になったものの、まったく売れずにバイトと妻の稼ぎでなんとか生活をしのぐ日々を送っていた。自暴自棄になったジュンは酔った勢いで暗殺要員時代の国家機密をネタにした漫画を配信し、その漫画が大ヒットしてしまう。しかし、漫画を読んだ国家情報院とテロリストにジュンが生きていたことがバレてしまい、命を狙われる事態となってしまう。
総評:☆4.5
(観ていて楽しい、それが一番大事だね:☆5)
出た!!!!韓国にハズレなし!!!!!! コワ!!!
もちろん多少の脚本のガバはあるのですがそれを加味しても余りあるスピード感。コメディー要素も強めなので中だるみせず、シリアスであれば「ん?」となるような展開もコミカルさに転じ、脚本設定と主人公の過去の重さを胃もたれしないように調和させてくれている。これは韓国映画全般に言えることですがキャラクターも脚本も非常に漫画的で(しかもアメコミ的なテイストではなく、むしろ私たちになじみのあるような。お隣さんだからかな)、それぞれのキャラクターの台詞や行動も楽しみながら観れる。
私は後輩が一番好きですネッ
『ウルフズ・コール』
並み外れた聴覚をもつシャンテレッドは、フランス海軍原子力潜水艦チタン号に特別分析官として乗艦していた。わずかに聞こえる音を頼りに敵の動向を探るのが彼の重要な役割だったが、シリアでの潜航任務中、怪しげな音に気づいたものの識別に失敗し、その判断ミスから危機を招いてしまう。「黄金の耳」とまで言われるシャンテレッドの耳を惑わせたのは、まるでオオカミの歌(呼び声)のような正体不明のソナー音だった。再びその音が聞こえてきたとき、シャンテレッドは大きな決断を迫られる。
総評:☆3
予算もかけられているのだろうし悪くはない、が、監督と決定的に性癖を違えた感のある映画。つまり監督と性癖の一致する人は面白いのだと思う。
そもそも私(と一緒に観に行った友人)がこれをいまいち楽しみ切れなかった決定的な理由は、私たち日本人に、軍隊の命令系統やプライドやメンツというこの映画を観る上での前提的知識が欠けていたことではないかと。まあ日本人全体の話にすなとも思われるかもしれませんが、文化の違いか、やはりミリオタでもない日本人にはよく理解のできない軍隊(と国)の思想で話が進んでいくので……。
正直「え、命令中止にすればそれでよくね?」と思ってしまう。そこに至る前提がない。あと本当に、ミリオタでも世界情勢に多少詳しい人でもない場合、まず何処の国の話かが分からない。
これらはもちろん私に知識があればいいだけのものなので映画の問題ではありませんが、文化圏が違うんだなあと実感しました。それが洋画の面白さでもあるのだけど。
映画の話になると、正直主人公の自業自得の連続すぎて感情移入ができない。
「この演出がしたいがために、本来削れたであろうこのエピソードを入れたのか」という点が多く、脚本としてそこはいまひとつだったかなと。
恋愛要素や多くの余計なエピソードを省き潜水艦バトルに重点を置けばもっと監督のフェチは生かされたしターゲットは絞られるかもしれないけど狭く深く刺さる映画になったのではないかなと思うだけに、ちょっぴり残念。
でも予算はかけられていたのだろうし、悪くはない。と思う。
とりあえずあの黒人の死に方だけは本当にしたくない。
『TENET』
(映画『TENET テネット』オフィシャルサイト|大ヒット上映中)
「現在から未来に進む“時間のルール”から脱出する」というミッションを課せられた主人公が、第3次世界大戦に伴う人類滅亡の危機に立ち向かう姿を描く。
総評:☆5
(意味わからん度:☆∞)
ノーラン作品の中でいちばん難解という噂、「マジ」です。
インセプションを見るオレ「……?」
TENETを見るオレ「??????????????」
わからない。もう何がわからないかすら分からない。ノーランだけが理解できているのであろうシステムの中で私たちを置いてけぼりに話は進み、しかしその興奮と衝撃だけは私たちを掴んで離さない。そんな映画。
東村アキコ先生は『ダークナイト』を「男はなぜか好きだけど女は見ててつまらない映画ナンバーワン」と『東京タラレバ娘』にて表現していましたが、そしてインターネットでは「ノーランが好きだと公言する男はろくでもない」などと男にすら言われていますが、私はノーラン、好きだよ。確かにわざわざノーラン好きをアピールする男はダルいというのは一理あるなという気もしてはいますが(すまんな)、まあ、いいじゃんねノーラン。
マジでインセプションは後半から理解できませんでしたが(キックとか)、TENETは開始1秒から理解できないので、むしろ優しい構造!そうかな!?
しかしこんなにもみんなが理解できないと言っているにも関わらずちゃんと楽しめているというのはとんでもなく凄いこと。
時間逆行を利用した、今まで見たことないようなアクションや爆破、建物崩壊などのバイオレンスシーンは必見。これが「映像体験」なのだと実感しました。
オチを知ったうえで再度観ても理解できない自信はあるけど、やっぱり映画っていいなと思いました。
そういうわけで9月10月も終わり寒くなりました。冬季うつでみんな死んでるネ~~
今月もただの日記っつーかぼくちんの記録なのに読んでくれてサン&キュー